最終更新:2024/5/1 利用規約をご一読下さい。
してはいけない事→脚本のコピー&ペースト/ページURL以外の配布/アーカイブ等の7日以上の公開 告知や配信画面の為に画像や動画を作らず、使わなければ、お金を支払う必要はありません。 アーカイブ等の7日以上の公開は、有償版の購入と別途申請が必要です。 わからない事がありましたら羽白深夜子までご連絡下さい。
サイト掲載版を使う方は使用申請フォームからご申請下さい。
【もう何も言わないで】 (もうなにもいわないで) 男性2:女性1。 フォロワーさんから頂いた「失恋」「熟年」「初恋」「笑い声で終わる」 「指切り」「月光回線」を念頭に置きながら書きました。 有償版販売ページはこちら。 【美門(みかど)】 四十代後半~五十代男性。月子より少し年上。(役者間で年齢を合わせて下さい。) バーを経営する、顔立ちが端正な物腰柔らかい男性。他の二人とは幼馴染。 【鷹人(たかひと)】 四十代後半~五十代男性。月子より少し年上。(役者間で年齢を合わせて下さい。) 営業職についている、豪胆な男性。他の二人とは幼馴染。 ​ 【月子(つきこ)】 四十代後半~五十代女性。二人より少し年下。(役者間で年齢を合わせて下さい。) 小さいブティックを経営している、妙齢の女性。他の二人とは幼馴染。 ​【配役表】 美門: 鷹人: 月子: ======================================= <鷹人、美門の店にやってくる。美門、あからさまに顔を顰める。> 001美門:……キミを招いた覚えはないんだけどな。 002鷹人:ケチくせえ事言うんじゃねえよ。 003美門:何飲む? 004鷹人:いつもの。 005美門:そういうのはね、頻繁に店に来る人が言うもんだ。 何年ぶりだい。 <カクテルを出す> 006鷹人:ちゃんと出てくるじゃねえか。 007美門:キミ若い頃から、このカクテルしか飲まないじゃないか。 008鷹人:いいだろ、好きなんだよ。 どうだ、繁盛してるのか。 客がいねえじゃねえか。 009美門:今日は貸し切りだ。 010鷹人:毎年毎年そう言うな。 011美門:毎年毎年そうしてるの。 キミが来るなら、客を入れとくべきだった。 012鷹人:なんで。 013美門:昔を思い出すからだよ。 <月子、入店する。> 014月子:こんばんは……まあ、やだ! 015美門:いらっしゃいツキちゃん。 016鷹人:おう、久しぶり。 017月子:タカヒトくん、久しぶり! 元気にしてるの? やぁだ。 すっかりいいおじさんになって、まあ。 018鷹人:ツキコだってすっかりおばさんじゃねえか。 019美門:タカヒト、ツキちゃんみたいに綺麗な人の事はね、おばさんじゃなくて美魔女っていうんだよ。 020鷹人:なんでえ若ぶって。 021月子:ミカドくんは感覚が若いのよ。 ねえ、元気にしてるの? この間の彼女は? 022美門:彼女じゃないって。 妹みたいなモンなんだって。      ツキちゃん何飲むの、いつものでいい? 好きな物頼みな。 023月子:ええ、ご飯も頂戴。 急いで来たからお腹ぺこぺこ。      そうなの。 妹の座、取られちゃったわね。 024鷹人:何、何。 025月子:ミカドくんたら、この間すごく綺麗なお嬢さんを連れて歩いてたのよ。 026鷹人:へえ。 どこの店の子だ、俺にも紹介しろ。 027美門:馬鹿言うな。 028鷹人:ツキコとどっちが美人だ? 029月子:やあね、私みたいなおばさんより、ずっと綺麗な子だった。 030鷹人:お前だって、若い頃はブイブイいわせてたじゃねえか。 え? 031月子:そんな事ない。 私に声掛けて来た男の子達、みんなタカヒトくんに驚いて逃げたじゃない。 032美門:そうそう。 キミが喧嘩を吹っ掛けるからみんな逃げてった。      はいツキちゃん、ビーフシチューと烏龍茶ね。 