最終更新:2025/11/13 利用規約をご一読下さい。
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【公安夜行班「リソルジメント」】 (こうあんやこうはん「りそるじめんと」) 男性3~4、女性3。 反社会的描写を含みます。 台詞が一言のみの端役が非常に多いです。ちょっとだけ甘酸っぱい思いができます。 ※銃の構造について、調べた上で書いてはいますが間違いがあっても創作だと思って下さい。  それほど的外れではないと信じてます。 有償版販売ページはこちら。 【三上 礼良(みかみれいら)】 30歳男性、公安夜行班室長。 前職はフリーのSE。 【風早 古都(かぜはやこと)】 25歳女性、夜行班員。 前職は世界大会に出場しているライフル射撃選手。 視力が飛びぬけて良い為、視力を下げる為に眼鏡を掛ける事が多い。 【小早川 貴(こばやかわたか)】 34歳男性、夜行班員。 前職は警視庁警備局公安課SP。 唯一結婚している妻子持ち。5歳の娘と2歳の息子がいる。 【瀬那 環(せなたまき)】 32歳、夜行班員。 前職は警察庁警備局外事課勤務。 【朝地 芙由(あさじふゆ)】 26歳女性、夜行班員。 前職は生活安全課勤務の婦人警官。 並外れた聴力を持つ。 ※配役を兼ねる場合、「アナウンサー」役を兼ねて下さい。 【犬飼 修治(いぬかいしゅうじ)】 26歳男性、夜行班員。 前職は世界大会に出場している柔道選手。 【大津 絽衣(おおつろい)】 23歳男性、自営業。 銃器のカスタムを行う「組み屋」を自称する青年。 母親がイタリア人のハーフで、銃器全般と競技選手時代の風早古都の熱心なオタク。 (作中に国名は出ません) 【古都父/古都母/友人1・2/担任/記者1・2】 古都の射撃部時代~選手時代、彼女の活動を好意的に応援していた人達。 ※「風早古都」役以外の方で兼ねて下さい。 【ポスト1~5】 古都を選手引退まで追い込んだSNSの書き込み。 ※「風早古都」役以外の方で兼ねて下さい。 【アナウンサー】 ニュースを読み上げるアナウンサー。 ※配役を兼ねる場合、「朝地芙由」役を兼ねて下さい。 【配役表】 三上礼良: 風早古都: 小早川貴: 瀬那環 : 朝地芙由: 犬飼修治: 大津絽衣: ※以下、回想内の兼役の割り振りについては「兼役有配役表」を参照して下さい。 古都父 : 古都母 : 友人1 : 友人2 : 担任  : 記者1 : 記者2 : ポスト1: ポスト2: ポスト3: ポスト4: ポスト5: アナ  :
◆兼役有配役表
あくまで目安のご提示です。参加される方で調整してご利用下さい。 ■回想内のみのキャラクターの割り振りについて。 古都父・担任 :男性固定 古都母・友人1:女性固定 友人2・記者1・2・ポスト:性別不問 ※「アナウンサー」役は「朝地芙由」役の方が兼ねて下さい。 ■男性役(男性三名の時)==========  三上礼良(ポス1)  小早川貴(担任・古都父・記者2・ポス5)  犬飼修治・大津絽衣(友人2・ポス3) ※「犬飼修治」と「大津絽衣」は作中会話をしないよう調整していますが、出番は直近になります。  上記の都合「犬飼修治」の台詞が比較的少ない為、男性役者は三名での使用を推奨します。 ■女性役(女性三名の時)==========  風早古都  瀬那環(古都母・記者1・ポス4)  朝地芙由(友人1・ポス2・アナウンサー) 兼役が非常に多い本となっていますが、比較的台詞が多くない 「小早川貴」「瀬那環」「朝地芙由」をご担当される方メインで回想内を割り振って頂ければと思います。
======================================= <規制線が張られた工場地帯。> 001貴  :じゃあ、こっち撤収しますねー。 002礼良 :タカさん。 見つかりました? 003貴  :駄目、こりゃ残骸持ち去られたな。 004礼良 :あの右腕と顔が吹っ飛んでた重傷者が、撃ったんでしょうね。       <無線> ──タツミ市西工場地帯B区画爆発、撤収。 005環  :<無線> ──了解。 撃たれた、ってか撃たれそうになったヤツ?       そっちはいなかったの。 006礼良 :<無線> ──見つかってない。 007芙由 :<無線> ──爆発、今月もう何件目? 008礼良 :<無線> ──なんと四件目。 009環  :<無線> ──今日のは顔と右手両方吹っ飛んでたからなー。 010修治 :<無線> ──思い出させないで下さい! 俺スプラッタダメなんです! 011環  :<無線> ──あんなモン慣れだ慣れ! 012芙由 :<無線> ──今月だけで死亡三名、生存者も右腕切断でしょ? 013環  :<無線> ──フユ、その辺にしてやって。 シュウジうるっせえなお前 <無線が切れる> 014礼良 :<苦笑する> ……違法改造銃の暴発ねえ。 015貴  :銃が爆発四散しちまう訳だから、証拠すらマトモに残んないって。       誰かの仕業なら頭良いね。 016礼良 :性格が悪い、じゃなくて? <溜息> 住宅街、薬物取引現場、市街地に、今日の工場地帯。       先月は所持者の自室やら、自宅ガレージなんてのもあったっけ? 017貴  :犯罪現場だったりそうじゃなかったり、それだけ出回ってるって事なのかなぁ。 <銃声。> 018絽衣 :うわぁっ!? <尻もちをつく> 019礼良 :あ? 020貴  :何? ……コト? <コトが二人の隣を走ってすり抜ける> 021古都 :<絽衣に向けて> あなた。 お二人の会話、ずっと聞いていましたね? 022絽衣 :ごめんなさい悪気はないんだ! お姉さん、そっちのお兄さん達も警察の人でしょ?       話し掛けたかったけど忙しそうだったから……ていうか、お姉さん今どこから撃ったの? 023古都 :あ、あそこの車の裏からです。 024絽衣 :……うっそ。 あんな所から? 025古都 :も、もしかして悪い人じゃなかったですか!? ごめんなさい! 026礼良 :悪い人じゃなくても。 