
◆兼役有配役表
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<五十嵐から莉緒に送られたメッセージ。>
001保 :──キミは明るくて礼儀正しくて、とても素敵な女性だと僕は思います。
今日はどこでお会いしましょうか? 前に話していた、イタリアンにでも行きましょうか。
ラクレットチーズを使ったパフォーマンスがあるので、また動画に撮るのもいいと思いますよ。
002保 :──遅い時間まで、メッセージをありがとう。 最近はおかしな事件の噂も聞きます。
アルバイトの日は、くれぐれも家への帰宅が遅くならないよう、十分に気を付けて下さいね。
003莉緒 :……。 <スマホを眺めて溜息を吐く>
<署内。>
004杏実花:んーじゃあ、最近遊んでるトコ! とりま教えて!
005莉緒 :え最近はーシンミヤの駅ナカで遊んでるかなー。
006杏実花:お! あそこフローラ入ったじゃん? ガチアツくね?
007莉緒 :超アツい! 婦警さんフローラ使ってんの!?
008杏実花:使ってるーオソロだよね!? 昨日ロビーで使ってんの見たし!
009莉緒 :ウチ、クリスマスコフレの高い方買っちゃったんだよね!
010杏実花:待ってやば! ウチも買ってんだけどオソロじゃん!
011莉緒 :ねえじゃあ婦警さんもブルベ夏じゃね? 同じかも? って思ってたんだけど!
012修治 :これは取り調べですか?
013礼良 :はい、これは取り調べです。
014修治 :何言ってるか全然わかんない……。
015礼良 :安心しろ。 俺も何の話かサッパリわからん。
リップ、って言ってるから化粧品の話か?
016静夏 :今年のフローラのコフレってティントもチークもオレンジじゃなかった?
いーなー俺ブルベ冬だからさぁ、あのポーチ欲しかったのに諦めたんだけど。
017莉緒 :お兄さんメイク男子なの!? え最高!
018静夏 :仕事中はしないけどね。
プライベートはいつでも発色重いよ俺、もっと可愛い色味にしたいんだけどなぁ。
019莉緒 :似合いそう! ブルベ冬ならミチュアのライナー四番とか使った事ある?
020静夏 :アレ定番っしょ、家に三本ストックしてっから!
てかフローラの新しいヤツのさ、七番とかお姉さん達的にはどうなん?
俺気になってるけど、ミチュアストックあるから買うの悩んでんだよねー!
021杏実花:あれマジ馬鹿盛れっから! 使った!?
022莉緒 :使った! アレねー粘膜ギリより目尻にちょんっくらいが良くてー──
023礼良 :そんでシズカはなんで同じノリで喋れる?
024修治 :アイツ色々持ってんすよ。 あれ化粧品の話だ。
025礼良 :おぉ……ギャル二人と化粧の話ができる、元ダンサー。
026修治 :すげー。 しっかし、あの子が。
027礼良 :どうだかねぇ、とりあえず頑なに喋りたくねえみたいで。
作戦変更、ギャルにはギャルを、ってね。
028古都 :あ、レイさんにシュウもいたぁ。 戻りました、お疲れ様でーす。
029真紘 :ん? コレ何してるんですか?
030礼良 :おかえり。 コト、悪いんだけどあの子取り調べ終わったら送ってやってくんね?
先にアイツらと内容共有したいからさ。 データ読んどいて、帰ったら共有する。
031古都 :わかりました……? 女子高生?
032修治 :の、パパ活相手が殺されまして。 裏拳銃が絡んでる可能性アリ。
033真紘 :うわぁ。
034古都 :成程ぉ。
035杏実花:んじゃねーリオちゃん! 今日も時間もらっちゃってマジごめんね!
036莉緒 :今日はメイクの話楽しかったからいいよーん。 あ、ミカミさんだ! どもー!
037礼良 :よお不良学生。 次こそ事件の話聞かせてもらうからな。
038莉緒 :だから全部話してるってば、マジしつこい。
039礼良 :しつ……、 <咳払い> 今日はな、こっちのお姉さんがご自宅まで送るから。
040古都 :あ、こんにちは。 カゼハヤです。
041莉緒 :え超可愛いーお人形みたい! ヨシザワリオです、よろしくお願いしまーす!
042古都 :ありがとう、よろしくね。 じゃあ行ってきますねー。
043莉緒 :アミさんにシズさん、そっちのお兄さん達もついでにミカミさんも! ばいばーい!
044修治 :おお……! JKにバイバイって言われた!
045礼良 :<溜息> 聞いた? 俺ついでだって、マジしつこいって。
046真紘 :あはは。 元気な子でしたねえ、若いっていいなぁ。
047静夏 :JKのポーチえぎぃー! 中身デパコス六万越え!?
048杏実花:ねー! プチプラ使ってても十分可愛いだろうに!
049修治 :何なになに?
050静夏 :さっきのリオちゃんが買ってた化粧品の話。 デパコス、あぁ。
デパートのカウンターで買う化粧品ね、それしか買ってない。
ハイブラの新商品はほぼ網羅。
051真紘 :すごぉ。
052杏実花:申し訳ないけど、アレは百パーパパ活。
高校生が四万五万一気に買い物するって今普通なの?
053静夏 :どうなん? バイトしてるっつっても、ねえ?
054修治 :なあ、化粧品って使い切ってから買い替えるモンじゃねえの?