033鷹人:なんだ、卵乗ってら。 034月子:好きなのよ、お月様みたいじゃない? 035鷹人:ひひ、共食い。 036月子:酷いわ、相変わらず意地悪ね。 037鷹人:こんだけ一人で食い切れるようになったのか。 038月子:…… <黙って、皿を鷹人に寄せる> 039鷹人:はいはい、食い切れなかったら食うよ。 食えるだけ食え。 040美門:相変わらず食が細いなあ。 大丈夫? 041月子:でも、昔よりは食べるわよ。 042鷹人:食ってやるから、意地悪っての、撤回しろ。 043月子:はぁい。 044鷹人:よし。 ミカド、俺にもツマミくれ。 045美門:メニューはそちらにございます。 046月子:綺麗なカクテルね、何ていうの? 047美門:ブルームーン。 048鷹人:おい。 049月子:まあ、私と一緒。 一口頂戴。 050鷹人:駄目。 051月子:どうして。 052美門:それ、アルコール二十六パー。 053月子:……やめとく。 054美門:そうして。 またぱったり寝られちゃ、僕らどうすればいいかわからないよ。 055鷹人:ありゃ笑ったなあ。 日本酒飲ませたら、パタッと。 056月子:もう、昔の話でしょ。 057鷹人:飲むか? 058月子:遠慮する! 059鷹人:流石に、ツキコもタカちゃんと同じがいい、はおしまいか。 060月子:私そんな事言った? 061美門:小学生の頃ね。 062月子:そんな昔の話! 063美門:僕らにとっては何十年経っても、ひよこみたいに後ろを付いて来るツキちゃんのまんまだよ。      今日だって、ご本読んで、ご本読んで、って、いつ言われるか。 064月子:ミカドくんまで。 065鷹人:絵本が擦り切れるまで読んでやったのによ。      四十年経ちゃ、そんな事言った? だってよ。 066月子:その絵本、ミカドくんとタカヒトくんが喧嘩して破ったんじゃない。 私まだ許してないわよ。 067美門:何の絵本だったっけ。 068月子:かぐや姫。 069美門:……ああー。 070月子:お父さんが買ってくれた、お気に入りだったのよ? 071鷹人:……そんな事も、あったな。 072月子:大人になったら買ってくれる約束だった筈なんですけれどね。      いつ果たされるのかしら、あの指切りげんまんは。 073美門:……。 074鷹人:……。 075月子:……ふ、ふふ。 変な顔しないで。      もうね、毎年こうして顔が見れるだけで満足よ。      タカヒトくんは久しぶりだけどね。 076鷹人:悪かったよ、出張だなんだって、この時期は忙しいんだ。 077月子:男の人はすぐそれよね、忙しい、忙しいって。 078美門:女の子はすぐそれだよね、男の人はすぐそう言うって。 079月子:……。 080鷹人:形成逆転。 081月子:もう口きかない。 082美門:出た、ツキちゃんの得意技。 083鷹人:聞いたの何年ぶりだ? 084美門:二十年は経ってるんじゃないかな。 085月子:……。 086鷹人:ああ、あれだ。 ツキコが東大のお坊ちゃんとデートしてたのを。 087美門:あー僕らがこっそり追い掛けてた時! 088月子:もう! 知らない!      私あの時、初めて男の人と二人でデートしたのよ。      ファーストキスだって、見てたんでしょ!? 089鷹人:ははは! 悪かった、悪かったって。 090美門:あの頃の僕ら、本当に心配だっただけなんだよ。      彼って僕らの集まりの中じゃあ、良い噂聞かなかったから。 091月子:……でも二人の忠告通りだった。      四股よ? 四股。 ああ、今思い出しても頭にくる! 092鷹人:忘れろ、忘れろ。 093月子:あ、でも。 ふふ、私覚えてるわよ。      タカちゃんったらその頃派手に喧嘩して、喧嘩のタカ、なんていわれてたじゃない。 094鷹人:それを言うならミカドだって、女に何人手を出してたか。 