規制線の中に入るのは感心しねえな。 027貴  :潜伏してた犯人って誤解されちゃうかもだからね。       お兄さんとりあえず── 028絽衣 :職質っすか! はい、銃持ってます! <急いで銃器が並んだケースを開ける> 029礼良 :<吹き出す> 030絽衣 :ちょっと署でお話しさせてもらっていいですか!? 031貴  :それ俺達の台詞なんだけどね? 032絽衣 :だって! <夢中で古都の手を握る> 033古都 :ん? 034絽衣 :すっげぇ女神がいたと思ったら、カゼハヤコトじゃん! コットンバレルのカゼハヤ! 035古都 :あ、あはは。 ご存知なんですか? 036絽衣 :ご存知も何も! あの! その! めっちゃファンですッ! サイン下しゃい! 037古都 :……噛みました? 038絽衣 :はい、噛みました……。 <署内。> 039礼良 :えーっと。 そっちがご希望なら、カゼハヤが話聞こっか? 040絽衣 :いえ……噛んだの忘れたいんで、ちょっとそっとしといて下さい……。 041貴  :<笑う> そうかあ、コトの選手時代のファンの人か。       世界大会にメディアに、引っ張りだこだったもんなぁ、会ったらびっくりするよなぁ。 042絽衣 :そうなんですよ、ほんともー恥ずかしい……。       <咳払い> 気を取り直して俺、名前はオオツロイって言います。       お兄さん方、銃犯罪対策局って所の方ですか? 違ったらそちらを教えて下さい。 043貴  :あらま、ご指名? 一応公表されてない部隊なんだけどな。 044礼良 :銃犯罪対策局、ミカミとコバヤカワです。 045絽衣 :おー……もしかして、カ、カゼハヤさんもですか? 046礼良 :そ。 んで? お兄さん随分若そうに見えるけど? 047絽衣 :二十三です。 所持と銃器修理のライセンス、どちらも持っています。       <免許証を出しながら> 公安認可の特殊銃器修理免許も欲しいと思ってて、今勉強中で。 048貴  :へええ、すごいね。 若いのに修理まで。       <小声> 特殊銃器修理免許ってアレ、取るとGPSで行動監視キツいよ? 049絽衣 :それより作業場所が限られる方が問題かな。 まぁその辺はしょうがないですよ。       やっぱりこういう所で働かれてると、お詳しいんですね! 050貴  :あはは、まあね。 051絽衣 :で。 すみません、会話を立ち聞きするつもりは本当になかったんです。       話し掛けたかったから、喋りたい事は粗方固まってるんで。       俺から一通り喋っちゃってもいいです? 052礼良 :どうぞ。 こっちが聞きたい事があれば、都度突っ込むんで。 053絽衣 :ありがとうございます。 んーっと、まず、なんですけど。       対策局って、「組み屋」ってのは把握されてます? 054礼良 :……してる。 裏で金もらって、銃の違法改造を請け負ってる連中でしょ。 055絽衣 :ちょっと訂正したいかな。 違法改造だけじゃなくて、合法のカスタムも含まれるんですよ。 056礼良 :成程? 057絽衣 :ま、要は俺がその組み屋を個人でやってまして。 情報提供をしたいんです。 058礼良 :へえ? 裏社会の職人が、わざわざ警察に。 059絽衣 :うわ、職人って呼んでもらえます!? 嬉しいなあ! 060礼良 :あ? 061絽衣 :組み屋、あはは。 こう自己紹介しといてアレなんですけど。       俺と他所の組み屋を一緒くたにしないで下さい?       俺はね、銃って人を殺すだけの道具じゃないと思うんです。 062礼良 :はぁ。 063絽衣 :手短に自分語りをすると、祖父が生前カスタムガンスミス、海外の銃職人だったんです。       ベレッタ、ここは有名所ですね。 ファブリ・アルミーニ、ペルッツィ、チマロ……       どうしてあんな美しい物、人の知恵の結晶が、人を殺す、それだけの道具に収まるんでしょう。 064貴  :へー。 なら、小さい頃から銃がある程度身近だったんだね。 065絽衣 :そう! 祖父のようにとはいかなくても、俺も銃を弄ってて。       でも最近、俺が産んだ銃がどういう訳か悪さをしてるみたいで。 066礼良 :……おい、まさか。 最近の暴発事件の? 067絽衣 :そうそうそれなんです! 今日もSNSで爆発があったって見掛けて、慌ててあそこに行って。       銃を向けられた相手じゃなくて、銃を使った人間を必ず殺す。       裏じゃあ呪いの銃、なんて呼ばれ始めちゃってて。       俺も困ってるっていうか、……腸が煮えくり返ってて。       助けて頂きたいんです。 俺の誇りを取り戻せるのであれば、情報提供は厭いません。 068礼良 :……。 069絽衣 :先に提示しましょうか。 よいしょ、っと。 <ケースを開ける> 070貴  :おー。 さっきも思ったけど、壮観だね。 071絽衣 :でしょ? 俺の銃は、この子達は絶対に暴発しない。       誤作動を防ぐ為に、トリガー内部の動作を最適化してるのが一つ。       外部からの衝撃では絶対に作動しない構造にしてる。 072礼良 :絶対に? 073絽衣 :絶対に。 異常な角度からの衝撃では撃発しない、っていうのも口で言えば簡単なんだけど、       トリガープル、引きの重さね。 実際に試してみて。 <銃を礼良の目の前に置く> 074礼良 :お、おう。 075絽衣 :これを弄って軽すぎず確実に人の手でコントロールできる物にしてる。       次にシリンダーロックの設定ね。 シリンダーとバレルの位置が完全に一致するように、       千分の一ミリまで調整してて── 076環  :ただい、……コト? どーしたんだよおっかない顔して。 077古都 :あ、今情報提供の方が来てて。 ちょっと考え事してただけですよぉ。 078環  :情報提供? へえー。 079古都 :あ、あー、私パトロール行こっかな! 080環  :何だよ逃げんなよ、パトロールなら今シュウジとフユが行ってっからさ。       お姉さんに話してみ? 