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【付喪神の件 一話】 (つくもがみのくだん いちわ) ​男性2人:女性2人。 わちゃわちゃ楽しくやって頂ければ。 有償版販売ページはこちら。 【高野 里歌(たかの りか)】 16歳、高校一年生。流歌の双子の姉。 流歌より社交的だが学校の成績は悪い。ギャルっぽい見た目で厚化粧。 国を問わずお伽噺や古典文学が大好き。周囲には隠している。 流歌と同じ学校の文系のクラスで授業を受けており、将来の夢は翻訳家。 高校卒業後に留学をしたいと思っている。 ​ 【高野 流歌(たかの るか)】 16歳、高校一年生。里歌の双子の弟。 里歌より学校の成績が良いが内向的。休み時間も黙々と勉強している。 天体が好きで、将来は数学者を目指している。 里歌と同じ学校の理系のクラスで授業を受けており、将来の夢は数学者。 【空木(うつぎ)】 鏡の付喪神。女性型。 【現(うつつ)】 鏡の付喪神。男性型。 【配役表】 高野里歌: 高野流歌: 空木  : 現   : ======================================= 001流歌:その日はいつも通り、本当にいつも通りのつまらない日だったんだ。 <流歌、家に帰ってくる。里歌、リビングでケータイを弄っている。> 002里歌:おかえりー。 003流歌:……。 004里歌:<溜息> シカトかよ……。      今日お母さん、お父さんの所に泊まるんだって。 はい夕飯代。 005流歌:……どうも。 006里歌:ねえ、家でシカトするのは別にいいけどさ。      今日みたいに学校でシカトするのは勘弁してくんない?      どうせ同じ顔で、双子だってもうバレてるんだし。 007流歌:お前みたいな厚化粧と同じ顔なのが嫌なんだよ、それくらい察しろよ。 008里歌:はあ? 誰の所為で厚化粧してると思ってんの。      私だってアンタみたいな根暗と同じ顔、嫌なんだけど。 009流歌:お前みたいに、移動教室の度に廊下でギャーギャー騒いでる馬鹿よりいいだろ。 010里歌:アンタみたいに、休み時間でもボッチで勉強してるガリ勉よりマシ! 011流歌:こっわ、僻(ひが)むなよ。 この前テストの結果見て母さん頭抱えてたぞ。      母親が頭抱える成績とか、恥ずかしくないの? 012里歌:で、でも、この前お母さんにルカは全然話をしてくれないって相談されたけど!?      お母さん困らせてるのはどっちなのよ! ​ <ガサガサという物音。二人、顔を見合わせる。> 013流歌:……何。 014里歌:今の音。 015流歌:あの荷物から聞こえたぞ。 016里歌:ちょっと、開けるの!? お母さんの荷物だよそれ! 017流歌:うるせーな。 化粧落としてこいよ。 018里歌:はあ!? さっきから一々何なの、ウザいんですけど! 019流歌:よ、っと……鏡? でっか。 020里歌:姿見? ……なんで二つ? 021現 :──おや。 022空木:これはこれは。 023現 :驚いたな。 024流歌:うわっ!? 025空木:同じ顔がふたぁつ。 026現 :我らと同じだな。 027空木:おかしな事もあるものだ。 028里歌:え、え!? 029流歌:おい! 誰だよ出てこいよ! 030現 :おや、そうか。 031空木:このままでは姿が見えんか。 032現 :どうしようか、ウツギ。 033空木:見た所まだ子供だ、ウツツ。 034里歌:ど、どこ? どこから聞こえるの? 035現 :見えねば怖いか、怯えているな。 036空木:しかし怯える事はないよ。 037現 :我ら只の鏡故に。 038空木:人に害は為さぬよ。 039現 :どれ、姿を見せてあげるか。 040空木:あいわかった。 <現と空木、二人の前に姿を見せる。> ​ 041流歌:うわぁっ!? 042現 :そう驚くな、人の子。 043空木:初めまして、人の子。 044現 :我はウツツ。 045空木:我はウツギ。 046里歌:え、え、どこから来たの? 047現 :どこから? 048空木:おかしな事を聞く子だな。 049現 :当然この鏡だ。 050里歌:……へ? 051空木:我ら、この鏡の付喪神(つくもがみ)故に。 052現 :当然この鏡ある所に現れる。 053流歌:……つ、くもがみ? 054里歌:道具とかに付いた神様? 精霊? って……こと? 055空木:如何(いか)にも。 056現 :この子は敏(さと)い。 057空木:そうだな。 058流歌:ってちょっと待て! そんなファンタジー設定で騙そうったってそうはいかねえぞ!      適当言って、コスプレした強盗なんじゃ 059里歌:<遮る> いっ、伊勢物語に、あなた達みたいな付喪神は      人間の事を誑(たぶら)かすって書いてあったけど! 060流歌:い……何? 061現 :伊勢物語とはまた。 062空木:懐かしいなぁ。 