最終更新:2024/5/1
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【公演日は明日だぞ】 (こうえんびはあしただぞ) 男性4:女性3
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【和田 壮真(わだそうま)】 男性。この劇団を纏めている人。この本を読んでいて一番苦労する人。 公演日前日に稽古場に来たら役者がひっちゃかめっちゃかになってた。どうしよう! この状況を立て直せるのは自分しかいない!何が何でも立て直さなければ!公演日は明日だぞ! ※他のキャラクターから「団長」と呼ばれていますが、「座長」でも「部長」でもなんでもいいです。 全員で予め決めておいて下さい。 【荒巻 紘一(あらまきこういち)】 男性。六人の中では比較的真面目な部類の男の子。真面目ってなんだ……? ファッションセンスがズレており、明日の公演日には並々ならぬ思い入れがある。 【染谷 錦(そめやにしき)】 男性。可愛い女の子の味方。三人からしいて選ぶならニコが一番好み。 ニコは壮真に絶賛片想い中だけど、ニコが幸せならオッケーです!明日は公演日だから稽古には真面目に取り組んでいる。 【納屋 三朗(なやさぶろう)】 男性。伊千佳とどこか懐かしい感じの喧嘩をしてる男の子。 ずっと明日の公演で使うのかもしれない衣装を着ています。そう、明日は公演日だから。 【木津 伊千佳(きづいちか)】 女性。三朗とどこか懐かしい感じの喧嘩をしてる女の子。 「ちょっと男子ー!」ってすぐ言ってくる委員長タイプ。面映ゆいね。明日は公演日だからね。 【前山 仁子(まえやまにこ)】 女性。壮真の事が大好きな女の子。 部員全員が彼女の恋を愼ましく応援しているが、壮真の前に立つと緊張して素直にお喋りできなくなってしまう可愛い女の子。 明日は公演日だから、恋が叶うといいよね。 【玉城 光穂(たまきみほ)】 女性。女性三人の中で一番お姉さんな女の子。 お姉さんなので、甲斐性無しな男を見ると途端に強い子になっちゃう。明日は公演日なので、お姉さん力を発揮している。 【全員】 「和田壮真」役を除く全員。皆でハブいて下さい。 現実でのいじめとは許される物ではありませんが、これはお芝居なので、壮真以外の皆さんで滅茶苦茶結託して下さい。 和田壮真 : 荒巻紘一 : 染谷錦 : 納屋三朗 : 木津伊千佳: 前山仁子 : 玉城光穂 : ======================================= 001壮真 :演劇とは、宗教的な祭祀が発端だという説がある。 演劇とは、集団芸術であり、誰か一人でも欠ければそれはたちまち成り立たない。 公演はついに明日。 何もかもを完璧に揃えた、役者のコンディションも完ぺきと言って差し支えないだろう。 そう。 明日、客席には客が入る、幕が上がる、俺達は客の羨望の眼差しを知る。 そうして世界は出来上がる。 筈だった。 002壮真 :なのにどうしてこうなったのかがわからない! 003三朗 :どうしました、団長! 004壮真 :どうしましたも何も、ええ!? なにこの惨劇は!? 005伊千佳:最終稽古です! 006壮真 :どの口が宣(のたま)うか!? 007錦 :団長こそ、どうしたんですか! そんなに取り乱して! 008仁子 :団長、連日思い詰めてたみたいだし……お疲れなんじゃないですか? 009光穂 :そうね、私達が団長の分まで頑張らないと! 010壮真 :俺のぶ、……ええええ!? 俺がおかしいのか!? 011紘一 :落ち着いて下さい、団長。 俺達完ぺきに仕上げてきたんで、本日は最後のご指導、よろしくお願いします! 012全員 :よろしくお願いします! 013壮真 :……俺の手腕を見込んでくれている事は! 嬉しいぞ! 明日の公演、頑張ろうな! 014全員 :はい! 015壮真 :ただな? 団長な? 団長も人間なんだなー! 016全員 :はい! 017壮真 :復興工事の為に呼び出されたブルドーザーとかじゃねんだよなー! 018紘一 :団長はすごく人間です! 019三朗 :多分恐らく、生まれつき人間です! 020錦 :団長、どうなさったんですか!? 熱でもあるんですか!? 021仁子 :休まれた方がいいんじゃないですか……!? 022伊千佳:公演前で緊張しているんですか、団長は滅茶苦茶人間ですよ! 023光穂 :なにか悩み、そう、人間としての生き方に悩んだりしたら 私達に相談して下さいっていつも言ってるじゃないですか! 024壮真 :お前らが悩みの種なんだよ! 025仁子 :えっ!? どういう事ですか!? 026伊千佳:ちょっと男子ー! 誰よ団長の事悩ませてんの! 027三朗 :は? は? 何ですか、濡れ衣ですがー? お前の事じゃねえのかよ! 028錦 :女子一昨日稽古場の掃除しないで帰っただろ! 029仁子 :あの、あの、男子帰った後にちゃんと掃除したよう! 030錦 :あっそうなの!? ごめんね、ニコちゃんはなにも悪くなーいね! 