095美門:ツキちゃんだって、これからも私達の間に内緒はナシ、なんて可愛い事言ってさ。 096月子:……いやね。 本当によく、覚えてるわね。 097鷹人:もう口きかないと指切りげんまんは、ツキコの十八番(おはこ)だからな。 098月子:そんな事覚えてなくていいのに。      あの頃は、ミカドくんとタカちゃんと一緒にいたくて、一生懸命だったの。 099鷹人:いいんだよ。 あの頃があって、今があるんだから。 100月子:本当にね。 今もこうして、私の誕生日に顔が見れるんだから。      こんなに嬉しい事はないわ。 101美門:ああ、そうだ。 ケーキ頼んであるんだよ、そろそろ届くと思う。 102月子:ケーキ? 私のお誕生日の? 103鷹人:お前好きだろ、甘い物。 よかったな。 104月子:もうそんなに食べられないわよ。      そうだ、二人、お酒好きでしょ。 105美門:うん。 106鷹人:持って来たのか? 店にこんだけ揃ってるし、お前飲めねえ癖に? 107月子:一緒に働いてる子に、美味しいのがあるって聞いたから持ってきたの。      ……あ、やだ。 車に置いてきちゃったみたい。 108鷹人:物忘れかよ、ボケるにゃちっと早いぞ。 109美門:あ、ツキちゃん。 ケータイ鳴ってる。 110月子:あ。 <電話に出る> ……もしもし? あらまあ、ありがとうございます。      ううん、今取りに行くわ。 <電話を切る>      いやね、あの人ったら。 わざわざお店の前まで届けてくれたみたい。 111美門:旦那さん? 112月子:うん。 113美門:取っておいで。 114月子:そうするわ。 <月子、退店する。> ​ 115鷹人:……医者夫人、だっけ。 116美門:そうだよ。 都立病院の、外科のお医者さん。 117鷹人:ああ、なんだなんだつまんねえな。 月を掻っ攫(さら)うならミカド、お前だと思ってたのによ。 118美門:僕こそ。 ツキちゃんを引っ手繰るならキミだと思ってた。 119鷹人:なんだ、かぐや姫に求婚するのは帝(みかど)様じゃないのか。 120美門:帝の求婚を断って月に帰ったよ。      なら空を飛べる鷹の方が、ずっと月に近いじゃないか。 121鷹人:そうかぁ? 122美門:そうだよ。 123鷹人:しかしまあ、初恋なんてロクなもんじゃねえなあ。      だからお前若い子を引っ掛けて歩いてるのか。 124美門:好きで引っ掛けてる訳じゃない。      キミだっていつまでたっても、そのカクテルだ。 125鷹人:嫁の前じゃあ飲まないからいいんだよ。 126美門:僕だってツキちゃん以外、本気になんかなれやしないさ。 127鷹人:なあミカド。 お前、そこに置いてる包みの中身、何だ。 128美門:多分、タカヒトの足元にある紙袋と一緒だ。      タカヒトは東大の彼、最終的にどうなったか覚えてる? 129鷹人:お前が後三人の彼女を引っ掛けて、俺がボコボコにした。 130美門:僕はその後無事に三股して、 131鷹人:俺はめでたく喧嘩のタカ、だ。      相変わらずお前の事ばっかり褒めるしよ、損な役回りだよ。 132美門:キミの方が距離が近い。 いつの間にかタカちゃんって呼んでたの、気付いてる?      ……あの頃と変わらないね。 133鷹人:この調子じゃ、いつまでも失恋できねえな。 134美門:それでも僕らの間は、ツキちゃんナシじゃ成り立たない。 135鷹人:ああ、嫌なモンだなあ。 幼馴染ってのも。      俺達はいつまでもこうして内緒を作って、先を歩いていたいんだ。 136美門:ほんとにね。 137鷹人:……ふ、ははは。 138美門:はは、ははは! 2017.1.8 完成 羽白深夜子 2020.1.10 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子 サイトへ戻る