081古都 :……その。 情報提供の方、私の競技時代のファンだって言ってて……。 082環  :ほお? 良かったじゃん、じゃどうしてそんなおっかない顔してんだよ。 083貴  :──いやぁ、粗探そうと思って聞いてたけど、マージで真っ白じゃん。 084絽衣 :でしょでしょ? 俺のカスタムのバランスは完璧。 そう設計してるんだもの。 085礼良 :一応、一丁借りて専門の人間に回しても? 086絽衣 :返ってくるならこの子達全部ご提供するよ。       自慢の子達だから、専門家にも是非見て欲しいんだ。       差し支えなければ、プロがなんて言ってたかも聞きたい! 087礼良 :<苦笑する> わかった。 088絽衣 :ミカミさんが笑ってくれたって事は、信用してもらえてると思っていいのかな? 089礼良 :現状はな。 爆発事件が多発してて、情報提供はこっちも願ったり叶ったりだ。 090絽衣 :そんな筈ないんだけどなー……。       銃は撃つ者の意志に応える道具であるべき。 そこが銃の一番の美しさだから。 091礼良 :銃にそんな事言う奴、初めて会ったわ。 092絽衣 :これからは増えるよ、俺のカスタムが増やすんだから。       じゃあ。 顧客情報含めて、できる限りの情報提供は必要だね? 093礼良 :そうだな。 流石にあるだけ出せとは言えねーよ。 094絽衣 :言われても黙秘するけどね。       色々纏めてまた訪ねる。 俺に何かあれば連絡でいい? 095貴  :匿名の情報提供者として処理できるから、提供者用の連絡先がー……これね。 096絽衣 :じゃ、何かあればここに。 097礼良 :専門家が諸々立証できたら、続きはまた。 今日の内容はくれぐれも口外禁止で。 098絽衣 :当然、俺からもお願いしたいくらいだから。 じゃあ、また後日。 <絽衣、立ち去る。> 099貴  :いやいやびっくりしたけど、良いヤツそう、かな? 100礼良 :ま、もらえる情報はもらっときましょうって事で。 101古都 :あの。 終わったんですか? 102貴  :話? 終わったよー。 103古都 :押収してる改造銃、綺麗なのってありましたっけ。 104環  :コト、いくらか形残ってるの見っけた。 持って行きな。 105古都 :私、もうちょっとお話聞いてみます! 行ってきます! 106貴  :んあ? ちょっとコト!? ……ええ? 107礼良 :……流石に実物は、解析待ってからにしようと思ったんだけど。 108環  :思う事はあるんでしょ。 元、射撃の競技選手としては。 109貴  :あー。 そういやぁ、今じゃ何でもない顔でほわほわしてるけど。 当時すごかったよね。       ちゃんとああいう熱心なファンもいるんじゃん。 110環  :そうそれ。 提供者、コトのファンって言ってるんだって?       コト、自分で確かめたいんだとさ。 <警察署外、敷地内。> 111古都 :あの! 112絽衣 :ん? あぁ、さっきはどーも! どうしたの? 113古都 :……これ、押収品借りてきました。 あなたがこの罠付きリボルバーを作ったんですか? 114絽衣 :そんなダッサい呼び方しないでよ。 そうだなぁ、カゼハヤさんったら実物も可愛いし。 115古都 :かわ? 116絽衣 :俺ってばミーハーで、可愛い女の子が大好きなんだよね。 だから特別に教えてあげちゃお。       ちょっと待ってね。 <手近な石垣を払い、ハンカチを敷く>       はいどうぞ。 今日は使ってないハンカチだからここに座って、レディ。 117古都 :あ、えっと、失礼します……? 118絽衣 :どぞー、お隣失礼。 <隣に座る>       盛り上がっちゃったら、仕事の後で食事しながら話そ? 119古都 :ご飯、はあ……。 120絽衣 :冗談冗談!       リソルジメントって名前を付けたんだ。 次からそう呼んで。       俺ハーフなんだけど、母が生まれた国の統一運動の名前なの、格好良いでしょ? 121古都 :リソル、ジメント。 122絽衣 :そう! 他者を撃とうと思えば己は自滅する。 他者を貶めようとすれば、自分の手が汚れる。       そういう教訓が銃犯罪が増えるこの国の戒めになって、いずれ国内が一つに纏まればいい。       そんな、俺の祈りと願いを込めた銃なんだ。 123古都 :……ほえぇ。 124絽衣 :中身の構造もだけど、まず見た目の話からしよっか? 125古都 :あ、はい。 126絽衣 :俺が作る銃にはね、必ずオリーブとアイリスの刻印を入れてるんだ。       どうしてだかわかる? 127古都 :オリーブは、平和の象徴だってすごい、有名ですよね。 128絽衣 :そう! 掲げられたオリーブの枝は、和解の意を示すんだ。 アイリスの方はわかりそう? 129古都 :……えーっと? 130絽衣 :<笑う> 和名は花菖蒲(はなしょうぶ)、知恵と希望の象徴。       力が手に入ったからって、そのまま使うのはナンセンスだ。       まず悪用する事を考えちゃダメ。 知恵を持って、希望の為に。 社会の為に使われるべきだ。       そういう意味を込めて、オリーブとアイリスの刻印を入れて……って、どした?       俺の話つまんなかった? 131古都 :いえ! 私てっきり、本当は悪意で銃を改造してると思ったから。       沢山話して、綺麗な所だけ見せて、私達を利用してるのかなぁって。       そう思ったから、怒ろうと思って追い掛けてきたんです。 ごめんなさい。 132絽衣 :違うってわかってくれた? ならよかった。 お喋りは性分なんだよね。 133古都 :でもじゃあどうして、こんな形であなたの銃が出回ってるのか……。 134絽衣 :<苦笑する> 俺のカスタムのバランスは完璧。 そう設計してるんだもの。       不自然な暴発なんてまずありえない。 貸して。 135古都 :はあ……。 <改造銃を渡す> 136絽衣 :折角可愛く作、……ん? <銃を様々な角度から見る> 137古都 :ど、どうしました? 