最終更新:2025/2/19
利用規約
をご一読下さい。
★
してはいけない事→脚本のコピー&ペースト/ページURL以外の配布/アーカイブ等の7日以上の公開
告知や配信画面の為に画像や動画を作らず、使わなければ、お金を支払う必要はありません。
アーカイブ等の7日以上の公開は、有償版の購入と別途申請が必要です。
わからない事がありましたら羽白深夜子までご連絡下さい。
サイト掲載版を使う方は
使用申請フォーム
からご申請下さい。
【チークダンス】 (ちーくだんす) 男性1、女性1。 短いサシも書いていきたいなと思っていたら、インスタント修羅場になりました。 反社会的描写、暴力描写を含みます。 有償版販売ページは
こちら
。 【岩崎 明利(いわさきあきとし)】 二十代後半~三十代男性。飲食店勤務。 喜美佳とは同い年の夫婦。 【岩崎 喜美佳(いわさききみか)/女】 二十代後半~三十代女性。営業職。 明利とは同い年の夫婦。 女→夫婦の近所に住む主婦。 【配役表】 岩崎明利 : 岩崎喜美佳/女: ======================================= <夕食時。黙って帰宅する明利。> 001明利 :……なあ。 コレ、飯? 002喜美佳:あら、おかえりなさい。 夕飯じゃなければ何に見えるの? 003明利 :珍しいじゃないか、ハンバーグなんて。 今日は帰りが早いんだな。 004喜美佳:たまにはね。 あぁそうそう、お隣電気消えてるの見た? 家族でシンガポールですって。 商社勤めの旦那さんのボーナスで、昇進祝いで。 いいわねー。 005明利 :……悪かったよ、国内旅行すら連れて行けない旦那で。 006喜美佳:誰もそんな事言ってないでしょ。 007明利 :家一軒やっと買ったんだから、嫌味は勘弁してくれよ。 008喜美佳:だから、そんな話じゃないんだってば。 私達もどこか行きたくない? <着席する> 009明利 :どこか? って、どこに。 010喜美佳:それを二人で決めない? って話。 011明利 :いいんじゃない。 先にー……飯にした方がいいか。 012喜美佳:そうして。 ほら、食べて。 013明利 :ああ。 へー、帰ってからこんなに作ったのか? 014喜美佳:そうだけど? 最近仕事の所為で全然自炊してなかったし、そのお詫びに。 015明利 :<着席する> お詫び、……まあいいや。 何? 016喜美佳:ん? 017明利 :なんで、そんな見てるんだよ。 018喜美佳:別にいいでしょ? 019明利 :……食いづらいんだけど。 020喜美佳:何よ。 ほんとに女心がわかってない人ねぇ。 <立ち上がり、キッチンに向かう> 021明利 :何が女心だよ……。 022喜美佳:ワイン飲む? 023明利 :飲むけど、買って来たのか? 024喜美佳:そうよ。 025明利 :……本当にどうした? 何か買って欲しい物でもある? 026喜美佳:<笑う> ええ? 言えば買ってくれるの? 027明利 :金額によるけど、まあ。 旅行程じゃなければ。 028喜美佳:珍しい。 そんな事言ってもらえると思わなかった。 029明利 :まあ……最近、週末は俺が出掛けてて、話せなかったし。 悪いなとは思ってたんだよ。 030喜美佳:悪い事ないでしょ。 私もこの所仕事仕事って、そればかりだったから。 <グラスを置く> ──楽しかったんじゃない? 綺麗なお友達に遊んでもらってるみたいだし。 031明利 :は。 032喜美佳:<着席する> 先週の火曜? だったかな。 図書館の近くのカフェにいなかった? 外回りで見掛けたの。 033明利 :……。 034喜美佳:同じお店の子じゃないよね? 035明利 :最近新しく入った子だよ。 036喜美佳:新しく入った子とあなたが、どうしてスーツでお茶してるの? 037明利 :……。 038喜美佳:……ちょっと前に、黒髪でハーフアップにしてるスーツの若い子と一緒だった、って。 