055真紘 :いや? この間アイシャドウ三ついっぺんに買ってました、アミが。
056杏実花:アミのはプチプラだったじゃん! ヒロはこないだハイブラ二つ買ってたじゃん!
057真紘 :両方いけるなって思ったらそりゃあ買いますよ。
058静夏 :この通り、気に入ってるブランドの新商品はイロチで買ったり。
059修治 :そんな買ってどーすんの? デパートのカウンターで? 塗る顔は一つなのに?
060静夏 :って彼女できたら絶対言わない方がいいよ。
061修治 :うん、今アミと目合って察した。 なんかごめん。
062杏実花:まあ? ハイブラ複数、毎シーズン買っちゃうのは流石にやってるっしょ。
話聞いてる感じ、ぜーんぜんお金に頓着してなさそうだったよ。
063真紘 :うーん…… <苦笑する> ちょっと羨ましくなってきちゃった。
<犯人が五十嵐に成りすまして送ったメッセージ。>
064保 :──最近はアルバイトを頑張ってるね。 疲れていませんか?
お昼頃にキミを見掛けました。 カルボナーラを食べてたね。
ああいうのが好きなんですか? 今度一緒に食べに行きたいですね。
<車内。>
065古都 :えっとー……リオちゃん?
066莉緒 :はい!
067古都 :昨日今日と取り調べに来てくれてるんだ、ありがとうね。
068莉緒 :そーなんですよぉ。
なんか、殺された人とパパ活してるんじゃないかって疑われてるっぽくてー。
069古都 :うんうんうん。 学校は? ちゃんと行ってる?
070莉緒 :ちょっとずつー? 不登校だったけど、お母さんに怒られちゃったから。
最近はちゃんと行ってまーす。
071古都 :あ、ごめんね! 嫌な事聞いちゃったかな。
072莉緒 :え全然! 勉強マジ意味わかんなくてークラスでも普通に浮いてるからぁ。
別に辞めて働いてもいっかなーみたいな?
073古都 :あ、そ、そうなの? 困ったね、どうしよっか……。
074莉緒 :<笑う> カゼハヤさんが困る事じゃないから!
てか警察の人って面白ッ! 警察っぽいのミカミさんだけじゃーんっ!
075古都 :えぇーそうかなぁ?
076莉緒 :そうそう! あ、そこ曲がったら家なんで、ここで大丈夫でーす!
077古都 :だめだめ、お家の前まで送ります。
078莉緒 :あはは! 遊びに行こうとしてんのバレちゃった!
その平屋の家、うちなんで! ほらほら表札見て?
079古都 :はーい止まりまーす。 お家に入るまでちゃんと見てますからねー。
080莉緒 :<笑う> じゃあちゃんと帰ろっと!
カゼハヤさんも、今度一緒に話そ! ばいばーい!
081古都 :はぁい、さようならー。 ……あれ?
<署内、オフィス。>
082礼良 :──被害者はイガラシタモツ四十五歳。
フロスト・インターナショナル取締役、まあ、社長様。
家具、雑貨なんかを輸入販売してる会社だな。
083静夏 :お、顔見た事ある。 最近インフルエンサーと絡んでますよね?
084礼良 :そ、ここんとこインフルエンサー、配信者とも組んで色々やってたらしい。
活躍こそ華々しかった、んだがー……
刑事課扱いの別件で、裏での銃器取引に関与してんじゃねえかって疑いがあった直後よ。
085真紘 :死亡推定時刻は一昨日、二十日の十九時頃。
シンミヤ駅近くラブホテルの一室、ハサミで喉を一突き、血液が気道に流れ込んだ窒息死、と。
086修治 :げえ……。
087礼良 :争った形跡があって、財布が見つかってない。
それと。 窒息までの数分、もがいた形跡が無いらしい。
088真紘 :それはまた……。 ホテルの方は?
089礼良 :被害者は二十日十六時に一人でチェックインしてる。
延長料金の支払い時に動きがなくてホテル側がマスターキーを使って開錠、死体発見。
……この部屋、防犯カメラの位置的にちょっとな。
被害者の後に一人入退室してるんだが、ホテル側も把握してない。
090静夏 :把握してない?
091礼良 :客が必ず通るロビーの防犯カメラに一度も映ってない。
092修治 :犯人ソイツでしょ。 ホテルの従業員じゃないんすか。
093礼良 :当日勤務してた従業員と特徴が合致しない、そもそも黒キャップ黒マスクで顔も見えん。
その辺は今、タカさんとタマキさんが情報集めてる。
094古都 :カゼハヤ戻りましたぁ。 共有中ですか?
095礼良 :お疲れ。 そう、座って。
……で、現状被疑者のヨシザワリオ。 十六歳セイラン高校二年、母親と二人暮らし。
ワカソノ駅近くのカフェでアルバイトをしてる。
被害者とは何度か、シンミヤかギンエイ町付近で食事をしてるのが防犯カメラに映ってた。
金銭の授受(じゅじゅ)アリ、パパ活ってヤツね。
096杏実花:高校に馴染めなくて不登校してたけど、一ヵ月前にお母さんと話し合って登校再開。
推定犯行時刻はシンミヤ駅で一人で買い物をしてた。 レシート諸々無し。
でもコレはショップバッグに適当に入れて失くしちゃうとかあるし……
とりま購入履歴と防犯カメラの情報待ちかなぁー。
097礼良 :例のカメラに映ってたヤツと背格好が似てる気がすんだよなー。
それに凶器がハサミっつーのが、銃持てない未成年の犯行っぽいというか。
098古都 :あのぉ。 リオちゃんって、ストーカー相談とかありますか?