031伊千佳:日頃の態度が悪いからこういう時疑われるのよ! 032三朗 :お前が男を目の敵にしてるだけだろ! だからモテねえんだよ! 033伊千佳:アンタだってごちゃごちゃうるさいからモテないのよ! 034錦 :正直どっこいどっこいだと思うんだよなあ。 035仁子 :イチカちゃんもサブロウくんも私よりモテるから! 喧嘩しないで! 036錦 :そうだぞ喧嘩するな! 二人とも良い奴だしニコちゃんは可愛いぞ! 037光穂 :そういう男子だって、この間全然台詞覚えないで稽古に来たじゃない! 038紘一 :ああ!? 女子の方が稽古中ピーチクパーチク私語でうるさいだろ! 039光穂 :私達は真面目に打ち合わせしてただけよ! 040紘一 :じゃあ、何時何分地球が何回回った時真面目な打ち合わせしてたんですか!? 041錦 :そうだそうだ! 自分達だって真面目にやってない癖に、 042仁子 :一昨日の十七時二十八分頃にお喋りしてたの謝るからぁ! 喧嘩しないで! 043錦 :ってニコちゃんが言ってるんだから、コウイチもつまんねえ揚げ足取りすんな! 大人げないぞ! 044壮真 :至極まともな事を言った筈が、図らずしも不穏でどこか懐かしい空気を作り出してしまった! 045仁子 :み、みんな、喧嘩はやめようってば! 046錦 :ニコちゃんの言う通りだ! 争いは何も生まない! お前ら今日が何の日かわかってんのか!? 047伊千佳:はー!? さっきからニシキ、ニコみたいなちょっと可愛い子に注意されたからって、 048光穂 :イチカ、一回落ち着こう! ニコとニシキの言う通りだわ。 049紘一 :確かに……公演前日、こうして揉めてる時間も惜しいな。 050仁子 :みんな……! うん! その意気で頑張ろ! 051伊千佳:……ちょっと言い過ぎたわ。 ごめん。 052三朗 :へへ、いいって。 言い過ぎたのは俺も同じだし、な。 053紘一 :ラブアンドピース! 054伊千佳:これが世界平和の縮図! 055錦 :俺達は、わかり合える! 056仁子 :みんなが笑い合える世界を! 057三朗 :そう! 演劇には、そういう力がある! 058光穂 :私達ならきっとできるよ! 059全員 :ご指導、よろしくお願いします! 060壮真 :……チームワークが物凄くいい事はわかった! 言いたい事は山のようにあるが! 061全員 :<褒められてちょっとはしゃぐ> 062壮真 :言いたい事は! 山のように! あるんだが! もういい、稽古するぞ! 用意しろ! 063全員 :はい! 064紘一 :よーし、がんばろう! 065錦 :ああ。 今までで一番の公演にしような! 066光穂 :ねえねえニコ、稽古始まったら、団長と話す時間なくなっちゃうわよ? 067仁子 :えっ!? 068伊千佳:そうよ! 先に話してきなって! 069仁子 :えーっ、恥ずかしいよ! 070壮真 :全部丸聞こえだぞ。 071三朗 :おっ。 俺達も協力してやろうか? 072伊千佳:アンタが余計な事したらややこしくなっちゃうわよ。 073三朗 :なんだと、この生意気女! 074伊千佳:誰が生意気よ! 075錦 :何なにニコちゃん、まだ団長と話してないの? 俺達も応援してるよ! 076紘一 :公演前だからな、団長の迷惑にならないように、話してこいよ! 077三朗 :コウイチ、さすまた持ってこい! 俺達で団長足止めすっぞ! 俺はタモ持ってくるわ! 078紘一 :ああ、わかった! ニシキはシーツを割いた物の準備を! 079錦 :おっけー! 団長って全長どのくらいだ……? 捕獲できるかな。 080壮真 :お手軽モンスターハンターかよ!? ちょ、おまっ、堂々と俺の全長を測るな! さすまたで威嚇するな! 081仁子 :えっ、えーっ!? 082光穂 :ほーら、がんばれ! 083伊千佳:男子も協力してくれてるんだから、ニコ、がんばれ! 084壮真 :全部聞こえ、やめっ、俺を捕獲するな! 報酬を増やそうとするな! 085仁子 :あの、団長! 086壮真 :なんだあ! 087仁子 :こっ……! 公演前に、団長に言いたい事があります! <壮真とニコ以外、囃し立てる。> 088壮真 :なんだ……? どうした、何でも言ってみろ。 089仁子 :あの! ……あの、……あのお! 090壮真 :おう、なんだ? 091仁子 :……やっぱ言えない! 092伊千佳:頑張って頑張って! 093錦 :公演前に言っちゃえって! 094仁子 :だって、何でも言ってみろって、 <全員を振り向いて小声で> かっこいいー! <壮真とニコ以外、囃し立てる。> 095壮真 :だから何なんだよ!? ほら、俺が捕獲される前に早く言えって! 096仁子 :す、すみません! えっと、えっと……! <壮真とニコ以外、小声で応援している。> 097仁子 :……すき焼き食べたい! <壮真以外、大盛り上がり。> 098光穂 :言えたじゃん! 099三朗 :ヤッベ感動した、今日イチ感動した! 100仁子 :やだーすごい緊張した、やだー恥ずかしいー! 