カヨコっているでしょ、式にも来てくれた私の友達。 見掛けたって言ってて。 039明利 :やましい事は何もなくて、 040喜美佳:ないのはわかってるから聞きたかったのよ。 新しいお店、軌道に乗り始めたって前に言ってたじゃない。 そんなタイミングで馬鹿な事するような人じゃないでしょ、あなた。 041明利 :……。 042喜美佳:だから、ちゃんと話を聞きたくて今日待ってたの。 買って欲しい物は特に無いけど、……本当の事と、思ってる事は聞きたい、かな。 043明利 :ごめん。 044喜美佳:謝らないで。 私も責めるような言い方をしてごめんなさい。 045明利 :グレーのスーツを着た子だろ? えっと……転職会社の方なんだ。 046喜美佳:え、転職……? 047明利 :そう。 その、店も、色々あったし、……。 この歳で転職となると、キミカが心配すると思って。 ちゃんと名刺もある、ほら。 048喜美佳:……ほんとだ。 049明利 :まずは話だけ聞いてみようと思って……ああ、カヨコさんがあの辺りで働いてるのか。 ごめん、変な誤解をさせて。 先に話しておけばよかった。 050喜美佳:そうだったの。 よかったぁ、私離婚されるんじゃないかってドキドキしてたんだから。 051明利 :悪かったよ。 いや、黙っていた所為でこんな料理が出てくるなんて、思ってなくて。 052喜美佳:だからって、……これからはちゃんと話してよね。 053明利 :わかった、わかった。 <食事に手を付け始める> それで? 054喜美佳:それでって? 頂きますの挨拶くらいちゃんと 055明利 :<遮る> 俺はいつ、転職したんだ? 056喜美佳:は? これから転職するんでしょ? 057明利 :新しい保険、契約しただろ。 店に連絡がきた。 058喜美佳:何それ、私知らないけど。 059明利 :知らない? ほんとに? 旦那様の転職を機に奥様が、って。 先月の今頃かな、保険の営業さんが確認に来て。 060喜美佳:……え? ちょっと何それ、私本当に知らない。 061明利 :あぁ、じゃあ断ってよかったんだな。 おかしいと思ったんだ、そう、保険法の話をしたらすぐ逃げ帰ったからさ。 062喜美佳:保険法? 063明利 :勝手に保険を契約すると、法に引っかかるんだよ。 064喜美佳:あ、それを保険法っていうの……どうしよう、私、何か変な事したのかしら。 065明利 :追い返したら来なくなったから大丈夫だと思う。 一応コールセンターにも俺から取り消すって連絡してあるし、だからお前にも黙ってて……。 最近こういう変な話、多いらしい。 キミカも気を付けろよ。 066喜美佳:……。 067明利 :知らないなら気にしなくていいから。 ほら、折角作ったのに食べないのか? 068喜美佳:……、また何かおかしな連絡がきたら、教えてね。 <食事に手を付け始める> 069明利 :わかった。 ああ、変な連絡じゃないんだけどさ。 070喜美佳:何? 071明利 :あの人形、リビングのテレビの横の。 アレ処分するのか? 072喜美佳:ああ。 073明利 :おばあちゃんからもらって、大事にしてるんじゃなかったか。 074喜美佳:でも、あなたずっと気味悪がってたし。 075明利 :だから処分するのか? 076喜美佳:そうだけど。 077明利 :そうか。 業者だったか、いつ来るんだ? 078喜美佳:……、あなたに、そんな話した? 079明利 :お前が電話してるのが聞こえたんだよ。 080喜美佳:ああ、他にも断捨離したい物があるから、今月中にはと思ってて。 081明利 :また業者が来る日がわかったら教えてくれ。 <笑う> 驚いたんだぞ、わざわざ披露宴に一席用意してやったのに、処分するのかって。 082喜美佳:おばあちゃんの写真も一緒に置いてたじゃない。 本当はお焚き上げっていうか、してもらった方がいいんだろうけどね。 