099修治 :ストーカー? なんで?
100礼良 :なかったと思うけど、見てみる。
101古都 :さっき車を降りてから家に入るまで、周りを警戒してたんですよね。
車降りるまでは元気だったのに。 あれ? って思って。
102杏実花:マジ? 全然そんな感じしなかったよ?
103古都 :うん。 だから、私もびっくりしちゃって。
104礼良 :……相談歴ないな。
<溜息> 未成年だから中々踏み込めねえし、俺はなーんか舐められてるし。
105静夏 :まあまあ。 とりあえずは、タカさんとタマキさんの情報待ちつつ、
リオちゃんの証言引き出しつつ、ですか?
106礼良 :そうなる。 もーマジ頼むわ。
ヒロもシュウジも今度、話合わせてやって上手い事聞き出してくれー……。
107真紘 :わかりました。
108修治 :俺化粧品とか全然知らねえけど、ギャルと話せっかなあ。
109杏実花:大丈夫大丈夫! 普通に良い子だし裏表とかなさそう! コトもそう思わん?
110古都 :思うー。 人懐っこいって、ああいう子の事を言うんだろうねえ。
<犯人が五十嵐に成りすまして送ったメッセージ。>
111保 :──シンミヤ駅の前でお友達と遊んでいたみたいですね。
遊ぶお友達は、きちんと選んだ方がいい。
キミにはもっと清楚なお友達が似合うんじゃないかな。
キミの格が下がるようでとても悲しいよ。
<翌日、莉緒のバイト先。>
112明貴 :ヨシザワさんヨシザワさん、ちょっと!
113莉緒 :はい? どうしました?
114明貴 :<小声> あそこの、髪が長い綺麗な男の人。
ヨシザワリオさんいますかって、僕に聞いてきたんだけど……。
115莉緒 :え? ……あ!
116真紘 :やほー。 迎えに来たよー。
117莉緒 :あ、えっと……い、イトコのお兄ちゃん! なんです!
118明貴 :そうなの?
119莉緒 :あはは! ちょっと、ちょーっとすみません!
<真紘に歩み寄り小声> 警察の人だよね!?
ビビった、服と髪型全然違っててわかんなかったし! 何してんの!?
120真紘 :<小声> お迎えです。 待ちますよ、お仕事終わるの。
121莉緒 :<小声> はぁ!?
122真紘 :<小声> ごめんなさい、ご迷惑ですよね。
でも俺、来てくれるかなぁって心配になっちゃって。 連絡つかないから。
123莉緒 :<小声> 勤務中はロッカーにスマホ入れてんの!
上がってくるからちょっと待ってて!
124真紘 :あ、なぁんだ。 そうだったんだ。
125莉緒 :あははー! おっちょこちょいなんだから! ちょっと待っててねー!
モトヤマさんごめんなさい、ちょっと家の急用で、迎えに来てくれたみたいなんです。
126明貴 :え、大丈夫!? 僕代わりに入るからあがっていいよ!
<小声> 本当に大丈夫なんだね? 何か、危ない事に巻き込まれたりしてない?
127莉緒 :全然全然!
128明貴 :本当に? 困った事があったら、何でもいいから。
ちゃんと相談してね、遠慮とかしないで。
129莉緒 :はーい! じゃあごめんなさい、着替えてきまーっす!
<署内。>
130古都 :百点だよ、全部合ってる! 数学苦手って言ってたのにすごいねぇ。
131莉緒 :コトさんの教え方が上手いの! 超わかりやすかったし!
132修治 :解けたの!? ちょっと待って俺マジわからん!
133莉緒 :しょうがないなあ、ウチ教えたげよっかー。
134真紘 :コーヒー淹れてきます。 リオさんは?
135莉緒 :紅茶がいい! コーヒー飲めないんだよね!
136真紘 :わかりました。
137修治 :あ待って、やっと答えわかった! コレだろ! すっげ、数学すっげ!
138古都 :ぶっぶー。
139修治 :ええ!?
140礼良 :……これは取り調べですか?
141真紘 :いいえ、これは宿題のお手伝いです。
無理矢理バイトを上がってもらったので、一つだけお願いを聞いてます。
142礼良 :やい不良学生、宿題終わったんだな? 事件の話しような?
143莉緒 :ヤですーだ。 全部話してんだって。
144古都 :無理しなくていいよぉ、気が向いたら話してね?
145莉緒 :わ! コトさん優しー! 大好き!
146礼良 :<溜息> コト、お前な?
147古都 :駄目でしたか?
148礼良 :……駄目じゃねえよ。 その、うちじゃ他にいないタイプだから。
そのやり方でいいから、結果は出せよ。
149古都 :はぁい。
150修治 :ヒロ見て! 今度こそ俺も解けたから見て!
151真紘 :今度は合ってます? よかったよかった。
これもバイトを上がってもらったお詫びです、どうぞ。
152莉緒 :お菓子だ! もらっていいの?
153真紘 :勿論。
154莉緒 :わぁありがとー! 嬉しい!
うちお母さん忙しいからさぁ、大人とお茶とか初めてかも!
155真紘 :お母さん、昔から帰りが遅いんですか?
156莉緒 :うんそう! うちね、お父さんのDVで離婚してーお母さん養育費もらってないからー。
めっちゃ働いてる人なんだよね、もう慣れたけどー。
157修治 :飯は? 自分で作ってんの?
