最終更新:2024/5/1 利用規約をご一読下さい。
してはいけない事→脚本のコピー&ペースト/ページURL以外の配布/アーカイブ等の7日以上の公開 告知や配信画面の為に画像や動画を作らず、使わなければ、お金を支払う必要はありません。 アーカイブ等の7日以上の公開は、有償版の購入と別途申請が必要です。 わからない事がありましたら羽白深夜子までご連絡下さい。
サイト掲載版を使う方は使用申請フォームからご申請下さい。
【錫色のベール】 (すずいろのべーる) 男性1:女性1。 有償版販売ページはこちら。 隼人(はやと)…25歳男性。 紗弥(さや) …25歳女性。 【配役表】 隼人: 紗弥: ======================================= 001隼人:サヤ、これやるよ。 002紗弥:──高校の卒業式の後、本当に突然だったんだ。      クラスの仲良しグループ、その一人から受け取ったその包みの中には、銀色の星のピアスが入ってた。      まあ卒業式の後だし、告白かな? とか考えるじゃない? 003隼人:は、告白? ばーか、お前にする暇があるなら、三組のタカハシさんにするわ。 004紗弥:って笑われてね。 でも、あの日から欠かさず、私の右耳には錫色の星。      彼の左耳には、小さな銀色の粒が住み着いたの。 005隼人:あー、何も返さなくていいって。 まあさ、たまにメシ食いに行こうぜ。 暇な時、電話して。 006紗弥:私はしばらくして知って、ちょっとびっくりしたんだけど……ハヤトはピアスの意味、知ってたのかな。 <ノック音。> 007紗弥:はーやとー。 部屋入っていい? 008隼人:おー。 009紗弥:<ドアを開ける> 合い鍵とピアス、返そうと思って。 010隼人:ピアス? なんで? 011紗弥:結婚式に別の男からもらったピアスつけてるって、結構マズいでしょ。 012隼人:まあ、そうだけど。 ピアスは持ってたらいいじゃん。 013紗弥:……殺風景になったね、部屋。 014隼人:……サヤの部屋もだろ。 あ、そうだ。 お前いつベット運ぶの? 015紗弥:明後日。 016隼人:業者? 旦那? 017紗弥:業者。 旦那はその日仕事なんだって。 018隼人:営業マンは大変だね。 019紗弥:ねー。 お陰様で、お待ちかねの新婚旅行も来週からだよ。 020隼人:成田離婚だけは勘弁な。 俺新居1DKだから。 021紗弥:それだけはないない。 ゾッコンだから。 022隼人:どっちが? 023紗弥:あっちが。 024隼人:ひゅー。 025紗弥:やっぱりさ、胃袋で掴むってのは効果テキメンだね。 026隼人:メシ作るのだけは美味いからな。 027紗弥:たまに作りにいってあげよっか。 028隼人:マジ? 029紗弥:マジ。 030隼人:頼んだ。 あー助かった、鍵は持っててよ。 メシだけはほんとどうしようかと思ってた。 031紗弥:アンタほっとくと本当に食べないよね。 風呂場で倒れても、もう助けてあげらんないよ。 よいしょ、っと。 <紗弥、隼人のすぐ隣に座る。> 032隼人:何? 近いんですけど。 033紗弥:いいじゃん。 最後の夜だよ。 034隼人:そだね。 一緒に寝る? 035紗弥:馬鹿じゃないの。 <隼人を殴る> 036隼人:いでっ。 037紗弥:……あのさぁ。 038隼人:何? 039紗弥:どう思ってた? 私の事。 040隼人:え? 何なに、結婚前夜っぽいじゃん。 マリッジブルー? 041紗弥:茶化さないで、真面目な話。 042隼人:……入学式で、目に留まってさ。 あー、可愛いなあ、って思って。 043紗弥:可愛いって思ってたんだ。 044隼人:遠目から見てた当時はな。 045紗弥:今はどうなの。 046隼人:黙秘する。 で、二年のクラス替えで一緒になって、ラッキーって思ったんだよね。 047紗弥:うん。 すぐに仲良くなったよね、クラス替えの前じゃなかった? 048隼人:そうだっけ? あ、ニシダとアヤが付き合ってたからな。      春休みにやった、三月生まれと四月生まれの誕生日会が初対面か。 049紗弥:そうそう。 アレ、おっかしかったよね。 サプライズする側が喧嘩してるんだもの。 嬉しかったけどさ。 