138絽衣 :……。 これが、出回ってる俺のカスタムだよね? 139古都 :はい。 140絽衣 :ちょっとごめんね。 <シリンダーを開こうとする> 141古都 :何かありました? 142絽衣 :俺のカスタムと違う。 143古都 :……フルストリップにしましょう。 工具を持って来ます! <駆け出す> 144絽衣 :待って、俺も行く!       <笑う> ……いや、フルストリップって。 女の子の口から出る言葉じゃないよ。       でも話が早くて助かる、やっぱ銃器は色々勉強してるんだ? 145古都 :えと、一通りは。 競技時代は自分で組んでたので。 146絽衣 :いいね。 ──こんなのが俺の銃だと思われてるって? 冗談じゃねえ! <夜行班オフィス。> 147礼良 :で、戻ってきた、と。 148絽衣 :そう! ごめんね余所者が机お借りしちゃって! 149古都 :大丈夫、そこ私の机なんで! 150絽衣 :あら整理整頓されてて素敵。 <舌打ち> んだこれ、シリンダーの回転がおかしいな……。 151礼良 :そんな焦げ付いてて異変が、 152絽衣 :わかる。 フレームが原型留めてる部分がある、分解は可能だから。 153礼良 :お……おう……。 154絽衣 :バレルがー……、熱か? いやこれ違うな。 絞られてんだ。       あーあーあー、折角別嬪さんに産んでもらったっつーのにどこの馬の骨ともしれねえ馬鹿が       余計な真似しやがってよ……! 155芙由 :アサジ、イヌカイ戻りましたー! 156絽衣 :はいおかえりなさーい! そしてお邪魔してまーす! 157芙由 :誰? 何? どういう状況? 158貴  :<小声> 情報提供の方。       ちょっとね、あのー、うん、そっとしといてあげて。 159芙由 :お、おう……おう……? 160修治 :神妙な顔して、みんなで何してんすか? 161礼良 :<小声> シュウ、わりぃんだけど科捜研行って誰か手空いてる人連れてきてくんね?       俺から緊急ですって連絡入れとくからさ。 162修治 :お、わかりました! ひとっ走りしてきます! 163貴  :俺、刑事課に何か情報ないか聞いてみよっか? 164芙由 :じゃあ先にシブヤ局長に連絡入れてみる。 165礼良 :違法改造銃の爆発事件で何か、って聞いてみて。       その話ついたら跖狗(せきく)の部屋行って、俺が預けたモン一旦返して欲しいって       受け取ってきてくれない? 166芙由 :わかった! 167絽衣 :ファイアリングピンが二本? ああもう余計な事すんじゃねえよ馬鹿がよ! 168貴  :おーおー荒れてらっしゃる……。 169環  :すげー、マジで職人じゃん。 何言ってるか全然わかんねえ。       私らももっと勉強した方がいいのかな? 170貴  :俺らがあそこまで改造しちゃうと違法だよ。       にしても目の色を変える、ってああいう事を言うんだね。 171礼良 :だな。 172絽衣 :ミカミさん、大体構造は把握できた。 ちょっと聞いてもらえる? 173礼良 :お、勿論。 今科捜研呼んでもらってるから話が重複するかもしれないけど。 174絽衣 :それは構わないよ。 コトちゃん、机貸してくれてありがとう。 175古都 :ううん。 その、どうでしたか? 176絽衣 :コレは絶対に、俺のカスタムじゃない。 177貴  :さっきの剣幕見てたらわかるよ。       それで? どうしてその子は呪いの銃になっちゃったの? 178絽衣 :……そうだな、構造云々より端的に何が起こるか話した方がわかりやすいか。       こんな構造の話してたら俺の頭沸騰しちゃう。 179礼良 :ああ、頼むわ。 180絽衣 :まず、これが一番重要。 安全装置が弄られてる。 181環  :リボルバーに? 182絽衣 :本来ならついてないね。 でも、俺のカスタムでは必ずつけてて。       それを解除した時に、必ず暴発するように作られてる。 183環  :あ? 安全装置が? 184絽衣 :暴発する、安全装置なのに。 やってくれたよね、これを悪用って言わずに何て言うんだ。 185礼良 :そうか。 だから所持者の自宅で事故が起きたのか。 186絽衣 :できれば、早急に警察から注意喚起をして欲しい。 187礼良 :<苦笑する> ああ、わかった。 188環  :ライセンス所持者に直接通知? でいいのか。 窓口にホットライン使わせてもらえるかな。 189礼良 :確認してもらっていいですか。 190環  :勿論。 通ったらすぐ送信する。 191絽衣 :で。 安全装置を無視すれば一発目は問題なく使用できる、問題は二発目。       一発目が発射された衝撃で次弾がずれ、異常な位置に装填される。 192礼良 :シリンダーとバレルの位置が完全に一致する、そう設計されている筈なのに。 193絽衣 :そう。 一発目は何も問題なかったから二発目も撃てる、って考えるのはまあ当然でしょ。       二発目以降で必ず暴発する。 ズレの所為で次弾発射時にガスが異常に分散し、       銃自体が耐えられなくなる。       異常装填の結果、次弾の雷管が本来の撃発メカニズムを無視して作動、爆発する。       呪いの銃完成。 194貴  :安全装置を無視して一発しか撃たない。 助かるにはそうするしかない? 195絽衣 :恐らく。 運が悪けりゃ一発撃った直後、……保管中にも起こりかねないな、コレ。       <溜息> 俺の客は、勿論銃器の扱いに慣れたコレクターも多いけど。       できるだけ安全に、安心して身を守る手段が欲しいって、そういう一般客もいるんだ。       こんなの持たされちゃあ完全に騙し討ちだ。 196環  :話聞いてる感じ、尽(ことごと)くアンタのカスタムを逆に利用してる? 197絽衣 :……うん。       できるだけわかりやすく説明したかったけど、ちょっと熱が入っちゃった。 ごめんね。       俺の技術を悪用してるのか、俺が技術を盗まれたのか。 そこは俺にはわからない。 