158莉緒 :うーん、コンビニのサラダが多いかも!
159礼良 :……戸締まりとか、ちゃんとやってんの。
160莉緒 :してるしてる! まあミカミさんとコトさんは、うちボロいの見てるっしょ?
鍵してもどーだかって感じだけどね!
161礼良 :あーね。 どれどれ。 <立ち上がる>
162修治 :なんかすげー大変そうじゃん。 他に困ってる事とか、なんかねえの?
163莉緒 :えー? んー……宿題教えてもらっちゃってるしなー……。
164修治 :そんなん気にしないでいーって。 ちょっとした事でも言うだけ言ってみ?
俺らが解決できたら儲けモンじゃん。
165莉緒 :……事件とは全然関係ない、んだけどー……それでもいい?
166古都 :うん、いいよ。 何でも聞くよ。
167莉緒 :……昔の知り合いがさ? ちょっと会ってない間に、人が変わったみたいになっちゃって。
168真紘 :人が変わった?
169莉緒 :うん。 結構信用して、色々話してる人だったしー。 ちょっとショック? みたいな。
170修治 :え、それ男?
<犯人が五十嵐に成りすまして送ったメッセージ。>
171保 :──今日は随分夜遅くまで起きてるんだね。
またスマホを弄ってるのかな?
俺が送ったメッセージは既読なのに、なんで返信くれないの?
おーい。 起きてるんでしょ? 返事してよ。
172莉緒 :……えー? シュウジさんマジデリカシーなさすぎ! モテないよ?
173修治 :えだって、友達なら友達ってハッキリ言いそうじゃん。
174莉緒 :えやば、そうだわ。 刑事?
175修治 :警察だが?
176莉緒 :そーじゃん! ……うんまあ、男なんだけど。
だからさー、バイト帰りとかちょっと怖いんだよね。
177古都 :え、えっ? つけられてるの?
178莉緒 :わかんないけど! ねー警察でしょ? 見回ったりしてよ!
179礼良 :いいぞ。
180莉緒 :いいの!? マジ!?
181礼良 :<苦笑する> お前な、普通の警察は女子高生の宿題手伝ったりしねーんだよ。
なんでそれができてるって、
182莉緒 :あ、暇なんだぁー!
183礼良 :……そういう事です。 だから。 <メモ用紙を渡す>
184莉緒 :何コレ? ライン?
185礼良 :この部署と、お前専用のラインのID。
なんか困ったら、ここにすぐ連絡しなさい。
186莉緒 :……いいの?
187礼良 :宿題わかりませんは受け付けねえからな。
188真紘 :大丈夫なんですか。
189礼良 :対策局のホットラインに専用のIDを作った。 後で正式に申請しとく。
190莉緒 :ありがとーマジ感謝なんだけど!
普通にビビってたんだよね。 ほら、ここにも殺人でーって呼び出されてるじゃん?
191古都 :うんうん、ごめんね、不安になっちゃうよね。
192莉緒 :まあ、犯人って思われてるよなーとか、……もしかしたら、私も殺されんのかなーとか、
思っちゃったりしてた訳!
193修治 :殺されるのは絶対ない、マジそこは安心して。
194真紘 :それに、リオさんは今被疑者って立場で、犯人とはまた別なんですよ。
195礼良 :<溜息> 俺説明したんだけどなー。
犯罪の容疑をかけられている、まだ犯人だと立証はされてない、
被疑者にも色々権利があってー……って。 覚えてる?
196莉緒 :あーそれ! なんか難しいの言われたわ、今思い出した!
197修治 :てかお母さんは? 警察に呼ばれてんのとか何も言わねえの?
198莉緒 :……言ってないんだよねー。 その、ちょっと前に滅茶苦茶怒られて!
最近あんまり話してない、みたいな?
199礼良 :俺らその気になったら、母親に連絡入れられんだからな。
200莉緒 :え、ええっ!? そうなの!?
201真紘 :原則、未成年者が捜査に関わる時には保護者へ通達があります。
未成年者の取り調べに保護者が付き沿う事もあるんですよ。
今回の事件は、秘密保持が必要な可能性がありまして。 当人のみ取り調べをしています。
秘密保持、わかりますか?
202莉緒 :……わかる……。
203真紘 :それくらい重大な事件なんですよね。
だからリオさんに協力してもらえたら、俺達助かっちゃうんだけどなぁ、なんて。
204莉緒 :……じゃ……なんでライン、くれたの……。
205修治 :そんなん、これ以上事件に巻き込みたくないからだよ。 決まってるじゃん。
え、そっから? 俺ら流石にJKに寄ってたかって説教する暇ないって。
今はその、ちょっと休憩してるけど。
206礼良 :疑う疑わねえ以前に、お前はまだ子供。
信じてもらって、ちゃんと捜査進めてお前を事件から遠ざけたい、関わらせたくねぇの。
お前が困ってんなら助けたいから話聞いてんのよ、俺らは。
207莉緒 :……っ、 <慌ててスマホを取り出す>
208礼良 :あ?
209莉緒 :……は、話す、話すから。 お母さんに言わないで。
このライン、タモツさんとのラインだからっ! 全部見ていいから!
行ったお店の料理、写真撮ってアルバムに全部まとめてるし!
210礼良 :…… <苦笑する> お前が殺してないなら、別にそこまでビビんなくていーから。
<スマホを受け取る> んだよ、お母さんに言わないでって。 イタズラがバレた子供──
211莉緒 :ダサいのはわかってる! でもお母さんにパパ活止めなさいって怒られたばっかりで!
