最終更新:2024/5/1
利用規約
をご一読下さい。
★
してはいけない事→脚本のコピー&ペースト/ページURL以外の配布/アーカイブ等の7日以上の公開
告知や配信画面の為に画像や動画を作らず、使わなければ、お金を支払う必要はありません。
アーカイブ等の7日以上の公開は、有償版の購入と別途申請が必要です。
わからない事がありましたら羽白深夜子までご連絡下さい。
サイト掲載版を使う方は
使用申請フォーム
からご申請下さい。
【付喪神の件 二話】 (つくもがみのくだん にわ) 男性2人:女性2人。 これまでのあらすじ:付喪神、双子のお家にやって来た。 有償版販売ページは
こちら
。 【高野 里歌(たかの りか)】 16歳、高校一年生。流歌の双子の姉。 流歌より社交的だが学校の成績は悪い。ギャルっぽい見た目で厚化粧。 国を問わずお伽噺や古典文学が大好き。周囲には隠している。 流歌と同じ学校の文系のクラスで授業を受けており、将来の夢は翻訳家。 高校卒業後に留学をしたいと思っている。 【高野 流歌(たかの るか)】 16歳、高校一年生。里歌の双子の弟。 里歌より学校の成績が良いが内向的。休み時間も黙々と勉強している。 天体が好きで、将来は数学者を目指している。 里歌と同じ学校の理系のクラスで授業を受けており、将来の夢は数学者。 【空木(うつぎ)】 鏡の付喪神。女性型。 【現(うつつ)】 鏡の付喪神。男性型。 【配役表】 高野里歌: 高野流歌: 空木 : 現 : ======================================= <里歌の部屋、大きな鏡の前。> 001里歌:んしょ、っと。 ふー、ここでいいかな。 002現 :手間を掛ける。 003里歌:いーよいーよ、気にしないで。 鏡ごと移動しないといけないって大変だね。 004現 :そうか? 我ら、そのようにしか移動した事がない。 005里歌:そりゃそっか。 あ、ねえ、勢いで一緒にご飯食べようって言ったけど、食べ物は食べられるの? 006現 :食べるにしても体が無いな。 ふむ……何か、身に付ける物を貸してくれ。 007里歌:え? 008現 :依代(よりしろ)にしたい。 009里歌:依代? 010現 :ああ。 その物の記憶を頼りに、人の形を作ろう。 011里歌:突然現れた奇妙な同居人達は、例えるなら立体映像っていうか。 着ている着物の豪華さもあって、浮世離れしてる。 うん、そんな言葉がぴったり。 <流歌の部屋、大きな鏡の前。> 012流歌:記憶を頼りに、か……うーん。 013空木:そうだな。 洋服が着てみたい。 014流歌:洋服か、確かに身に付けるモンだな。 てか、ますます置く部屋を逆にした方がいい気がするんだけど。 015空木:先程言ったろう。 物事には相性があるんだ。 016流歌:うーん。 俺とお前の相性が良いってどういう事? 017空木:ウツツがリカに、我がルカに惹かれた。 018流歌:惹かっ!? 019空木:初心(うぶ)だな。 そういう意味ではない。 ウツツは名の通り、現世を映す鏡。 我は、……心を映す鏡だ。 020流歌:心を映す? 鏡が? 021空木:じきにわかる。 022流歌:ふうん……ま、後でもうちょっと聞かせて。 先に依代だったな、ちょっと待ってろ。 023空木:成程、母親の洋服か。 名案だな。 024流歌:へっ!? 025空木:ほら。 心を映したろう? 026流歌:……成程。 心が読めるって事ね。 <里歌の部屋、大きな鏡の前。> 027現 :さて、こんな塩梅か。 似合うか? 028里歌:……に、似合うもなにも! モデルみたい! ねえねえ、自分で鏡見てみたら? 029現 :鏡とは人を映す物。 我は映らぬよ、ほら。 030里歌:本当だ。 031現 :人間と同じ物を食べ、人間の真似事に慣れてくれば映るさ。 032里歌:まだ姿を借りただけって事なんだね。 あ、でも! <手を取る> 033現 :なんだ、藪から棒に。 034里歌:触(さわ)れる! はい、握手! 035現 :おお、この動作は見た事があるぞ。 骨董品屋の店主がよく客としていた。 036里歌:そうなんだ。 <手を離す> ……ふーん。 037現 :どうした、じろじろと。 なにかおかしいのか? 038里歌:ううん。 何となく……だけど、声も姿もお父さんに似てる気がするなって。 039現 :ならば成功だ。 この洋服は父親の物か。 040里歌:うん。 