101錦 :ナイスファイト! 102伊千佳:大丈夫、きっと団長にもニコの気持ち、伝わってるよ! 103紘一 :返事、返事聞こうぜ! 104壮真 :……えっ……食ってくれば……? 105光穂 :なんだテメエ甲斐性無しかコラァ!? 106壮真 :ヒイッ!? 107三朗 :ミホミホミホミホ暴力は! 暴力はよくない! 108伊千佳:ああっ! ミホの甲斐性無し男アレルギーが! 109紘一 :団長タモガード! タモでガードして! 110錦 :ステイ! ステイミホ! ステイ! よーし! 111仁子 :け、喧嘩しないでー! 112光穂 :フーッ! フーッ! 113壮真 :な、なんッ……タモで九死に一生を得る日がくるとは……! ええい、もう、あれだ! 稽古の準備はいい! 先にお前達に話さないといけない事がある、そこに列べ! <団長以外、ぶつくさ言いながら並ぶ。> 114壮真 :……思えば。 お前達にはまず、稽古云々の前に、この話をしなければいけなかった! 衣装どうしたソレ!? なんで全員世界観がバラバラなんだ!? まずコウイチとイチカ! 前出ろ! 115紘一 :は、はい! 116伊千佳:えっ、コレなんかおかしかった……? 117壮真 :お前本気で言ってるのか!? ナースがそんな短いスカート履いてる訳ないだろ! その、……そんなのイメク、ちょっと大人なお店でしか見た事ないぞ!? 118伊千佳:でもちゃんとドンキで、 119壮真 :手軽だからな、ドンキ手軽だからな! 公演内容と噛み合ってねえんだよ! 120伊千佳:えっ!? そんな馬鹿な!? 121壮真 :嘘だろお前!? 122紘一 :<笑う> イチカは昔っから、ちょっと抜けてる所があるからなあ。 123壮真 :コウイチはコウイチでなんだぁその、……その、何!? 地獄みたいなトレーナーなんだァ!? 124紘一 :しまむらのマネキンコーデです! 125壮真 :嘘だろお前、お前!? 何この舌出してるクソぶっさいくな犬! なんで胸元に「信じてくれ、俺は犯人だ」って英語で書いてあんの!? 126紘一 :おっ! 団長英語読めるんすね! 127壮真 :お前な!? 何コレ、えー嘘だろ!? 公演内容と一ミリも合ってねえんだよなあ! 128紘一 :ファッションセンターなのに!? 129壮真 :俺もうお前のセンスがわからないよ! えっ、明日お前らどういう芝居するつもりなの? 130伊千佳:えっと、私が看護師で、コウイチが患者です。 131壮真 :まあそうなんだろうな? 132伊千佳:じゃあ、見てて頂けますか? 133壮真 :結末がわかりきっていようが、うんとしか言えない俺の気持ちわかる? 134伊千佳:ありがとうございます! コウイチ、いくよ! 135紘一 :おう! 136壮真 :俺の心が置き去りなんだが? 137伊千佳:さん、にー、いち、 <手を叩く> 138紘一 :……ああ、俺の命もあと幾許もないのか……。 あの、木に一枚だけついた葉っぱが落ちる時、その時が俺の終わりなんだろう……。 139壮真 :割かしオーソドックスな感じでくるんだな。 140紘一 :つまんねえ人生だったな、何もできねえまま、俺って死ぬんだな……。 141壮真 :トレーナーの文字を信じれば、コイツがいるべきは病院じゃなくて警察なんだよな……。 142伊千佳:失礼しまーす。 ニシハラさん、検温のお時間ですよ。 143紘一 :ああ、看護師さん。 毎日すみませんね。 144伊千佳:いいえ。 体調はその後、どうですか? 145紘一 :何ともありませんよ。 俺ってもう、よくはならないんでしょ? 146伊千佳:そんな事を言わないで。 きっと、よくなりますよ。 147紘一 :……アンタは所詮他人だから、そうやって適当な事が言えるんだ。 148壮真 :コウイチの胸元のぶっさいくな犬、すげえ邪魔だな……。 149伊千佳:ニシハラさん。 今は具合が悪くて、心が弱ってるだけですよ。 病は気から、って言うでしょう。 150紘一 :看護師さん……。 151伊千佳:私達に任せて、安心して治療を受けて下さい。 152壮真 :待てイチカ、何故ボタンを外してるんだ。 153紘一 :……ありがとうございます。 俺、もう少し頑張ってみようかな。 154伊千佳:そう、その意気です。 さあ、お熱測るんでおでこ出してくださいね。 155壮真 :待て待て待て待てなんで患者に跨るんだ!? 156伊千佳:大丈夫、天井の染みを数えてるうちに終わりますよ。 157紘一 :えっ……!? 158壮真 :駄目ーーーーーーーーーーーーーー! それ以上は駄目! 全年齢対象! 全年齢に優しくして!? 垢バンされちゃう! 159伊千佳:優しくして……? 160壮真 :そこを拾わなくていいんだよ! 161紘一 :ちょっとよかったです! 162壮真 :お前の感想は聞いてねえんだよ! 163仁子 :やっぱりコウイチもイチカも、お芝居すっごい上手だよね! 164光穂 :だよね、私見ててドキドキしちゃった。 165壮真 :俺はハラハラしたぞ!? もう、もういい! 次! ニシキとニコ! 