私が殺人事件で警察に疑われてるなんてお母さんが知ったら、
ていうかお母さんだって一緒に住んでるから私の所為で狙われてるかもだし、
そもそもタモツさんが殺されるとか、ぶっちゃけそっから意味わかんないし、
212礼良 :リオ。
213莉緒 :な、何?
214礼良 :バイト先はワカソノ駅近くのカフェ、だったな。
215莉緒 :そうだけど。
216礼良 :何時から何時までだ。
217莉緒 :昼の二時から、夜の八時まで。 学校あったら四時から。
218礼良 :ヒロ。 お前イトコって事になってるんだよな? しばらくリオの送り迎え頼むわ。
219真紘 :何かわかりました?
220礼良 :スマホ見せていいか? …… <莉緒が頷くのを待つ> おっけ。
これ見てみろ。 最後のクソキモいコレ。
221真紘 :今日は随分夜遅くまで……。
222修治 :うわキッショ! これストーカーじゃん! さっき言ってた信用してる人って、あれ?
でも、殺されてるんだよな?
223古都 :……これ。 受信が二十日の二十一時?
224礼良 :気付いた? 最後のメッセージの受信時間がありえない。
──なぁんで死んでる筈の人間が、こんなクソキモメッセージ送れたんだ?
<莉緒のバイト先。>
225明貴 :ヨシザワさんなら、今裏で着替えてるか賄い食べてるかだと思います、けど。
226真紘 :じゃあ待たせてもらいますね。 あの子バイト頑張ってますか?
227明貴 :あ、はい。 最近は学校行ってるから、あんまりシフト入れてないけど。
よく気が付くので僕らも助かってます。 でも高校生なら学業優先じゃないと、ですよね。
228真紘 :そうですね。 バイトが楽しいみたいで、学校辞めて働くって言ってるみたいで。
229明貴 :本当ですか? そうなったら正直、嬉しいなあ。
230真紘 :あはは。 でも楽しんで働いてるみたいでよかった。
231莉緒 :あれっ? ヒロ、兄ちゃん!
232真紘 :お疲れ。 ちゃんと皆さんにご挨拶して帰ろ、お母さん待ってるから。
233明貴 :あぁヨシザワさん、えっと、昨日も来てたイトコの方だよね?
234莉緒 :そう! イトコのヒロ兄ちゃんです! こっちが社員のモトヤマさん!
研修とかもしてくれた人! 超優しいの!
235真紘 :お世話になってる方だったんですね、いつもありがとうございます。
236明貴 :いえいえ! ヨシザワさん、送り迎えだなんて何かあったの?
今日も早く上がっちゃうし。
237莉緒 :えー学校サボってたらぁ、お母さんが怒っちゃってー。
238真紘 :これから家族会議なんです。 すみませんね。
239明貴 :そうだったんですね。 シフトの調整とか、必要になったら早めに話してくれる?
240莉緒 :はーい! じゃ、お先に失礼します!
<車内。>
241真紘 :<溜息、ウィッグを取る> イトコのお兄さん、ちゃんとできてました?
242莉緒 :マジ最高、超メロいんだけど!
243真紘 :ええ? ならよかった。
244莉緒 :ねえねえヒロさん、まだこの時間って警察署にみんないる?
245真紘 :ん?
246莉緒 :タモツさんの事、もう少し話したいんだけど。
最近のラインが変だっただけで、めっちゃ良い人だからさ。
パパ活してて殺されたエロ親父だって誤解されてるの、普通にイヤなんだよね。
247真紘 :わかりました。 でももう遅いし、早めに家へお送りしますからね。
お母様に、二十一時前に帰ると連絡も入れて下さい。
248莉緒 :……うん。
249真紘 :<無線> ──ヨシザワリオさん署にお連れします。 今、誰か話聞けます?
<署内。>
250杏実花:リオちゃーんっ! 話してくれてありがとう!
リオちゃんの事、もうみんな疑ったりしてないからね!?
251莉緒 :……え、マジ? 早すぎん……?
252礼良 :だろ? お前がそんだけ、重要な証言持ってたんだよ。
253莉緒 :黙っててごめんって。 ね、どうしてタモツさん殺されたの?
254静夏 :あー、今の段階じゃ細かい話ってできないんだよね。
255莉緒 :あぁまあ、だよねー……なんかごめん、ウチが黙ってた癖に。
256静夏 :全然気にせんでいいけど?
でもそう言ってくれんなら、どーいう感じで会ってたのかもーちょい聞かせてよ。
257莉緒 :んーと……パパ活って、悪いイメージあると思うんだけど。
タモツさんって良い意味で普通だったんだよね。
優しいお父さんがいたらこんな感じ? みたいな。
258静夏 :<苦笑する> それは昨日散々聞いたって。
259真紘 :お父さんみたいだから、めっちゃ良い人?
260莉緒 :そんだけじゃないよ!
パパ活サイト見付けてパパ探してたんだけどー、みんなホテル行きたがるんだよね。
それは大体想像つくっしょ? でもホテルは絶対イヤで。
261杏実花:へ? ホテルなしで会ってたの?
262礼良 :……この辺りのホテルの防犯カメラには映ってなかったな。
263莉緒 :でしょ? 一回も行ってないもん。
なんでパパ活してるかって最初に聞かれて、正直にお金が欲しいけどホテルは嫌、
母子家庭で欲しい物買えないから学校サボってバイトしてる、って言ったら。
バイトにはちゃんと入るって約束で、ホテルありの金額くれてたの。
……最初、学校行けって言ってたけど。 学校はやだって言ったらこの約束になった。
264静夏 :ホテルありの金額ってどんくらい?