198礼良 :そこを探るのは俺らじゃねえの。 敵対してるとか、ライバル店は? ないのか。 199絽衣 :何とも言えないんだよねえ。       個人で気儘にやってたからさ、仲良くしてるようなトコもないし、恨まれてるかもわかんない。 200環  :とりあえずさ、今日は家に帰らねえで無祠庵(むしあん)使えば?       話聞いてる感じアンタ、あ、コレは返事しなくていいんだけど。 裏社会に顔が利くんだろ。       私通知出したら、サトさんにちょっくら鍵もらって来ようか。 201絽衣 :むし? 何? 202礼良 :……それが一番丸いか。 頼んます。 203環  :おー。 204古都 :無祠庵(むしあん)は、大事な証言をしてくれる人を守る宿舎なんだよぉ。       あ、宿舎って言っても普通のアパートだから、安心してね。 205貴  :秘密保持契約書へのサインと身分証のコピーはもらうけどね。       あと、解決後に監視と警護目的でちょーっと見張りはつくかも。 どうする? 206絽衣 :……え、えーと……。 お心遣いはありがたいし、監視? も、問題ないんだけど……。       そんな都合の良い宿舎がある警察……? えっと、おたくらは何者……? 207礼良 :<笑う> お前のご指名だろ。 ──銃犯罪対策局、だけど? <無祠庵内。> 208古都 :── <インターホン越し> ロイくん、こんばんは。 209絽衣 :ンッ!? 210古都 :カゼハヤです。 疲れてないかな、知らない所で寂しくなってないかなあ、って思って。       ジュースとお菓子、買って来たよぉ。 211絽衣 :<応答する> ちょ、何してんの!? 開けます開けます、待ってて! <絽衣、急いで開錠する。> 212絽衣 :<小声> 入って入って入って! 213古都 :あ、お邪魔しまーす。 214絽衣 :アンタちょっと何してんのぉ!? え、え!? 215古都 :対策局の人は出入りできるんだ、ここ。 216絽衣 :そういう話じゃなくてね!? えっと、今って夜! 八時すぎてんの!       俺、一人暮らしの男子なんだけど! 217古都 :うん。 あ、夜はお菓子食べない? 218絽衣 :……食べる。 はあ……。       でも心配してもらえるのはうれしいよ、ありがと。 すごいねココ、2LDKって。       俺の家より綺麗だよ、俺こっちに住みたい。 219古都 :<笑う> 銃の手入れ、ちゃんとしてるんだね。 220絽衣 :当然。 丁度ひと段落着いたんだ、ジュース開けようよ。 コップ取ってくるね。 221古都 :うん。 わーすごい、……あれ? <ライフルを手に取る> 222絽衣 :お、気付いた? カートレス・アサルトライフルのモデルガン。       見様見真似で……ファッ!? 223古都 :わぁーすごいねコレ! 激レアだぁ、いいないいなぁ! 224絽衣 :<小声> ふぁ、ファンサの鬼ですか……!? 225古都 :あっ、触っちゃダメだった? 226絽衣 :いやいやいや構えてもろて! どッ、どどど動画! 撮っていい!? 227古都 :あ……。 228絽衣 :……だ、駄目だよねえ! 当たり前じゃん! 秘密の対策局の人なんだから、ねえ!? 229古都 :うん。 230絽衣 :ごめんごめん、ついミーハーなトコ出ちゃった、 231古都 :撮っていいよ。 232絽衣 :そうだよね、いやそもそも女の子を動画撮っていいのォ!? 233古都 :うん。 ロイくん、絶対変な事に使わなさそうだもの。 234絽衣 :つ、使わない使わない! 神に誓って! 235古都 :<銃を構える> こう? で、いいのかな? 236絽衣 :えっと、あっちの壁に向かって……そう、そう! わー……! 237古都 :こういう動画も、カスタムの研究? 勉強熱心なんだねぇ。 238絽衣 :うん! そうそう! 別にただのオタク心とかじゃないからね!       ……すげぇ、すげー! いいの撮れたよ、ありがとう! 239古都 :どういたしまして。 240絽衣 :<笑う> 改めて思ったけど、普段の雰囲気とちょっとギャップあるよね。       ライフル射撃、どうして始めようと思ったの? 241古都 :元々は高校の部活でやってたんだ。 それで大会の成績が良くて、── <回想。学生時代の古都の両親。> 242古都父:──へえ、こんな大会まであるのか。 競技としては知ってたけど、高校生も出れるんだなあ。       遠征費? コトは気にしなくていいんだよ、父さんに任せなさい。 243古都母:コトちゃんがライフル持ってるの、とっても勇ましくてお母さん大好き。       またお父さんと二人で、大会見に行ってもいい? <古都のクラスメイト達。> 244友人1:こんなに表彰されてるの、コトくらいじゃない? マジですごいね! 245友人2:また遠征行くんだって? 授業出れない分、ノートのコピー取っとく? 246担任 :全国大会、優勝おめでとう。 受け持った生徒が全国優勝なんて先生初めてだよ。       学校生活で困る事があったら何でも言いなさい。       あとな、これ。 クラス全員からカゼハヤへ応援の寄せ書き。       ごめんな、本当は大会前に渡したかっ……おいおいどうした、泣く事ないだろ! <世界大会入賞時のインタビュー。> 247記者1:カゼハヤさんの射撃は、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで注目が集まっています。       世界大会での入賞を経て、周りの皆さんから掛けて頂いた言葉とか、何かありますか? 248記者2:銃刀法改正に向けて賛否両論、揺れる昨今ではありますが、       またも世界大会入賞のカゼハヤコト選手。       渦中の人に今、銃刀法改正について聞いてみました。 <SNSの書き込み。> 249ポス1:またカゼハヤコトの改正持ち上げインタビューかよ。 政府必死過ぎ乙。 250ポス2:カゼハヤコトの試合の放送止めろよ、政府のプロパガンダじゃん。 