166錦 :はい! 167仁子 :は、はい! 168壮真 :……先に聞いておきたいんだが、その。 お前らは明日コウイチとイチカと同じ舞台に立つんだよな? 169仁子 :はい! 170錦 :まあ、出てるシーンは違いますけどね。 171壮真 :じゃなんでお前らその、西洋ヨーロッパ風なんだよ!? 172錦 :あっ、俺は兼ね役なんで 173壮真 :そういう話じゃねえんだよなあ! 174仁子 :わ、私は! その、団長が可愛いって言ってくれたから、その……! <団長とニコ以外の全員、囃し立てる。> 175壮真 :……うん、うん、あのな? 衣装違うんだわなあ。 俺が明日やると思ってた公演と、衣装全然違うんだわなあ……。 176錦 :とにかく! 俺達の芝居も見て下さい! 177壮真 :うん、もうわかった、わかったから……。 178錦 :やった! よかったなニコちゃん、がんばろうね! 179仁子 :うん、ニシキくん! それでは、「おやゆびひめ」! 180壮真 :やりたい放題じゃない……。 181錦 :親指姫は、自分を助けてくれた野ねずみのおば様からの結婚の誘いを、断る事ができませんでした。 地下に暮らす優しいもぐらのおじ様の事を、親指姫は尊敬してはいましたが、 もぐらのおじ様は太陽と花が大嫌い。 親指姫はもぐらのおじ様との結婚の為、太陽と花にお別れを言わなければなりませんでした。 182仁子 :さようなら、お日様。 さようなら、お花さん達。 ああ、可愛い小鳥さんも、綺麗な葉っぱも……。 私は地面の底に行って、もう二度とあなた達に会う事ができません。 さようなら。 183壮真 :もう色んな事を投げ打ったんだが、ここまではまともなんだよなあ。 184錦 :こんな所にいたのか、親指姫。 儂は暗い所が好きなもぐら、太陽と花……シャバの生温い空気が大嫌いでなあ。 185壮真 :ん? 186錦 :お前もこの儂に嫁ぐという事が、どういう事だかわかっているな? お前も夜に住まい、数多の悪行に手を染める地下の人間になるという事だァ……。 野ネズミのババアを騙した甲斐があった。 こんな器量良しを囲っていたとはなあ。 187仁子 :ええ、勿論その覚悟があってもぐらのおじ様に嫁ぐ事を決めましたわ。 だからどうか、どうか、野ネズミのおば様だけは……! 188錦 :<笑う> 中々聞き分けの良い娘だ、こっちに、グッ!? <急に刺される> 189仁子 :ふふふ……綺麗な花には棘が付き物でしてよ、おじ様! 私こそが、野ネズミのおば様の刺客! 花畑を荒らされた恨み! 晴らしに参りましたの! 190錦 :くっ……! は、謀ったな、あの……ネズミのババア……め……。 <死ぬ> 191仁子 :おば様、私、花畑の仇はとりましたわ! でも……! 私はこの血と罪に染まった両手を抱えて、もうシャバにはいられません! さようなら! 192壮真 :カットーーーーーーーーーーーーーー! えっ、何? 親指姫ってこんな凄惨な復讐劇だったの!? 193仁子 :団長! どうでしたか! 194壮真 :どっ、……ええー!? 195錦 :ニコちゃん、もぐらをナイフで刺しにくるのがちょっと早かったかな。 あそこはBGMの転換を待たないといけないけど、うん、BGMの方が間違ってたよな! 196仁子 :あっそうだった、BGMの事、忘れちゃってた! ニシキくん、ごめんね! 197錦 :いやいやいやいや! やっぱりニコちゃんは世界で一番可愛いからオッケーだよ! 198仁子 :それはよくわかんないけど、私が本気でもぐらのおじ様ぶっ殺せるの、ニシキくんのお陰だよ! 199壮真 :俺はもうどうしたらいいかわからない! あの、気合十分な所申し訳ないんだが! ちょっと考える時間をくれ! 俺に! 頭を抱える時間を! くれ! 200伊千佳:お疲れ! ニシキもニコもいい感じね! 201紘一 :ああ。 俺親指姫がもぐらのおじ様刺した所、思わず手に汗握ったぜ! 202壮真 :早く本家親指姫に謝った方がいい事だけはわかるッ……! 203錦 :俺は何も、ニコちゃんが可愛いから成り立ってる芝居だしな。 204仁子 :そんな事ないよ。 私、ニシキくんが一緒だから頑張れるんだよ、いつもありがとうね。 205錦 :あっ俺今死んでもいいな! 推しの笑顔尊いな! 206壮真 :ニシキはアイツ、近い将来顔が良い女に壺とか浄水器とか買わされるんだろうなぁ……。 207錦 :でも団長が心配だな。 ニコちゃんに笑顔向けられても頭抱えてるって、相当だぞ。 208壮真 :こちらこそお前が心配です……。 209光穂 :そうね。 今日はずっとああして頭を抱えてばかりだわ。 210仁子 :イチカちゃんミホちゃん、私のお芝居の所為で、団長悩ませちゃってるのかなあ……! 211錦 :それはない! 絶対ない! ありえない! ニコちゃんの芝居見て人類が得るのは勇気とか希望とかそういう何かしらだよ! 212壮真 :アイツ喧(やかま)しいなあ……。 213伊千佳:ニコもよくやってるよ。 そんなに悩まないで。 214三朗 :団長が悩んでんの、イチカの事なんじゃね? 