063現 :あれは誰が書いた物だったか? 064里歌:書いた人に覚えがあるの!? 065空木:おや、知らんのか。 066里歌:知らない! 伝わってないの! 誰が書いたの!? 067現 :ふむ。 話してあげようか。 068流歌:ストップ! 何!? こいつら人間を誑かすのか!? 069里歌:あっと、そうだった! そっちを先に教えて! 070空木:わかったわかった。 071現 :我ら人を映す道具故。 072空木:人と近くある道具故。 073現 :神隠しには興味はない。 074里歌:そうなんだ、よかった。 075流歌:いやよくはねえだろ!? お前なんでこんなファンタジー展開に順応してんの!? 076里歌:だって実際に目の前に付喪神がいるんだよ!? 信じるしかないじゃない!      悪い人、人……? には、とりあえず見えないし! 077流歌:あ、えー……確かに人には見えないけど! 078里歌:ねえっ! えーっと……ウツツとウツギ、でいいの? 079空木:ああ。 080現 :違いないぞ。 081里歌:聞きたい事が沢山あるんだけど、何から聞こう……!      そうだ! 伊勢物語ってさ、源氏物語より古いじゃん? 082流歌:<遮る> 待て待て待て! そんな事よりもっと重要な事があるだろ! 083里歌:はあ!? そんな事!? 084流歌:お前らなんでうちに来た!? その、ナントカ神だってのはもういい、そうだって事にする!      なんで母さんの荷物から出てきたんだ!? 085空木:ほお。 086現 :この子も敏いな。 087空木:良い所に来たようだ。 088現 :答えてあげるか? 089空木:答えてあげよう。 090現 :買われたから来た。 091空木:これでいいのか? 092流歌:えっと。 この鏡を、母さんが買ったんだな? 093現 :そう。 094空木:子供達に、と店の者に話していた。 095現 :なので、この鏡はお前達の物で違いない。 096空木:にゅうがくいわい? らしい。 097里歌:お母さんはあなた達の事、知ってるの? 098現 :知らないだろうな。 099空木:きっと知らぬ。 100流歌:……さっきから気になってたんだけど、なんか話し方変じゃね? 101現 :変? 102空木:何がだ? 103流歌:なんていうか、……二人で一人の文章、っていうか? 104里歌:うん、一人ずつ喋れないの? 105現 :……一人ずつ? 106空木:……一人ずつか。 107現 :我らは対の鏡故。 108空木:そして、人の形を得るのは初めてだ。 109現 :ずっと二人きりだった。 110空木:二人で一つなのだ。 111現 :だからそれは難しい。 112流歌:……なんだかなー。 113里歌:なんか、聞いてる方は忙しいよね。 114空木:お前達も似たようなものだ。 115現 :ん、そういえばまだ名を聞いていない。 116空木:そうだな。 名は? 117現 :一体何という? 118空木:我らのように、きっと違うな。 119現 :きっと、違う名前があるぞ。 120里歌:私はリカ。 121流歌:……ルカだ。 122空木:リカとルカ。 123現 :二つ目だけ同じ音だ。 124空木:面白いな。 125現 :我々も、聞いてよいか? 126流歌:お、おう。 127空木:お前達は何故同じ顔で。 128現 :違う言葉を喋る事ができる? 129里歌:え? 130空木:先程そちら、ルカが帰ってからの言い合い。 131現 :我らは聞いていたのだ。 132空木:どうして違う言葉を使う? 133現 :どうして、違う言葉で話す事ができる? 134空木:我らには見当もつかん。 135流歌:……そう言われてもなあ。 136里歌:違う人間なんだから、当たり前じゃん? 137現 :そうか。 138空木:我ら、物である時間が長すぎたらしい。 139現 :そうらしい。 では、ウツギよ。 140空木:ああ。 面白そうではあるな。 141流歌:な、何? 142現 :我らも、お前達のようになりたい。 143空木:お前達のように、言い合いがしてみたい。 144現 :そう思ったから姿を見せた。 145空木:我らはいくら話し合えど。 146現 :いずれ同じ言葉になった。 147空木:どうすれば違う言葉になれるのか。 148現 :どうすればお前達のように話せるのか。 149空木:結論がつかなかった。 150里歌:って、言われてもなあ……。 151流歌:どうすればいいのか、俺らも検討がつかない。 152里歌:あ、ねえ。 物である時間が長すぎたって言ってたよね? 153流歌:あー。 人として暮らしてみる、とか? 154空木:…… <現の方を見る> 155現 :…… <頷く> 面白い事を聞いた。 156空木:ああ、聞いたな。 157里歌:採用しちゃうんだ……。 158現 :うむ。 付き合ってくれぬか? 159空木:勿論、タダでとは言わんぞ。 160里歌:え、なになに? 161流歌:すげえ嫌な予感がするんだけど。 