単身赴任中だから気にしないで、……あ! 記憶を頼るってそういう事なの! 041現 :そうだ。 この洋服は随分大事にされていたようだな、快く記憶を貸してくれた。 042里歌:そっかあ。 お母さんと初めてデートした時の、一張羅なんだって。 043現 :でえと? 044里歌:んーっと……初めて、二人っきりで思い出を作った時の事! 045現 :ほお、逢引。 この時代ではそれをでえと、と言うのか。 046里歌:うん。 どこに行ったって言ってたかなあ……。 047現 :花畑だな、白い花が一面に咲いている。 ……おお、この人間がお前達の母親か。 048里歌:わかるの? 049現 :記憶を借りたからな。 ……うむ、リカよ。 050里歌:何? 051現 :我も、お前とでえとをしたい。 052里歌:はあっ!? 053現 :この洋服は、お前達の両親の幸せの記憶を貸してくれた。 このように良い物ならば、我もしてみたいぞ。 054里歌:あー、あーっと、あのね? デートってのはその、……恋仲! そう! 恋仲の二人がするものだから! 055現 :そうなのか? そうか。 056里歌:そうなの! 057現 :確かに、恋仲でなくとも思い出は得られる。 しかし折角人の身を得たのだから、こんなにも良い物ならば我も得たい。 でえと、でなくていい、外に出てみたいぞ。 その時は我もいっちょうら、で出掛けよう。 058里歌:……あはは。 その前にもう少し現代の事を知ってからの方がよさそうだけどね。 まあ、いいよ。 一緒に出掛けようね! <流歌の部屋、大きな鏡の前。> 059空木:不思議なものだ。 人の身を借り、記憶を得ただけで随分感覚が違う。 060流歌:そういうモンか? 061空木:成程、お前達が食事の同席を願い出た理由も何となくわかった。 これは恐ろしさ、……んや、寂しさと言えばいいのか。 062流歌:……寂しさ? 063空木:ああ。 064流歌:母さんの服に、そんな記憶が? 065空木:確かにある。 何、そう顔を曇らせるでない。 小さなお前達を守り、育(はぐく)まねばと意気込み。 そして少しずつ成長するお前達の姿に喜んでいる記憶が殆どだ。 066流歌:なら、母さんが何が寂しかったんだ? 067空木:恋慕かな、この感情は。 お前達の父親は多忙な人物のように見える。 068流歌:あー。 父さん、昔から殆ど家にいないしな。 父さんがいなくて寂しかったのか。 069空木:……ルカ、少しいいか。 <抱きつく> 070流歌:何だよ!? 071空木:おお、これは確かに。 072流歌:な、何だよ! 急に抱き付いて! 073空木:洋服へ、記憶を分けてもらった礼だ。 ルカ、この洋服を着た母親の記憶はないか? 074流歌:な、ない! 075空木:そうか。 洋服はお前を覚えていたぞ。 小さなお前がこうして、母親を慰めた事を。 076流歌:……あ。 077空木:思い出したか。 078流歌:まあ、何となく。 079空木:どれだけ洋服がお前の成長を喜んでいるか、伝える事ができないのはもどかしいな。 080流歌:あ、……あー、ちょっと離れろ。 <空木、流歌から離れる> ……ありがと、な。 これで伝わるか? 081空木:……ふふふ。 あまり泣かせてやるな。 082流歌:だっ、だってお前! 俺の心を映すんだろ!? 隠したって無駄じゃんか! 083空木:その通り、利口な子だ。 お前はあまり表現が素直でないと見た。 それでは損をするぞ。 084流歌:って言ったって。 どうすりゃいいかわかんねえんだよ。 085空木:思うまま、あるがままでいいのだ。 086流歌:それが難しいんだよ……ま、悪い気は、しないんだけどな。 087空木:おう、その調子だ。 088里歌:その後、とりあえず。 二人を置いて、私とルカでコンビニに夕飯を買いに出た。 089現 :おお! 見違えたな、ウツギ! 090空木:ああ! 見違えたぞ、ウツツ! 091里歌:二人で話し合って、まずはおにぎりとお味噌汁でいいんじゃないかな? って。 流石に初日からスパゲッティとかお弁当はちょっと。 気が引けたっていうか。 神様なんだし。 092現 :人の身とはこうも幸せか。 093空木:いや中々に儘(まま)ならぬ。 094現 :その見解は記憶を見てか。 095空木:然様。 096現 :初めて意見を違(たが)えた。 097空木:本当だ、初めてだ。 098現 :人とは記憶に左右されるようだ。 