215伊千佳:はあ? 216三朗 :ダイエットして来ましたかー? 太い足丸見えなんですけどー? 217伊千佳:サブロウ、アンタだって人の体型にケチつける前に、自分の顔面どうにかしたら? 218三朗 :何だとブス! 219伊千佳:何よ不細工! 220壮真 :ちょいちょい思ってたんだが、イチカとサブロウの背景に懐かしい教室が見えるんだよなあ……。 221錦 :あーあ。 始まったぜ、サブロウのヤキモチ。 222壮真 :そうなの!? 223紘一 :俺も相手役変わるか? ってサブロウに聞いたんだけどな。 すごい勢いで断られた。 224壮真 :そうだったの!? 225仁子 :イチカちゃんも素直じゃないから……。 226壮真 :団長衝撃の事実! 227光穂 :まあ、これまで通りみんなで見守ってあげましょ。 228壮真 :ねえもしかして俺だけが知らなかったの!? 229伊千佳:どうしたんですか、団長? 230三朗 :さっきより元気そうですね。 稽古再開しますか? 231壮真 :な、……なんか二人ともごめんなー!? お幸せになー!? 232三朗 :え? 何がですか? 233伊千佳:元気になったのなら、早く稽古再開して下さい。 公演日は明日なんですよ? 234壮真 :よ、……よーし、そうだな、よーし! 俺の預かり知らぬ所で青い春がきていた事に戸惑いを隠せない訳だが! 235仁子 :えっ!? 236錦 :おいおいおい今のニコちゃんの事じゃね!? 237紘一 :ニコ、もっかい話してこいって! 238壮真 :ん? 239仁子 :えっ! えっ! 240光穂 :もう一推し! 241伊千佳:言っちゃえ言っちゃえ! 242三朗 :はいはいはい団長、ニコから大事な話があるそうです! 243壮真 :さっきもそう言ってたな……? どうした。 244仁子 :あ、ええと、ええっと……! 公演前に、団長に言いたい事があります! <壮真とニコ以外、囃し立てる。> 245壮真 :……そうとう大事な話なんだな? 246仁子 :あの、はい! 247壮真 :わかった。 今し方、俺の知らない団員の一面を見たばかりだ。 俺は、お前達との対話が足りなかったのかもしれない。 聞こう。 248仁子 :えっとぉ……あの、あの……! 249壮真 :ああ、ゆっくりでいいぞ。 250仁子 :……やっぱり駄目! 251紘一 :頑張れ! 252三朗 :ニコならやれる! 253仁子 :ゆ、ゆっくりでいいって <全員を振り向いて小声で> 姿勢が真摯だよおー! <壮真とニコ以外、囃し立てる。> 254壮真 :な、なんだ、どうした? 255仁子 :ごめんなさい、ちょっとあの、視界が幸せで! 256壮真 :そうか。 ちょっとよくわからないが、とりあえず話してくれるか? 257仁子 :はい! ……す、すっ、……す! 258壮真 :す? なんだ? <壮真とニコ以外、小声で応援している。> 259仁子 :スキレットを買おうと思ってます! <壮真以外、大盛り上がり。> 260錦 :言った! よく言った! 感動した! 261仁子 :きゃー、言っちゃったー! 262伊千佳:もう新居の利便性考えてるなんて、ニコは旦那さん思いね! 263三朗 :ほら見ろ、団長感動して唖然としてるぞ! 264壮真 :……うん! あの、小さいフライパンみたいなヤツな! あると便利だよな! 265光穂 :なんだテメエ甲斐性無しかコラァ!? 266壮真 :ヒエッ!? 267伊千佳:ミホ落ち着いて! 268三朗 :うわッ! こんなに綺麗に決まったフィギュア・フォー・ネックロック初めて見た! 269仁子 :ミホちゃんの甲斐性無し糞野郎アレルギーがこんなにも重篤だなんて! 270紘一 :ミホ! ミホ! そいつはお前が倒すべき敵じゃない! 271光穂 :浮気かあ! 借金かあ! 272錦 :タオルタオルタオルタオル! 273光穂 :はっ、私は一体何を……!? 274紘一 :よかった、まだ自我はあるんだな! 275光穂 :私ったらまた……!? みんな、ごめんね! 276伊千佳:いいのよミホ。 ミホの甲斐性無し男アレルギーが治るまで、みんなで協力しようって話したじゃない。 277三朗 :そうだぞ。 今更謝ったりすんなよ、水臭いな。 278壮真 :<ぜーぜー言いながら> 初耳! 279仁子 :ミホちゃんが本当は、優しい女の子だって事。 プロレス技を瞬時に繰り出せるような女の子じゃないって、私達知ってるよ。 280壮真 :<ぜーぜー言いながら> 確実にプロの動きだったのに!? 281光穂 :みんな……! ありがとう! 282錦 :よっしゃ! いつものやっとこうぜ! 283紘一 :ラブアンドピース! 284伊千佳:これが世界平和の縮図! 285錦 :俺達は、わかり合える! 286仁子 :みんなが笑い合える世界を! 287三朗 :そう! 演劇には、そういう力がある! 288光穂 :私達ならきっとできるよ! 289壮真 :<ぜーぜー言いながら> ……お、俺は……! 290紘一 :いけない、団長が疎かになっていた! 291伊千佳:大丈夫ですか団長! 