251ポス3:この女って政府とグル? どう考えても入賞するタイミングが良すぎ。 イカサマじゃないの? 252ポス4:人殺しの道具が格好良いって思う子供が増えたらどう責任取るの。 253ポス5:カゼハヤコトで検索すると、動物に試し撃ちしてる動画あって草。 254ポス1:世界大会出る為にどの役人と寝たんですかー? 今は某大臣の息子と同棲中なんですよね? 255ポス2:スポンサーの裏金リストにコイツの名前あったらしいけどマジ? 256ポス3:この人の親戚の子供が銃持って友達脅してるらしい。 特定まだ? 257ポス4:父親は会社役員、母親はホス狂いで近所でも有名な迷惑家族らしいぞ。 258ポス5:某犯罪級メダリスト遂に実家特定! 違法銃器が並ぶ豪邸トツもあるかも! <全国ニュース。> 259アナ :──次は全国のニュースです。       ライフル射撃、カゼハヤコト選手の自宅に侵入したとして、       本日十七時頃、自称会社員の男が住居侵入、傷害の容疑で逮捕されました。       男はカゼハヤ選手の自宅へ侵入、在宅していたカゼハヤ選手の両親を拳銃で脅迫、       重症を負わせたと見られています。       警察の発表では、カゼハヤ選手の両親は命に別状はなく── <回想ここまで。> 260絽衣 :コトちゃん? 261古都 :んえ。 そうそう、それで周りが応援してくれたから、続けてたんだよねえ。 262絽衣 :……俺さ、ファンだから。 何言われて、何があって競技シーン辞めてったか、知ってるよ。 263古都 :……。 264絽衣 :でーも! 理由はどうあれ、銃犯罪対策局にいるって事はだ。       形が変わってもまだ銃と関わってるって知れて、めっちゃ嬉しいし。       ごちゃごちゃ言ってたアンチもひっくるめて、対策局で守ってくれてる訳だ。 265古都 :……ここなら非公開組織だし、射撃の腕も通用するよって、誘ってもらえて。 266絽衣 :で、今も頑張ってるんでしょ? なら俺は今もコトちゃんのファンだよ。 267古都 :……何を言われても、どう思われても。 ライフルと離れるのが怖かったんだ。 268絽衣 :それでも俺は格好良いって思ったけどな。       あんまり周りの事とか、昔の事とか気にしない方がいいよ。       ノン・ティ・クラール、キミは気にするな。 落ち込みそうになったら思い出して? 269古都 :ノン? 270絽衣 :母さんの生まれた国の言葉。 271古都 :えぇ、なんか格好良い! 272絽衣 :でしょー? 俺六歳まではそっちに住んでたんだよね、それで祖父の仕事を見てて── <翌日、夜行班オフィス。> 273礼良 :──作戦概要以上。 そういう訳でコト、お前は残れ。       制圧用のゴム弾だろうが、流石に銃は持ち出せない。 274古都 :<苦笑する> はーい。 275絽衣 :ちょ、ちょっと待って!? 276礼良 :勿論お前も連れてかないぞ、民間人。 277絽衣 :わかってますよ、え!? 昨日の今日!? もう特定したの!?       いくらなんでも早すぎない!? 278礼良 :早いに越した事ねえだろ。 それに突っ込むなら今日が最適なんだよ。       科捜研の見解もお前と一致してる、その上犯人が元々目ぇつけられてた。       これ以上待つ必要なくてさ。 279環  :注意喚起しろっつったのはアンタだろ?       オリーブと花菖蒲が掘られてる、安全装置がついたリボルバー。       開示したらすぐ情報提供があった。 280絽衣 :……客が、名乗り出てくれた、って、事? 281環  :匿名で。 良かったな、アンタのこれまでの仕事の結果だ。 282芙由 :文脈的に、お兄さんの常連さんっぽいんだよねー。 283絽衣 :そ……そうなの? ほんと? 284芙由 :ほんと。 何、嬉しそうな顔しちゃってさ!       最近変な噂を聞いて心配だった、って。 結構詳しく情報もらえちゃって。       って事で、急ピッチで取れました令状がこちら! 285礼良 :よし、急かした甲斐があった。       <無線> ──待機組、そっちはどう? 286修治 :<無線> ──怪しい動きは特にないです! 令状取れました? 287貴  :<無線> ──大学生……、あれなんか高校生じゃね? 288修治 :<無線> ──多分女の子もいますよね。 女性陣の到着待ってます! 289礼良 :了解。 って事でお二人さん、よろしく。 290環  :いやー、ワンチャン男子高生女子高生と合法鬼ごっこかー! 楽しみだなー! 291芙由 :言ってる事おっさんすぎるんだよなーこの人。       ふふん、待っててねー職人のお兄さん! うちらぜーんぶ片付けてくっから! 292絽衣 :……高校生……? 293礼良 :ダウンタウンっつーカラオケ屋、知ってる? 署から割と近いんだけど。       チェーンじゃなくて個人店のカラオケ屋で……、知らないか。       あとコレ。 <タブレットを見せる> 294絽衣 :……有名カスタム対応、即対応でサポ五千アップ、秘密厳守身分証不要……これって。 295礼良 :末端、運び屋募集の文面。 まあ闇バイトってヤツ。       アンタの店舗が拡大の為移転した、って嘘の噂を撒いて。       さもアンタが事業を広めて、学生のアルバイトを雇ってる風に見せていた。       ──これ、店主の顔。 見覚えは? 296絽衣 :……ハシバさん……? 嘘だろ、おい、常連だよ! 297礼良 :だよな、お前の顧客リストに名前あったし。       随分控えめに話してたけど、お前マージで人気の組み屋じゃん。       お前直伝の技術を教えるっつって、銃に興味がある学生、若い組み屋を集めて研究させてる。 298古都 :ろ、ロイくん、大丈夫? 299礼良 :他者を撃とうと思えば、己は自滅する。 他者を貶めようとすれば、自分の手が汚れる。       これを国中に知らしめる。 裏社会の連中の自滅、そんな大義名分だそうだ。 300絽衣 :この人、法案改正してすぐ弟を銃で殺されてんだ。       