265莉緒 :食事だけで、週一回四万。
266静夏 :よんッ!?
267莉緒 :ビビるっしょ? だから本当にいいの? って何回も聞いたし。
したら、楽しかった事を食事しながら話して聞かせて欲しい、って言われて。
そんなん上辺だけ、最初だけでホテル狙ってるんだろうなーって思ったけど、でも、
……半年ずっとそうだった。 食事しながら、私の楽しかった話、ずっと聞いてくれてた。
ウチも昨日話したタモツさんの仕事の話とか、別荘の話とか聞いてて、面白くて……。
268礼良 :成程な。 ところでお前のバ先か学校に、やせ型で茶髪、
お前よりちょい背が高いくらいで黒ぶち眼鏡の男っている?
269莉緒 :モトヤマさんの事? え、何なに?
270礼良 :おお、パッと出てくんのかよ。 わかった。
271莉緒 :え、何? マジで何?
272礼良 :さて、何でしょう。 <苦笑する>
……お前のパパは、最後の最後まで良い人だったと思うよ。
<莉緒のバイト先、裏口。>
273明貴 :……ん? ヨシザワさんのイトコの。
274真紘 :はい、お疲れ様です。 遅くまで働いてるんですね。
275明貴 :いやぁ、飲食の社員ですから、これくらい当たり前ですよ。
276真紘 :今日はこれからバイトなんですか?
277明貴 :えっ?
278真紘 :飲食って副業ダメな印象でした。 最近はそうでもないんですね。
もう遅いのに大変だなぁ。 あ、スポットバイトならちょっと違うんですか?
279明貴 :……あはは。 その、給料だけじゃやりくりできなくて、
280古都 :なら、拳銃は正規の値段で買った方が安いと思いますよぉ。
281明貴 :え、えっ……?
282古都 :恐れ入ります、銃犯罪対策局の者です。 <警察手帳を見せる>
283真紘 :リオさんのイトコって言ってたの、嘘なんですよ、すみませんね。
でも。 どうして嘘を吐く必要があったか、わかりますよね?
284明貴 :っ! <逃げ出そうとする>
285杏実花:逃げても無駄だよ。 へぇ自覚あるんだ? 今逃げようとしたもんね?
286明貴 :いや、
287杏実花:モトヤマアキ。
銃刀法違反、不正アクセス禁止法違反、強盗殺人の容疑で話聞かせてほしーんだけど。
288明貴 :な……んで、なんで……!?
289真紘 :なんで? 心当たりがない、とか言っちゃいます?
290古都 :ここ最近、イガラシタモツさんに成りすまして、ヨシザワリオさんにメッセージを送っていたのは。
あなたですよね。
<五十嵐から莉緒に送られた、最後のメッセージ。>
291保 :──遅い時間まで、メッセージをありがとう。 最近はおかしな事件の噂も聞きます。
アルバイトの日は、くれぐれも家への帰宅が遅くならないよう、十分に気を付けて下さいね。
292明貴 :……し、知りませんけど。
293杏実花:あれぇ知らない訳なくね? 拳銃、イガラシから買ってるっしょ?
294明貴 :いや……その、ふ、フロストの裏拳銃はジャムらないって聞いて、気になってただけで、
295真紘 :そのフロストの社長、イガラシが先日殺害されたホテル。
清掃員を、スポットバイトで集める事がよくあったそうで。
アプリで募集を拝見しましたが、拘束時間の割に給与が高くて良いバイトですね。
296古都 :あなたは何度も、アプリ経由でその清掃バイトをしていますね。
バイトに入ってる時間帯に、イガラシさんをホテルへ呼び出しているのも確認してます。
297杏実花:清掃を抜け出して着替えて、監視カメラに気をつけながら部屋に入って。
殺して部屋から出て、バイトに戻る。 計画もまぁ、悪くはなかったんじゃん?
298明貴 :……た、確かに。 裏拳銃、また買おうとしてましたよ。
でもその、拳銃を売ってくれる相手を僕が殺すメリットって何かあります?
299礼良 :ヨシザワリオのパパ活相手だったから、殺した。 違った?
300明貴 :……。
301礼良 :ヨシザワとイガラシのパパ活は、一ヵ月前にヨシザワの母親が介入して関係を解消済み。
イガラシからヨシザワへのメッセージは二週間前、
彼女の帰宅時間を心配するメッセージが、最後に送信されたものになる筈だった。
302古都 :でもその後。 大体十日前ですかね。
ヨシザワさんのラインには、イガラシさんからおかしな。
まるでストーカーのようなメッセージが、届くようになりました。
<明貴が五十嵐のフリをして送ったメッセージ。>
303明貴 :──最近はアルバイトを頑張ってるね。 疲れていませんか?
お昼頃にキミを見かけました。 カルボナーラを食べてたね。
ああいうのが好きなんですか? 今度一緒に食べに行きたいですね。
304真紘 :イガラシは裏取引の際、必ず顧客と顔を合わせる事を徹底していました。
表の顔は社長、裏の顔は拳銃のバイヤー。 どちらも信用が命だと考えたんでしょう。
305杏実花:流石社長だよね、几帳面でマメで、しかもめっちゃ用心深い人でさ。
名義を偽装して借りていた別荘、そこに隠してあった手帳やタブレットで。
モトヤマアキ、お前とのアポが十日前に入ってたってやっと確認できた。
306明貴 :──シンミヤ駅の前でお友達と遊んでいたみたいですね。
遊ぶお友達は、きちんと選んだ方がいい。
キミにはもっと清楚なお友達が似合うんじゃないかな。
キミの格が下がるようでとても悲しいよ。
307礼良 :そんでお前。 裏で取引してたのは、拳銃だけじゃないな?