050隼人:……ラッキー、って思って。 いいヤツだなって思って。 ほっといちゃいけないな、って思ったかな。 051紗弥:え、私ほっとけない感じだったの? 052隼人:そりゃあな。      すぐ転ぶし課題忘れるし、案の定大学行ってからも男に振られただの、新しい男ができただので呼び出しやがって。 053紗弥:だってさ、ハヤト電話してって言ったし、すぐ来てくれるし、 054隼人:<遮る> 人の親父の葬式にあんなに泣きやがって。 055紗弥:……あはは。 それについては、弁解の余地もありません。 056隼人:ないだろ? 俺、女はハタチ過ぎたら人前で泣かないモンだと思ってた。 057紗弥:でも、お父さんのお葬式って大学三年生の時じゃない。 まだまだ子供だって。 058隼人:そうかな。 あの時は参ったよ、本当に。 059紗弥:そっか、ごめんごめん。 ……結構大事にされてたんだね、私。 060隼人:……まあな。 061紗弥:ウエディングドレスのさ、ベールの意味って知ってる? ヴァージンロード歩く時につけてるの。 062隼人:何、急に。 063紗弥:知ってる? 064隼人:……知らない。 065紗弥:魔除けなんだって。 式の前にお母さんがそれを下ろして、お父さんに連れられて、バージンロード歩くの。 066隼人:うん。 067紗弥:で、生まれてからお父さんとお母さんがくれた魔除けを捲って、誓いのキスをする訳だ。 068隼人:これからは俺が守りますよ、って事? 069紗弥:そう。 二人の間に、もう壁はないです、って。 070隼人:アレ、そんな意味だったんだ。 071紗弥:うん。 それでね、私、お父さんもお母さんもいないじゃない。 072隼人:……うん。 073紗弥:今日まではコレが、私のベールだったの。 ずっとずっと、私の事を守ってくれたの。      だから、返すの。 074隼人:……そうか。 075紗弥:はい。 076隼人:確かに、承りました。 077紗弥:照れてる? 078隼人:別に。 079紗弥:ははは。 ……ありがとうね、お兄ちゃん。 明日は親族スピーチ、頼みますよ。 080隼人:……おー、任せとけ。 ばっちりヴァージンロードも歩いてやるよ。 081紗弥:あとね、人の親父なんて言い方しないの。 私のお父さんでもあったんだから。 082隼人:俺が産まれて、一歳になる前に妹こさえて下さって。      挙句の果てには新しい嫁と娘も捨てて浮気した糞親父様だぞ? 083紗弥:それでも私は一緒に暮らしたかったもん。      オニーサマと三年一緒に暮らせたから、満足だけどね、っと。 <立ち上がる> 084隼人:そうですか。 明日からは、幸せな家庭を築いて下さい。 085紗弥:はーい。 ……ハヤトのピアスも、古くなっちゃったね。 086隼人:……七年、つけてたからな。 087紗弥:今度一緒に買いにいこっか。 088隼人:ゾッコンの旦那に、ちゃんとオニーサマと出掛けるって言っとけよ。 089紗弥:はーい。 090隼人:サヤ。 091紗弥:なぁに? 092隼人:ピアスの意味、知ってる? 093紗弥:……知ってるよ。 ハヤトって、キザだよね。 094隼人:お前のは、旦那に買ってもらえよ。 095紗弥:……おやすみ。 明日は寝坊しないでね。 096隼人:妹の結婚式に寝坊する程、腑抜けじゃない。 おやすみ。 ​ 097隼人:……あー、あー。 ……最後の最後も泣きやがった。 あの馬鹿。 098紗弥:……え、何コレ? 何? もしかして私、告られてる? 099隼人:──半分正解、半分はずれ。 包みの中の小さな銀色が、これからの君を守ってくれますように。 100紗弥:失礼な男だな。 えー、こういうのは先に言ってよ。 私お返し何も持ってないよ。 101隼人:お返しは何もいらない。 君が幸せになるその日まで、ただ君の傍(かたわ)らに。 102紗弥:あはは、変なの。 わかった。 ありがとうね、ハヤト。 ​ 103隼人:──次の日。 俺の七年間の誓いを込めた錫色の星は、まっさらな真珠になった。 2016.4.12 公開 羽白深夜子 2020.1.5 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子 サイトへ戻る