飲み屋で知り合って俺の考えをすげえ気に入ってくれて……先週も一緒に飲みに行ったんだ。       常連っつか友達、俺だって尊敬してて、向こうだって……       何かの間違いだよ、なあ、絶対この人の裏で動いてるヤツがいるって! 301古都 :それを調べるのが、私達の仕事だよ。 302絽衣 :そんな……。 303礼良 :<無線> ──……さーて。       偶然たまたま、今日、店主のメッセージツールが誤作動を起こして。       雇ってる良い子のみんながお小遣い目当てに、休業日のカラオケに集まってくれてるんだが。 304芙由 :<無線> ──白々しいぞー。 せめてもうちょっと隠せー。 305修治 :<無線> ──大丈夫なんすか無線でそんなん言って!? 306礼良 :<無線> ──大丈夫も何も、誤作動なんですけども?       いやあ、不運だよなあ。 カラオケ屋自体は休みだったのになあ。 307貴  :<無線> ──休業日の店舗に若い子が集まってるなら、ちょっと確認しないとなー。 308環  :<無線> ── <笑う> レイ、だからお前また泊まり込みの徹夜だったのか。       なんだかんだ熱心だし可愛いヤツだよなぁー。 309礼良 :<無線> ──うるせえやい。 310古都 :考えてる事を隠して、綺麗な言葉を使う人は沢山いるよ。       どんなに良い人でも。 ロイくんの考えと技術を悪用した事は、許しちゃダメだよ。 311礼良 :<無線> ──目標は銃と店長の確保、未成年者の保護。 こちらも銃の使用は厳禁。       幹部クラスが在中していた場合、あちらが撃ってくる可能性はあるから。       防チョクは確認で。 312貴  :<無線> ── <笑う> マトモなリボルバーが手元にあるのかな? 313修治 :<無線> ──げえ、流石に目の前で顔面爆破は見たくないっすわ。       まだ呪いの銃、とやらにはなってないっすよね? 大丈夫ですよね? 314芙由 :<無線> ──撃つかな? 店の中狭くね? 315環  :<無線> ──大体が雇った学生だろ? 流石にそこまで統率とれてねえと思うけどなー。       んで、セナ、アサジ現着ー。 突入準備完了。 316貴  :<無線> ──こっちもいつでもいいよ。 317礼良 :<無線> ──んだよ、全員余裕じゃん。 じゃあその意気で、ガサ入れよろしく。 318貴  :<無線> ──了解。 行ってくるねー。 319礼良 :……さて。 機嫌は直ったかい。 320絽衣 :……まだ、何とも。 321礼良 :コト、サインでも書いてやれば? 322古都 :もう書いてプレゼントしたよぉ。 323礼良 :そか。 前に俺、お前のやり方で結果出せっつったじゃん。 324古都 :ん? はい。 325礼良 :ありがとな。 お前が真っ先に動いたから今日がある。 326古都 :そうですかね? 327礼良 :そうなんだよ。 すぐにうちの班員が結果を出す。       それまで、銃が好きなモン同士でゆっくりしててくれや。 328古都 :あ、はーい。 ……ロイくん、大丈夫? <カラオケ店入口、店主と相対する環。> 329環  :こんにちは。 警視庁銃犯罪対策局、所属のセナと申します。       <令状を掲げる> シンミヤ裁判所の許可を得て、家宅捜索を行います。       この捜索差押許可状をご確認下さい。 330古都 :……中々、割り切れないよね。 信じていたいよね。 331環  :捜索の対象は、違法改造銃器になりますね。 ご協力頂けますか? 332古都 :私もそうだったと思うの。 最初は、綺麗に目標に当たるのが嬉しくて。       その次は、応援してくれてた人達の言葉を信じて、頑張ってただけだったと思うの。       違う言葉にすり替わっていって、ずっと世界が裏返っちゃったような気がして。       そっちの世界が怖くて、競技を辞めたんだ。 でも、ライフルと離れるのも怖かったんだ。 333貴  :あのねえ店長さん。 来ちゃったモンは、怒鳴ったってしょうがないのよ。 334環  :この捜索は裁判所の許可を得ており、正当な手続きに基づくものです。       捜査を妨害するなら法に基づき、公務執行妨害罪に問われる可能性があります。 335古都 :それでもロイくんは格好良いって、ファンだって言ってくれたよね。       ロイくんも落ち込みそうになったら、思い出してね。       ロイくんの銃があって、安心してる人って沢山いると思うんだよ。 私もその一人だよ。 336環  :従わない場合、必要に応じて強制力を行使する可能性があります。 337古都 :私はライフルだった。 ロイくんには、誇りと祈りがあるんでしょう。 338貴  :タマキ。 339環  :ああ。 ──動くなガキ共! 銃犯罪対策局だ! 340貴  :っと、あはは。 突き飛ばしも暴力になっちゃうんだよ。       十四時三分、公務執行妨害罪で現行犯逮捕ねー。       はーいはいはい、怒鳴っても駄目ダメ、さっきのお姉さんも突き飛ばしたでしょ? 341環  :うーごーくーな! おい、国語のお勉強してねえのか! 342修治 :オラ動くな! 全員大人しく身分証出せ! 343古都 :私は、射撃しかできないけど。       私の射撃も、ロイくんの誇りも祈りも、きっと誰かの為にあるんでしょう。       いつか悪い事をしてしまった人とも、わかりあえたらいいよね。 344環  :流石に銃は持ち出さねえか。 幹部格がいない? 345貴  :店長の護送は問題なさそうだけど、……あらら、若い子ばっかりだねえ。       驚かせてごめんねー。 とりあえずちょっとの間、良い子にしててねー。 346芙由 :はい、部屋から出てくださーい!       シュウ、この部屋! 音の反響が他の部屋と全然違う! 347修治 :はーいちょっとごめんね、一旦部屋出てあっちのお兄さんのトコ行って。       ……違う? 何がどう違う? 348芙由 :BGMかなんかで誤魔化してたな? ここだけ多分材質が……見つけたーっ! 