裏社会の連中から、アプリを乗っ取る方法を買ったんだろ。
308明貴 :……!
309礼良 :イガラシのプライベート用と思われる端末と、ヨシザワの端末の履歴。
メッセージの一部、十日前からの履歴が何故か、一致しねえんだよ。 不思議だよなぁ。
──お前とイガラシが会った直後から、イガラシの端末のデータ使用量も急激に増えててさ。
310明貴 :<後ずさる>
311礼良 :俺、サイバー対策の専門でさ。
十日前からメッセージの発信元と機種が変わってる事は既に特定してる。
まだ知らぬ存ぜぬで通したいなら、お前のスマホ出して。
312明貴 :──今日は随分夜遅くまで起きてるんだね。
またスマホを弄ってるのかな?
俺が送ったメッセージは既読なのに、なんで返信くれないの?
おーい。 起きてるんでしょ? 返事してよ。
313礼良 :……出せねえよな。
イガラシに会った時、お前は何らかの方法でイガラシのラインアプリを乗っ取った。
ヨシザワリオに自分が頼られる為に。
イガラシがストーカーになった、彼女にそう思わせる為にメッセージを送った。
ま。 細かいやり方なんかは、署で聞かせてもらおうか。
314杏実花:てか、バ先の社員なんだからフツーに仕事で頼られたらよくね?
友達云々口出してんのキモいんですけど。
315真紘 :まあまあ……あ。 そういえばあなた、俺の事よく見てましたね。
出勤時は店からちょっと離れた場所に下ろしてたのに。
送り迎え、だなんて言い当てて。
316明貴 :……心配して、頼られたいなって思うのは。 別に普通だろ。
裏拳銃のバイヤーと付き合ってたかと思えば、
新しい男が出てきてイトコとか適当な事言ってるし。
俺がリオの彼氏なんだからさぁ。 リオの事、俺が一番知ってて当然だろ。
<回想。ホテルの一室。五十嵐の殺害直前。>
317保 :──そうでしたか。 リオさんには、良いお友達がいらしたんですね。
318明貴 :だから。 友達ではなくて彼氏です。
319保 :……そうですか。 それで、今日はどういったご用件で?
ご注文頂いた拳銃はまだ、届いておりませんよ。
320明貴 :リオちゃんとのパパ活を止めて下さい。 リオちゃんの進学費は、僕が出します。
321保 :それはリオさんの意思ですか?
322明貴 :当然です。 僕、リオちゃんのお父さんとお母さんにもう挨拶をしてて、
323保 :彼女、母子家庭ですよ。
324明貴 :えっ?
325保 :……キミの話を信じたかったけどね。 リオさんと、本当はどんな関係だい?
326明貴 :……信じてんすか? リオが母子家庭っての。
嘘に決まってるでしょ。 パパ活で金もらう為の嘘。
327保 :リオさんの家庭は、事情があって養育費を受け取る事ができなくて。
彼女は生活に必要な最低限の物しか、お母様に買ってもらえなかった。
328明貴 :そうやって可哀想な女のフリをして、
329保 :リオさんのお母様が。 ……そう言って私に金を返しに来た事が、あってね。
330明貴 :……は?
331保 :興信所を使って私を突き止めたそうだ。 すごいね、母の愛というものは。
キミが心配しなくても、私とリオさんのパパ活は、もう終わってるんだ。
彼女も、お母さんに説得されて私と会う事を控えている。 高校にも通い直してる。
今は時々、メッセージのやり取りだけしているよ。
332明貴 :じゃあそのやりとりも止めろよ。
333保 :どうして。
334明貴 :俺って彼氏がいるんだからさ。 おっさんと話す理由なくね?
335保 :キミが本当に彼氏ならね。
336明貴 :何疑ってんの? 証拠ならあるよ、ニコイチで買った物が
337保 :物があっても、気持ちが伴っていなければ意味はないだろう。
338明貴 :はあ? 何、説教? パパ活おっさんが?
339保 :そうだよ。 キミの言うパパ活おっさんより、愚かな事はしていないかい?
340明貴 :<小声> ……うるせえよ。
341保 :ん? どうした。
342明貴 :なんで、お前の方がリオの事知ってんだよ!
<回想ここまで。>
343真紘 :知ってて当然。 そう言えるくらい、よく見てたのに。
自分が殺した人物に成りすまして、殺害後もメッセージを送ったのは悪手でしたね。
344明貴 :……研修の時から俺が目ぇ付けてたんだよ。 いつもニコニコしてて可愛いし。
ギャルなのは気に入らないけど、そんなの付き合ってから矯正してやりゃいいし。
345杏実花:は? 最低。
346明貴 :最低なのはどっちだよ。 俺は苦労して働いて、夜中にバイトまでして
リオと暮らす為の金貯めてんのに。 あっちはパパ活
<銃声、明貴の足元を銃弾が掠める。>
347明貴 :……は?
348礼良 :<舌打ち> どこだ!