やっぱりちょっとね。 ああいうビスクドールって、手入れも大変だから。 欲しいって言って下さる方へ渡した方がいいかなと思って。 083明利 :いいんじゃないか。 へー、そんな業者があるのか。 084喜美佳:中古買い取りみたいな感じよ。 クリーニングしてから、また店頭にって。 085明利 :処分じゃなかったか? 086喜美佳:<苦笑する> あなたからしてみれば、処分と変わりないでしょ。 私は、そうじゃないけど。 087明利 :まあ。 夜中に目が覚めて驚かなくて済むのは、ありがたいよ。 088喜美佳:もう古くなってたし。 思い入れだけで古い物を持ち続けるのも、ねえ? 089明利 :……そうだな。 新しく気に入った物があるならまた買えばいい。 090喜美佳:あなたがそれを言うの? 091明利 :おかしかったか? 092喜美佳:人形が苦手だって、あんなに怒ってたじゃない。 093明利 :どんなに思い入れがあっても夜中に見れば怖いんだよ。 094喜美佳:<溜息> そういう物事を、割り切れる人だと思ってたから。 今でいうミニマリスト? 095明利 :随分な言い草だな。 情は人並みにあるよ。 096喜美佳:そうねえ。 097明利 :お前も同じだろ。 あの人形が特別だっただけで。 098喜美佳:そうよ、小学生の頃から大切にしてたから。 でも──小型のカメラなんて仕込まれてたら、気味が悪くて置いておけないわよ。 099明利 :……はぁ? ……え、えっ? 100喜美佳:あ、あなたじゃなかったの? それなら、脅かしてごめんなさい。 あの子、あのビスクドールねえ。 興味のない人からしたら、何も変わりはないと思うのだけど。 目。 ドールアイ。 部品を買って私が入れ替えてるの。 違いなんてすぐにわかるわ。 101明利 :……か、カメラ? なんで。 102喜美佳:さあ? あなた、本当に何も知らない? 103明利 :……。 104喜美佳:私が引き取り業者の方に電話してる時。 あなた、家にいなかった気がするんだけど。 105明利 :……いたよ。 書斎にいたタイミングだった。 106喜美佳:あなたが書斎にいる時に、私が電話をしてて? 107明利 :そう。 108喜美佳:ふうん。 <スマホを手に取り確認し始める> 109明利 :なあ、食事中にスマホは、……食事どころじゃ、ないのはわかるけど。 110喜美佳:だって気持ち悪いじゃない。 私達どちらも知らない間にカメラが仕込まれてたのよ? 電話が木曜夕方、……そうね、あなたが家にいてもおかしくない。 ねえ、これって警察に言ったら対応してくれるよね? 111明利 :なあ。 なんでそんなに電話を気にしてるんだ? 俺がカメラを人形に仕込んだと思ってるのか? 112喜美佳:あなたしかカメラを仕込める人が、 113明利 :<遮る> そのカメラに、何が映ってるんだ? 114喜美佳:……何が、って。 私達でしょう。 他に何が映るの? 115明利 :画角……リビング、ああ、ソファーが映る程度か。 今確認してみるか。 116喜美佳:確認って。 ああいうのって触らない方がいいんじゃないの。 ほら、犯人の指紋が、とか。 117明利 :あぁー……、そうか。 確かにな。 <明利、テーブルの真ん中に、大きな茶封筒を投げ出す。> 118喜美佳:何? これ。 119明利 :何って、封筒。 120喜美佳:中見ていいの? 121明利 :どうぞ。 122喜美佳:<茶封筒の中身を探る> ……。 カメラの映像、確認してあるんじゃない。 123明利 :お前思ってたより、芝居が上手かったな。 カメラの話をすればもっと慌てると思ってた。 124喜美佳:この写真、人形のカメラで撮ったの? 125明利 :ああ。 転職は嘘、会ってたのは興信所の人、さっきの名刺はダミー。 カメラを仕掛けたのも興信所だよ。 126喜美佳:なぁんだ、全部気付いてたの。 127明利 :勝手に生命保険に入れられちゃあな。 