349修治 :お! タカさんタマキさん! 隠し部屋! 見付けました! 350古都 :ロイくんの銃は、リソルジメントは。       みんなが笑って暮らせますようにって、その為にある銃なんでしょう。       大丈夫。 私だってロイくんの事、応援してるよ。       いつかみんながオリーブとアイリスを見て、希望の為に、社会の為に、って。       そう思える日が、きっとくるんだって。 私は信じてるよ。 <警察署、外。> 351礼良 :──とりあえず。 関係者は洗い出せたし、現品も押収したから。       偽物の銃は、しばらくは出回らないだろう。       ここから先は完全に収束するまで、概要も話せなくなるんだけど。 352絽衣 :十分。 まさか昨日の今日で動いてもらえるなんて思わなかった。       しー……あれ? あのイケメンのお兄様とポニテの美人さんは? 353貴  :後処理中。 フユなんかはゆっくり話したがってたけどねー。       やっぱそういう訳にもいかなくてさ。 354環  :安全装置が切っ掛けで爆発する銃なんて、急いで対応しなきゃだろ。 355絽衣 :あぁ。 ちゃんとお礼言いたかったんだけどな、残念。 356貴  :まあまあ。 もらった顧客情報以外に、また必要な物が出てきたら連絡するよ。       その時は顔を合わせるかもだし、またよろしくね。 357礼良 :だな。 ……被害届も、出せるから。       勿論より詳細に捜査の手が入るから、そっちは慎重にどーぞ。 358絽衣 :わかってるよ、そんなの言っちゃうとかマジで何者なの?       しばらくは休暇も兼ねて、隠れながら売り方をもーちょっと考えてみる。       いつか、あんたら銃犯罪対策局は滅茶苦茶暇になるよ、俺のカスタムがそうする。       楽しみにしててよ。 359礼良 :はいはい、わかりました。 360絽衣 :<笑う> じゃあ……あ、その前に。 コトちゃん。 361古都 :はい、──ん? <絽衣、古都の頬にキスをする。> 362絽衣 :しばらく会えないけど、俺の事忘れないでね。 じゃ。 <絽衣、振り返って手を振りながら歩き去る。> 363古都 :あ、はーい。 364環  :おぉー。 365礼良 :な……え、えええ!? 366貴  :あらまー。 若いっていいねえ。 367修治 :<ダッシュで走り寄る> ちょいちょいちょいちょいちょい!?       大丈夫っすかコトさん!? はあ!? なんだアイツ!? 368芙由 :今ちゅーしてなかった? 何、そういう関係なの? 369古都 :そういうってどういう? 370貴  :あれ、そういや昨夜無祠庵(むしあん)に行くって申請してなかった? 371礼良 :あ!? 何、アイツの部屋行ったの!? なんで!? 372古都 :あぁ、一緒にお菓子食べてジュース飲んでましたぁ。 373礼良 :一緒にお菓子食べてジュース飲んでましたぁ!? 374修治 :<小声> フユ! 一緒にお菓子食べてジュース飲んでましたって何かの隠語か!? 375芙由 :何の隠語だよ。 多分そのままの意味だよ。 376修治 :じゃあ何のお菓子何食べたってんだよ!? 377芙由 :知らねえよ! 378古都 :えっとねー、ポッキーとか 379修治 :ポッキーだあ!? ポッキーゲームっすか!? 380古都 :普通に食べたよ? 381礼良 :ポッキー食べてその後すぐ帰ったんだよな!? 382古都 :帰りましたよ? 383礼良 :他に変な事されてないか!? 384古都 :変な事って? 385礼良 :変な事って、……変な事だよ! 386貴  :はいはいはい、お兄ちゃん達騒がないの。 387環  :んだよ、お菓子パーティー程度でごちゃごちゃ騒ぎやがって。 童貞かよ。 388礼良 :騒ぐっつか、だって、お菓子パーティーならいいけど!       お前その……ダメだろ! 夜に野郎の部屋にって! 駄目だよな!? 389修治 :そうですよ! 夜に野郎の部屋でポッキーなんて!       なんなんすかあの野郎! すかしてんなとは思ってたけど!       俺なんかコトさん顔が好み過ぎて未だに敬語だっていうのに!? 390古都 :敬語じゃなくていいのに、私そういうの気にしないよぉ。 391貴  :シュウはその、考えすぎ。 392修治 :いい訳も考えすぎな訳もないでしょ!? なんか、こう、……ないんすよ! 393環  :あっちじゃほっぺにちゅっちゅするくらい挨拶だろ。 394貴  :確か授業でラブレター書くんだっけ? 異文化だねえ。 395礼良 :こっちじゃ違うだろ!? 396芙由 :もー騒ぐな騒ぐな、若造達よ。 397礼良 :若造だぁ!? 398芙由 :そっちからアイツの顔、見えてなかった? アイツ、顔真っ赤になってたよ。 399絽衣 :……んぁぁぁああああああ、カッコつけすぎたかな!?       でもあれくらいしないと覚えててもらえないだろうし、はっず、超はっず!       もおおおおっ、俺なんであんな事した? 俺なんであんな事した!?       噛むし動画撮っていいかとか言うしチューするし独り言の声でっけえな俺!       ……だ、大丈夫大丈夫、……解決してもらった、モチベはある、もらった。 しかも推しに。       ……よし。 帰って、銃触るかぁ! 400古都 :……あれ? <ポケットを探る> 401絽衣 :──銃に何かあったら、タダで直してあげる。 二人だけの秘密。       いつでも連絡して。 402古都 :……ふふふ。 お手紙もらっちゃった。 403芙由 :おーいコト。 この後の捜査方針固めるってさー。 404古都 :あ、はーい! 2025.2.5 初版 羽白深夜子 2025.4.8 更新 羽白深夜子 2025.7.12 更新 羽白深夜子 2025.9.20 更新 羽白深夜子 2025.10.9 更新 羽白深夜子 2025.11.6 更新 羽白深夜子
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