349古都 :あのビルの上です! 狙撃されてます! <拳銃を取り出す>
350明貴 :いっ……!? なんだよ、なんなんだよ! <駆け出す>
351真紘 :<明貴を捕まえる> モトヤマさん、こちらへ。 口封じで殺されますよ。
352杏実花:行儀悪いトコに頼んじゃったんだねー。 ま、自業自得っしょ。
353明貴 :ち、ちが……違うんだって。
354杏実花:あ? 何が。
355明貴 :本当に好きだっただけなんだ、俺。 ずっと好きだった。
好きだったんだ。 本当に、大好きだったんだ。
ずっと笑ってて欲しかったんだ。 それだけだったんだ。
356真紘 :我儘を仰る。 怖い思いをしても尚、笑っていろと?
357杏実花:ねえ今アンタ笑えんの? 無理っしょ、こんな状況で。
めっちゃ癪だけど。 今、見えない場所から狙われてんの。
アンタがリオちゃんにしてた事と、同じだからね。
<無線> ──対象確保。 狙撃されてる、至急パトカー回して!
<署内。>
358莉緒 :──嘘でしょ。 モトヤマさんが?
359古都 :う、うん……信頼してたのに、辛いよね。 大丈夫……?
360莉緒 :……は。 何してんの? 私が好きで、ヤバい奴頼ってライン乗っ取って、
ストーカーして、タモツさん殺して……。
361古都 :ん、うん?
362莉緒 :マジありえない。 普通にキッショ。 は? ヤバすぎなんだけど。
363杏実花:それな!? 大丈夫、こっからは法律が何とかしてくれっから! マジ任せといて!
364莉緒 :ガチ頼むガチ頼むガチ頼む! も、あの顔二度と見たくねえ!
365杏実花:見ない見ない! 普通に殺人で捕まってムショから出れねえから!
あとー接近禁止命令っつーのがあってー──
366古都 :……ギャルの子って、強いなぁ。
367真紘 :ねー。 でも元気そうでよかった。
368静夏 :ああああ、くっそ! 追えてはいたんだけどなぁあの黒づくめのヤツ……!
369修治 :<溜息> お前は足で追えたからいーじゃん。
俺なんてパトカーでぐるぐるしてただけで、良いトコ全くなかったんだけど?
370礼良 :<苦笑する> わざわざ客の口封じに来たんだ、それなりに場数踏んでる奴だったんだろ。
犯人殺されなかっただけまだマシ。 ありがとな、すぐ駆け付けてくれて。
さてと。 リオ。
371莉緒 :何? あ、不良学生卒業!?
372礼良 :そう。 お前に見せなきゃならんモンが……その前にまず、謝罪だな。
お前とイガラシの関係を、深読みしまくってた俺が間違ってた。 すまん。
373莉緒 :……いーよ。 パパ活してたのは事実だしね。
374礼良 :お前が証言したイガラシの別荘な、隠し別荘だったそうで。
偽装されてて発見が遅れた。 お前の証言のおかげで発見できた。
375莉緒 :マジ? てか別荘を偽装するって何? 悪い事に使ってた……の?
376礼良 :……これ。 イガラシのプライベート用のスマホなんだけど。
このスマホが、お前との関係が事件前に終わってるって証明してくれた。
メッセージだけじゃない。 お前と会った日、お前の好きな物、お前が話した内容。
お前の母親がイガラシを訪ねた日の録音。 全部残ってた。
377莉緒 :えっ?
378礼良 :<苦笑する> お前に何を贈るか、お前にどんな話をするか。
通信学校やフリースクールの資料、この辺りから通える大学、それらの学費の計算、
……不登校の生徒と接する為の、心理学書。
ほら。 <スマホを渡す> 全部このメモ帳に纏めてて。
379莉緒 :…… <苦笑する> ウケる、マジ? わざわざこんな……。
380礼良 :で、これ。
刺された後の数分で作ったと思われるメッセージも、残ってた。
咄嗟にこっちに残したんだろう。 イガラシからお前への、本当の最後のメッセージだ。
あんなキモいメッセージより、こっちを覚えとけ。
381真紘 :……これを残してたから。 窒息してたのに、もがいた痕がなかったんですね。
382静夏 :すげえな。 自分の死に際でも、リオちゃんの事心配してたんだ。
383修治 :言ってる事フツーに父ちゃんじゃん。 生きてたら更生できたのかもな。
384古都 :本当に優しい人だったんだねえ。 コレ見たらわかるよ。
385杏実花:パパ活は賛成できないけどさ。 良い人に出会えたね、リオちゃん。
386莉緒 :……うん! ね? マジで良い人だったっしょ!
387保 :──茶髪で黒ぶち眼鏡の青年に気を付けて。 彼に近付かないで。
キミを本当の娘のように思っていました。 私には罰が当たったようです。
お母さんと仲良く、そして元気に学校に通って。
難しい時は美味しいカルボナーラを沢山食べて。
どうか健やかで。 素敵な大人になって下さい。
2025.2.3 初版 羽白深夜子
2025.4.2 更新 羽白深夜子
2025.6.26 更新 羽白深夜子
2025.9.1 更新 羽白深夜子
2025.9.14 更新 羽白深夜子
あくまで目安のご提示です。参加される方で調整してご利用下さい。
■男性役(男性四名の時)==========
三上礼良・五十嵐保
久世真紘
犬飼修治
大和静夏・基山明貴
※「基山明貴」役は「大和静夏」役が、
「五十嵐保」役は「三上礼良」役が兼ねて下さい。