292錦 :誰にやられたんですか団長! 293仁子 :死なないで団長! 294三朗 :くそっ、団長の弔い合戦だ! 295光穂 :団長にこれだけの怪我を負わせるなんて、相手は相当な手練れよ! 296壮真 :犯人はミホ! 俺は甲斐性無しじゃない! 浮気も借金もどっちもしない! <壮真以外、大盛り上がり。> 297三朗 :ヒュー! 熱烈ー! 298錦 :初めての共同作業は、新品のスキレットですき焼きに決まりだな! 299仁子 :もー、揶揄(からか)わないでよう! 初めてはアヒージョだって、私決めてるの! <壮真以外、大盛り上がり。> 300壮真 :……俺は夕飯の相談をされてる、で合ってるんだよな……? 301光穂 :大丈夫ですか団長。 公演はもう明日ですよ、しっかりして下さい。 302壮真 :俺の台詞なんだよなあ!? っていうか、っていうか! 頭を抱えるのはやめた、俺は前しか見ない! ミホ、サブロウ! 次はお前らだ! 303三朗 :はい! 304光穂 :はい! 305壮真 :……お前らの事が一番わからないんだよ、俺……。 306光穂 :えっ、見てわかりませんか? 307三朗 :ミホ。 団長も公演前で疲れてるんだ、あまりキツく当たるなって。 308壮真 :お前達の所為で疲れてるんだよ。 後、ミホが思いの外強い子で今後の身の振り方考えてんだよ。 309三朗 :とりあえず、先に俺達の芝居を見てもらおう。 310光穂 :……そう、だね。 ちょっと不安だけど。 311三朗 :俺とミホならできるさ。 よし、やるぞ! 312壮真 :うん、もう、やりたいようにやってくれ……。 313光穂 :いっけなーい! 遅刻遅刻! 私、昨日株式会社ポセイドンに入社した人魚姫! 今日から会社の海中オリエンテーションだっていうのに、うっかり寝坊しちゃった! もー私の馬鹿バカー! パパもママもどうして起こしてくれなかったのよー! キャッ!? <サブロウとぶつかる> 314三朗 :いって!? ……おいおいおい、どこ見て歩いてんだよ。 315光穂 :あ、アンタこそ! どこに目付けてんのよ! 316三朗 :いっけね、俺急いでんだよ! アディオス、おっちょこちょいさん! 317光穂 :む、むかつくー! 何よアイツ、ヤな奴ヤな奴ヤな奴! はあ、入社早々ついてないなあ。 気持ち切り替えてがんばろうっと! 318三朗 :おい、おっちょこちょい。 319光穂 :えっ!? ……な、何よ! また文句言いにきたの!? 320三朗 :落としてっぞ、ワカメ。 じゃあな。 321光穂 :えっ……。 322壮真 :カットーーーーーーーーーーーーーー! 323光穂 :まだ途中です! 324壮真 :まだ途中でももうこの後の展開わかってんだよ! 会社で出会って、朝の嫌な奴! どうしてここに!? ってなるんだろ!? 何だかんだいい感じになるんだけど初対面の印象は最悪って所だろ!? 325光穂 :ど、どうしてわかったんですか……!? 私の芝居、どこかおかしかったですか!? 326壮真 :第一声から何もかもおかしくないからわかったんだよ! 全てがおかしいんだけどな!? 327光穂 :流石団長……! 328壮真 :もう流石とかなんとか言われても何とも思わないが、うん、あの。 ミホは新入社員で人魚姫なんだな! で、なんでそんなパツッパツのスーツを着てる? 人魚姫なんだろ? 329光穂 :現代版……。 <困惑している> 330壮真 :それっぽい言葉使えば許されると思ってるな? 331三朗 :そんな事ありません、団長! 俺達は俺達なりに必死に! 332壮真 :お前が一番わからないよ! 何でピンクの全身タイツ着てるんだ!? 333三朗 :サンゴ役だからです! 334壮真 :お前さっきアディオスとか言ってなかったか!? サンゴスペイン語使うの!? サンゴ格好いいかよ! 335三朗 :ちなみにこのあと社内の階段、海中の岩場ですれ違ってキミの名はって 336壮真 :やめろ、止めろオ! ああ、もう、疲れた! 一回休憩するぞ! 全く……! 337三朗 :<溜息> ……全く、団長、どうしちゃったんだろうな。 338光穂 :そうね。 こんなに頭を抱えてばかりの団長、初めてだわ。 339壮真 :全部聞こえてるからな。 340錦 :もしかしてさあ。 さっきのニコちゃんのアレ、意識してるんじゃね? 341仁子 :えっ、私!? 342伊千佳:えーっ、ありえる、ありえるよニコ! 343紘一 :今休憩だから、もう一押ししてきちまえば? 344仁子 :えっ、えっ、団長に悪いよお……! 345光穂 :いっちゃえいっちゃえ! 女は度胸、だよ! 346三朗 :そうだよ、明日は公演なんだから今言っちゃえって! 347仁子 :え、えーっ!? 348伊千佳:団長! ニコが話があるそうです! 349仁子 :ちょっと、イチカちゃん! 350壮真 :ずっと聞こえてる訳なんだが、まあ、……。 最初はモンスターハンター簡易版の所為でちゃんと聞こえなかったし、 二度目は、うん……ちょっとその後のショックが大きくて思い出したくないからな。 