099空木:そして感情に揺さぶられるようだ。 100現 :これは愉快だ。 101空木:ああ、虚しくもある。 102里歌:お母さんがお父さんの赴任先に行っている時は、いつもお互いの部屋で別々に食べてたし。 一緒にご飯食べるのって久しぶりかも。 ……そういえば。 ルカとこんなに喋ったのも久しぶりだなあ、なんて。 103現 :ははあ、虚しいか。 104空木:ああ。 しかし、ウツツの言う愉快もわかる。 105現 :面妖な、それはなんたるや。 106空木:正体はわからぬ。 107現 :ウツギにもわからぬか。 108空木:しかしアテはある。 109現 :自我か。 110空木:自我だ。 111現 :結論は同じか。 112空木:そのようだ。 113現 :ははは。 114空木:ふふふ。 115現 :楽しいな。 116空木:ああ、楽しい。 <リビング。流歌と里歌が、付喪神達が待つ食卓に帰ってくる。> 117流歌:おーい、帰ったぞ。 ほれ。 118空木:……これは何だ? 119里歌:おにぎり。 ルカ、剥(む)いてあげなよ。 120流歌:へーへー。 121現 :……おおー。 122流歌:これなら、何となく見た事ない? 123空木:握り飯か! 124里歌:そ。 で、こっちがお茶ね。 注(つ)いであげるから。 125現 :梱包されているのか。 126空木:ここに来た時の我らと同じだな。 127流歌:梱包って。 まあ、包装はされてるわな。 食ってみろよ。 128現 :ああ、頂きます。 129空木:うん、頂きます。 130流歌:はいどーぞ。 131里歌:お茶も飲んでね。 ふー、明日休みでよかった。 お母さんもいないし予定もないから、この二人に現代の事教えてあげなくちゃ。 132流歌:教えるっつったって、どうやって。 133里歌:いやわかんないけど。 134流歌:テレビと雑誌を見せて、徐々にって感じがいいのかな。 でも二人とも、人間の生活は見てきたんだろ? ある程度の事は……おーい? 135現 :美味いな、握り飯は! 136空木:ああ! これが美味いという事か! 137現 :リカ、我らの分はこれだけか!? 138空木:もっと食べたいぞ! ルカ! 139流歌:……苦労しそうだな……。 中に入ってる具が違うんだ、適当に選んでみろよ、俺らも適当に食うし。 140空木:ならこれにしてみよう。 ルカ、食えるようにしてくれ! 141流歌:字は読めるか? これは? 142空木:おかか! こっちは醤油焼きおにぎり、辛子明太子、だ! 143現 :和風ツナマヨネーズ。 これはカタカナだな、半島の物か? 144里歌:日本の物だよ。 食べてみよっか。 145流歌:へえ、文字は大丈夫なんだな。 146空木:随分形が変わったが、その移り変わりを見てきているからな。 147現 :和風ツナマヨネーズも美味いが、随分味が複雑だ。 148里歌:ちょっと手が込んでる、料理されてるからね。 149流歌:まあ、気に入ってくれたならよかった。 150現 :次はこれにしよう、リカ、頼むぞ。 して、我らに何か聞いたか? 151里歌:えっと。 二人は人間の生活をどの程度知ってるのかなって。 152現 :ほほへいほほはふふはひいは!(どの程度とは難しいな) 153里歌:あー、口に物を入れて喋らない! 154空木:<むせる> 155流歌:ばっかお前、急いで食い過ぎ! お茶飲めお茶! 156空木:……ぷはあ、ま、儘ならぬ……! 157流歌:急いで食わなきゃいいんだよ! 158空木:でも! でもこの明太子とやらは美味いぞ! 159現 :何!? さっきのおかかとやらも美味いぞ! 160流歌:そりゃ何よりだよ! ゆっくり食え! 161里歌:あははは、変なの。 見た目はお父さんとお母さんに似てるのに、子供みたい。 162現 :<お茶を飲んでから> まあ、我らは先程体を得たばかり。 163空木:お前達から見たら、子供とそう変わりないのだろうな。 164現 :して、人間の生活だったか? 165空木:文字の読み書きや寝食、基本的な事は心得ているが、骨董品屋にいた時間が長くてな。 166現 :どうやら現代の事は疎いらしい。 このおにぎりとやらも初めて見た。 167里歌:んー……わかったような? 168流歌:じゃあまずさ、その二人で一緒に喋るの止めてみたら? 169現 :……難題だ。 170空木:ああ、難題だ。 171流歌:さっき、ウツギと俺って二人で喋ってたじゃん。 