162現 :そう言うな。 163空木:きっと悪い話じゃない。 164現 :我らに叶えられる願い。 165空木:我らの力で叶えてやろう。 166流歌:……へ? 167里歌:まじ? 168現 :ああ。 169里歌:か、神様が、願い叶えてくれるの!? 170空木:そうだぞ。 171流歌:まじか……まじかよ!? 172里歌:えっと、えっと! どうしよう! 173現 :ただし。 174空木:一つだけ条件だ。 175現 :願いは必ず、お前達の一番の願いでないといけない。 176空木:お前達の一番の祈りでなければ、我らの力も及ばん。 177現 :さあ、なんでも言ってみろ。 178空木:我らの力の限り、叶えてやろう。 179流歌:すげえ無茶ぶりだな!? 180現 :我らは付喪神。 181空木:人が扱う道具に宿る。 182現 :我らにも信仰が必要なのだ。 183空木:つまりお互いの為の願いなんだ。 184里歌:ならいいの? え、ほんとにいいの? 185現 :遠慮する事はない。 186空木:思うままに言えばいい。 187流歌:とか急に言われたって! 188里歌:えーっと、なんだろう、一番!? 189現 :思うままでいい、叶えてやろう。 190空木:言うだけでいい、叶えてやろう。 191流歌:……じゃあ! 192里歌:これにする! ​ 193流歌・里歌:一緒に、ご飯食べて! ​ 194里歌:……んん? 195流歌:は? 196現 :ははははは! 聞いたかウツギ! 197空木:ふふふふふ! 聞いたぞウツツ! 198流歌:なっ、なんだよ! 真似すんなよ! 199里歌:はあ!? こっちの台詞よ! 200現 :漸く同じ言葉を喋った。 201空木:これは叶えてやるしかない。 202現 :容易いな。 203空木:ああ、容易い。 204里歌:ああもう! 忘れて! 今のナシにする! 205流歌:そ、そうだ! 今のナシ! 206現 :駄目だ駄目だ、確かに聞いた。 207空木:この耳で確かに聞き届けたぞ。 208現 :では、リカ。 209里歌:え? 210空木:ルカよ。 211流歌:なんだよ! 212現 :我をリカの部屋に連れて行ってくれ。 213里歌:はああああああああ!? 214空木:我はルカの部屋だ。 215流歌:なんでだよ!? 普通、その、逆だろ!? 216里歌:ウツギが女の子みたいだし、女の子が私の部屋に来るのが普通でしょ!? 217現 :そうなのか? 218里歌:そうだよ! 219空木:しかし困った。 220現 :我らも相性というものがあってな。 221空木:ウツツをリカの部屋へ置き。 222現 :ウツギをルカの部屋へ置いた方がいいぞ? 223里歌:……どうする? 224流歌:ああもう、わかった! 願いは叶えてくれるんだろうな!? 225現 :おうとも。 226空木:共にメシを食えばいいのだろう? 227流歌:<溜息> ……運ぶか。 228里歌:うん、運ぼうか。 229現 :その心意気やよし。 230空木:世話になるぞ。 231流歌:──いつも通り、本当にいつも通りのつまらないその日。      こうして、唐突に付喪神とやらの同居人ができた。 勿論父さんと母さんには内緒で。      そんで、それからしばらくした現在。 232空木:るーかー! るかるかるかるかるーうーかーあー!      退屈、妾(わらわ)はすっごい退屈! 超退屈! このままじゃ死ぬ!      お前が学校に行ってる間もウィーヤーを貸してくれ! 退屈で死ぬ!      スピラトゥーンでもスミブラでもいいから! なー!? 貸してくれよー!      ルカは妾が死んでもいいのかー!? もしくはDLSLとモンパン買ってー!      アメゾンのお急ぎ便で買ってー! 233流歌:──片や、とんでもない甘ったれになり。 234現 :ウツギ、ルカが困ってるだろ、駄々をこねない! うちにゲーム機を買うお金なんてありません!      あ、リカ! テストの結果見たぞ! 前より二十位も上がってるじゃないか!      ルカもまた学年一位だし、今日の夕飯はオムレツとサーモンのカルパッチョにしよう!      リカもルカも好きだろ! 丁度スーパーでタイムセールをやってたんだ。      あ、しまった! 昨日サラダに使ったからオリーブオイルが切れてるんだったな。      俺ちょっと買い物に行ってくるから、三人で仲良く遊んでて! ​ 235流歌:──片や、やたら爽やかな世話焼きになり。      なんか、滅茶苦茶現代に順応していた。 2016.6.18 完成 羽白深夜子 2020.1.9 修正 羽白深夜子 2021.1.16 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子
→二話
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