どうしたんだ、ニコ。 またすき焼きの話か? 351仁子 :えっ!? そ、そんなえっちな話じゃありません! 352壮真 :ん? ん、まあ、うん、一回話聞くわ。 353仁子 :……あのお……。 354壮真 :おう、とりあえず話してくれたらもう何でもいいぞ。 355仁子 :…… <全員を振り向いて小声で> ねえやっぱ格好良いー! 356紘一 :頑張れって! 357三朗 :言っちゃえ、言っちゃえ! 358光穂 :ニコ、頑張って! 359伊千佳:ファイト! 360壮真 :……思えば。 361仁子 :えっ、はい? 362壮真 :ニコ。 お前は、人見知りを治したくて芝居を始めたんだったな。 それが今はこうして、劇団員全員に愛されて。 芝居も、公演内容を無視している事を除けば随分立派になったな。 公演内容を無視している事さえ除けば。 363仁子 :だ、団長……? 364壮真 :最初はどうなる事かと思ったが。 いや今もどうしようとは思ってるんだが。 団長の俺に委縮するばかりだったのが、こうして、俺に何かしらを直談判するまでになったのか。 俺は嬉しいよ。 俺にできる事なら、何でも叶えてやる。 だから、とにかく話してみろ。 365仁子 :……団長……! ありがとうございます! 366壮真 :ああ。 367仁子 :……あ、あの、す、……すっ……す……! 368壮真 :す? なんだ、酢の物か? <団長とニコ以外、小声で応援している。> 369仁子 :……隙のない布陣! <団長以外、大盛り上がり。> 370仁子 :言っちゃった言っちゃった言っちゃった! 371光穂 :付き合う前からそれは、それはちょっと大胆だって! 372伊千佳:でも団長奥手だからさ、このくらいがいいと思うよ! 373錦 :おいおいおい、初デートどこ行くんだよー! 374仁子 :福島スパリゾートハワイアンズ……! 375三朗 :ヒュー! プールと温泉に水着で入れる複合施設ー! 376壮真 :俺に何が起きてるんだ……? 377三朗 :よし! 団長とニコの門出を祝して、いつものやっとくか! 378錦 :ああ! 全員で気合い入れようぜ! 379伊千佳:これが世界平和の縮図! 380錦 :俺達は、わかり合える! 381仁子 :みんなが笑い合える世界を! 382三朗 :そう! 演劇には、そういう力がある! 383光穂 :私達ならきっとできるよ! 384紘一 :お前ら、盛り上がってないでそろそろ真面目に稽古に取り組めよ! 385壮真 :おっと? 386紘一 :公演はもう明日なんだぞ! 俺、俺は……! 387壮真 :風向きは変わったが不穏オブ不穏! 388紘一 :……俺は、この公演に……! 389仁子 :ど、どうしたの、コウイチくん? 390紘一 :俺は! この公演に、全てを賭けてるんだ! 391伊千佳:コウイチ……!? 392三朗 :まさか、お前! 393紘一 :止めるなサブロウ! 俺、俺は……! 394錦 :馬鹿野郎! みんなで話し合ったじゃないか! 395光穂 :そんな重責、コウイチが一人で負う必要はないのよ! 396紘一 :いや、これは俺の問題だ。 ……お前らには、迷惑を掛けたな。 397壮真 :またも団長が与り知らぬ事象! 398伊千佳:コウイチはいつもそうよ! そうやって一人で抱え込んで……! 399三朗 :なあ、俺達の事がそんなに信用できねえのかよ!? 400紘一 :俺が、自分で決めた事なんだ。 お前らと舞台に立つのは、これが最後になるかもしれない。 401仁子 :コウイチくん……! そんなの嫌だよ! 402紘一 :……本当の事を言えば。 俺だってずっと、お前らと芝居をしていたいよ。 でも! 俺は決めたんだ! ポメラニアンのゴロウの出産に立ち会うって! 403壮真 :ん? 404錦 :止めとけって! あいつら本当に可愛いんだぞ!? 405三朗 :子犬のポメラニアンなんてほぼほぼ鈍器だぞ! 早まるなコウイチ! 406紘一 :それでも俺は! ポメラニアンフィーバーに立ち会うんだ! 407光穂 :誕生の瞬間を見守るだなんて、人生観変わっちゃうわよ!? 408伊千佳:確かに家族の一員として見逃せない瞬間ではあるけれど! 409仁子 :お願いコウイチくん、考え直して! 410壮真 :待て待て待て待て待て。 411三朗 :どうしましたか団長! 412壮真 :……ぽ、ポメ……? 413紘一 :はい! もうすぐ家で飼ってるポメラニアンのゴロウの子供が産まれるんです! 産まれたら、みんなにも写真送るな! 414全員 :<はしゃぐ> 415紘一 :グループラインでいいか!? 416壮真 :そのグループラインも俺知らねえんだよォ! <泣き出す> 417紘一 :いけない、団長が稚児(ちご)の如く泣いている! 418伊千佳:大丈夫ですか団長! 419錦 :誰にやられたんですか団長! 420仁子 :死なないで団長! 421三朗 :団長の弔い合戦だ! 422光穂 :団長をこれ程みっともなく泣かせるなんて、相手は中々真っ当な人間よ! 423壮真 :犯人はお前ら! 