あの調子でさ。 172里歌:そっか。 ウツツも私と二人で喋ってたよね。 173現 :……成程、あいわかった。 だが我ら、 174里歌:<遮る> 我ら、じゃなくて? 175現 :……私、は? 176流歌:ウツツは男みたいだから、僕とか俺とか、そういう一人称がいいんじゃね? 177現 :……ふむ。 確かに、ルカも自分を指す時はオレ、と言っているな。 178流歌:だろ? 179現 :俺は、人の姿を映すのは得意だ。 何か現代の人の暮らしがわかる書物などは無いか? 参考にして、わからない事があればリカに聞こう。 180里歌:やっぱり、テレビとか雑誌とかを見せてあげるのがいいっぽいね。 181空木:ふむ……では私、いや……。 182流歌:ウツギは女なんだから私、でいいと思うぞ。 183空木:いや、決めた。 妾(わらわ)は心を映すのが得意なのでな、ウツツのようにはいかぬかもしれぬ。 184流歌:わらわぁ? 185里歌:身近にその一人称を使ってた人がいたの? 186空木:ああ。 我らの前の主人がな、ままごとの時に自分を指してこう呼んでいた。 187現 :あの娘か、懐かしいな。 随分可愛らしかった。 188空木:だろう? して、妾はお前ら二人から学ぶ事にする。 時間が掛かるだろうが、よろしく頼むぞ。 189流歌:お前も鏡なんだから、人の姿は映せるだろ? それでいいんじゃないのか? 190空木:着眼点が違えば結果も違う。 先程知った事だ、妾は実践したい。 191現 :……成程。 俺は父親の記憶を、ウツギは母親の記憶を借りた。 確かに見解は異なったな。 192里歌:二人がそれでいいならいいんじゃない? ほら、もうおにぎり最後の一個だよ。 193現 :む、俺が食べても? 194空木:いや、妾だ! 195里歌:喧嘩しないの。 じゃあ、半分に切ってきてあげんね。 待ってて。 <里歌、席を立つ。> 196現 :ふむ、優しい子だな。 197空木:うむ、気立ても良い。 198流歌:そうかあ? 昔から世話焼きというか何というか、ありがた迷惑なんだよなぁ。 199現 :迷惑か? 200空木:我ら……いや、妾はありがたいぞ? 201現 :俺もだ。 202流歌:そうかあ? ならいいんだけど。 203里歌:はい、おにぎり。 何がならいいの? 204流歌:なんでもない。 じゃ、メシ食ったし俺部屋に行くわ。 205空木:ほうへあひひふほは?(もう部屋に行くのか?) 206流歌:だから、物を口に入れて喋るな。 207空木:むう。 妾はもっとリカとも話したいぞ。 208流歌:じゃあここにいればいいだろ。 俺課題、……あー、勉強しないとなんだよ。 209里歌:<小声> 出た、ガリ勉。 210流歌:んじゃ、ごゆっくりー。 <流歌、退席する> 211現 :……ルカは、いつもあんな調子なのか。 212里歌:まあね。 昔はよく一緒に遊んだんだけど。 213空木:寂しいか? 214里歌:別にー、男なんてあんなモンでしょ。 あ、ねえねえ二人とも、私の持ってる雑誌ちょっと読んでみない? まだそんなに遅くないし、テレビでもいいけど。 215現 :勉強はしなくていいのか? 216里歌:いーのいーの。 ウツギも読むでしょ? 217空木:……うむ、気になるな。 お言葉に甘えよう、ウツツ。 218現 :ならばそうするか。 219里歌:じゃ、ちょっと待ってて! <里歌、退席する> 220現 :……どうなんだ? 221空木:寂しいそうだ。 222現 :まあ、あれは俺でもわかる。 223空木:ならばどうする? 224現 :ああ、算段通り。 225空木:おう、算段通り。 <里歌の部屋。一人ぶつくさと雑誌を漁っている。> 226里歌:……折角一緒にご飯食べたのに。 ずっとむすっとしてるんだもん、むかつく。 そんなに勉強が大事な訳? せめてもっと話す時間とってくれてもいいじゃん。 ……あー、考えるのやめやめ、今日は考えるのやめとこ! えーっと、ファッション誌でいいのかなあ……。 2016.11.12 完成 羽白深夜子 2016.12.3 更新 羽白深夜子 2020.1.9 修正 羽白深夜子 2021.1.16 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子
一話←
◆
→三話
サイトへ戻る
◆
文字サイズ変更:
A−
A
A+
行間変更:
詰
普
広
ナイトモード:
★