アレは? 128喜美佳:彼氏にあなたのフリをさせたの。 馬鹿正直に職場を書いたのが失敗だったわね。 いいのよ金は、まだ入るアテがあるから。 得意になってる所で申し訳ないけど、もう遅いわよ。 残念ね。 あと一日早ければ、無事に逃げられ── <明利、喜美佳の顔面に塩酸を掛ける。> 129喜美佳:<短く悲鳴を上げる> 何!? 130明利 :最後に、変な所で気が合ったな。 <マスクを口元にあてがいながら> 131喜美佳:あああ、何、何よこれ、 132明利 :この防毒マスクと手袋、昨日受け取ったんだ。 あと一日早ければ無事に逃げられたのにな、お前こそ。 <明利、慌てふためく喜美佳に歩み寄り口を押える。> 133明利 :塩酸。 腐食性があって、皮膚と粘膜に炎症、目は失明の恐れアリ。 134喜美佳:──! <口を塞がれながら悲鳴を上げる> 135明利 :ガスも発生してるだろうから、呼吸困難も出るかも。 致死量ギリギリで、……あ、成分が違うから名前が変わる? 経口(けいこう)で摂取した訳でもないし。 まあ、その辺りは自分で確かめて。 136喜美佳:── <口を塞がれながら悲鳴を上げる> 137明利 :<溜息> そう騒いでも、隣は海外旅行だって言ったのはお前だろ。 仮に誰か見てたとしても。 これなら、家の中で抱き合ってる頭の悪い夫婦にしか、見えないだろうし。 138喜美佳:<明利の手を退けながら> 騙したの。 139明利 :お互い様だろ。 140喜美佳:<咳込みながら> 無駄よ、ハンバーグ食べたでしょう美味しかったでしょう、 ワイン、アルコールまで飲んで、 141明利 :何を入れたのか知らないけど。 お前がワインを取りに立った時、取り替えた。 俺の前にあったハンバーグと、お前のハンバーグと。 142喜美佳:……は……? 143明利 :傷も絞扼痕(やくこん)も無い体が、必要な人がいるんだと。 よかったな、買ってもらえて。 144喜美佳:<咳込みながら> 嘘、嘘でしょ、なんで気付いたの、 145明利 :気付くだろ。 最近は見向きもしなかった癖に、何が女心だ。 146喜美佳:<咳込みながら> 最後の最後まで、私を、踏み躙ってくれたわね。 147明利 :お誂え向きなんじゃないか。 最後の晩餐に、ああ、 148明利 :こうしてフラフラしてれば、踊ってるみたいで。 <庭先で電話する明利と、翌朝噂話をする女。> 149女 :ねえ聞いた? イワサキさんの奥さん! シンガポールへ旅行してるらしいわよ。 150明利 :<以下電話口> ──あ、もしもし。 お世話になっております、イワサキです。 あぁ先日は、どうも。 ……はい、はい。 ありがとうございました。 151女 :私もさっき、ゴミ出ししてた旦那さんから聞いたんだけど、ねえ。 コレってアレじゃない? いやだちょっと、あなた知らないの? この辺じゃ有名な話なんだから! <小声> あの人ねえ、旦那さんが仕事でいない週末、家に浮気相手を連れ込んでるのよ! 152明利 :無事に準備ができましたので、引き取りをお願いします。 はい、僕はホテルの方で。 ええ、ええ。 153女 :ねえ? あんな優しそうな旦那さん、何が不満なのかしら。 妻はお友達と息抜きの旅行なんですよーって言いながらニコニコしてて。 ウチのと取り替えて欲しいくらいだわ! 154明利 :いやいや。 ──何分人形が、大きかったもので。 155女 :奥さんも清楚に見えて、家が建った時はお似合いだなぁって思ってたんだけどねえ。 ねー、夫婦って、わかんないモンよねえ! 156明利 :梱包まで済ませておけば、そちらで処分して頂けると、妻に聞きまして。 2025.1.31 初版 羽白深夜子 2025.2.6 更新 羽白深夜子 2025.2.19 更新 羽白深夜子
サイトへ戻る
◆
文字サイズ変更:
A−
A
A+
行間変更:
詰
普
広
ナイトモード:
★