俺もその青春の一ページに仲間入りさせろよお! 424紘一 :えっ……。 <ここから小声。> 425紘一 :ニシキ、お前が団長をグループラインに誘うって話じゃなかったのかよ。 426錦 :いや、ミホが誘うんじゃなかったっけ? ほら、みんなでカラオケ行った帰りに……。 427光穂 :私団長のライン知らないわよ。 ニコ、知ってる? 428仁子 :う、うん、ごめんね、私が誘うって話だったのかも……? 覚えてないけど、私が誘う筈だったのかもしれない……! 429錦 :いやいやいや、ニコちゃんの所為じゃないって! サブロウかイチカじゃなかったっけ? 430紘一 :あ、そうだ! お前らのどっちかが誘うってミスドの帰りに話したぞ! 431三朗 :俺じゃないぞ。 二人で帰った時にイチカが私が誘うからって、 <小声ここまで。> 432伊千佳:二人で帰ったとか言わないでよ! 別に。アンタと二人で帰りたくて帰った訳じゃないんだからね! 433三朗 :お前が文房具屋寄るから一緒に帰ろうって言ったんだろ!? 434伊千佳:その次に一緒に帰った時に男の俺から誘うって言ったのサブロウじゃない! だから私、もう団長はグループラインに入ってると思って! 435三朗 :それはお前、……お前! お前の事を誘うって言ったんだよ! 436伊千佳:えっ……!? 437壮真 :お前ら俺の預かり知らぬ所で仲良くしてんじゃん! 親交深めてんじゃぁん……! 俺なんか、ニコから公衆の面前で夕飯の相談されるのが関の山なのにィ……! <泣いてる> 438紘一 :しっかりして下さい団長! 439光穂 :今! 今私招待しましたから! 440壮真 :グループラインとかさあ! カラオケとかさあ! ミスドとかさあ! <泣いてる> 441錦 :今度みんなで一緒に行きましょう、ね! 442壮真 :楽しそうだしさあ! なんかいい雰囲気出してるしさあ! <泣いてる> 443伊千佳:出してません! 444三朗 :微塵も出してません! 445仁子 :今私、ポケモンのスタンプいっぱい送りましたから! 446壮真 :ほんとだ可愛い……お前ら、二度と俺の事ハブんなよ……! 447三朗 :わっ……かりました! 448光穂 :もっ……ちろんです! 449仁子 :頑張ります! 450紘一 :検討します! 451伊千佳:善処します! 452錦 :一度弊社に持ち帰ります! 453壮真 :俺は前しか見ないから! 含まれている何かしらは無視するからな! ……騒いで、すまなかったな。 454伊千佳:団長、元気になりましたか! 455壮真 :ああ。 迷惑を掛けたな。 456三朗 :よっしゃ! 胴上げいきますか! 457壮真 :そこまでじゃない! 458光穂 :じゃあ、いつもので景気づけしましょう! 459紘一 :ラブアンドピース! 460壮真 :おう! 461伊千佳:これが世界平和の縮図! 462壮真 :そうだな! 463錦 :俺達は、わかり合える! 464壮真 :ああ! 465仁子 :みんなが笑い合える世界を! 466壮真 :作れたらいいな! 467三朗 :そう! 演劇には、そういう力がある! 468光穂 :私達ならきっとできるよ! 469壮真 :おー! <一瞬静まり返る。> 470全員 :稽古再開、よろしくお願いします! 471壮真 :……俺の心は理不尽の大空襲真っ只中なんだけどな……? ま、まあ、お前らが気合に満ち満ちている事はよくわかった、 だからその、うん、公演当日の流れを順番に追ってみるか! 472全員 :はい! 473壮真 :はい、お客さん入りました! 474全員 :<元気よく> いらっしゃいませー! 475壮真 :うん、入店はしてないんだ! わかった俺の言葉が悪かったかな! はい、お客さん入場されました! 476全員 :<元気よく> こんにちはー! 477壮真 :はい! こんにちは! 元気は伝わるな! もう、お前らの元気がいいのはよくわかった、伝わった! だからな、ちゃんんと! 改めて! 公演の内容を確認しような! 478錦 :えっ……。 479伊千佳:<小声> アレさあ、ちょっと団長のセンス疑うっていうか……。 480光穂 :<小声> うん、ないよね……。 481紘一 :団長、やっぱりもう一回考え直してもらえませんか!? 482三朗 :俺達あんなダサ……幼児向けの内容やるんですか!? 483壮真 :お、……お前らなんだ今更!? まあ確かに、今回の公演は俺のオリジナル脚本だが、処女作なんだが……。 稽古中お前ら、何も言わなかっただろ!? 俺の書いた「突拍子もなく流暢な横文字が混ざる桃太郎」駄目かー!? 484錦 :だっさ……くはないんですけど、もうちょっとどうにかなりませんか!? 485仁子 :だ、ダサくはないです団長! 大丈夫です! 今からみんなで頑張りましょう! 486壮真 :丁寧にダサいダサい繰り返して俺にトドメを刺すな! いいか! よく聞け馬鹿共! 公演日は! 明日だぞ!?
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