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【付喪神の件 十話】 (つくもがみのくだん じゅうわ) 男性2人:女性2人。 これまでのあらすじ:神隠しがヤベエ。 有償版販売ページはこちら。 【高野 里歌(たかの りか)】 16歳、高校一年生。流歌の双子の姉。 流歌より社交的だが学校の成績は悪い。ギャルっぽい見た目で厚化粧。 国を問わずお伽噺や古典文学が大好き。周囲には隠している。 流歌と同じ学校の文系のクラスで授業を受けており、将来の夢は翻訳家。 高校卒業後に留学をしたいと思っている。 ​ 【高野 流歌(たかの るか)】 16歳、高校一年生。里歌の双子の弟。 里歌より学校の成績が良いが内向的。休み時間も黙々と勉強している。 天体が好きで、将来は数学者を目指している。 里歌と同じ学校の理系のクラスで授業を受けており、将来の夢は数学者。 【空木(うつぎ)】 鏡の付喪神。女性型。 前の持ち主の所にいた際欠けた事で、人間の情を取り込み欠けた箇所を 補おうとした過去があり、人の心を読む事ができる。 現と空木は対の鏡として置かれていたものの、空木は人の情まで映してしまい 本来鏡に映らない筈の物が映り気味悪がられ、目利きの骨董品屋を転々としてきた。 【現(うつつ)】 鏡の付喪神。男性型。 空木の様な欠けはなく、人間の真似が上手い。とにかく器用。 空木が上記の通り人の情を映してしまう為、過去現の鏡だけを買いたがる客がいたが、 空木と離れる事を厭い空木を真似、こちらも本来鏡に映らない物を映してきた事で 結局空木と一緒に目利きの骨董品屋を転々としてきた。 【配役表】 高野里歌: 高野流歌: 空木  : 現   : ======================================= <九話回想。> 001空木:お前が言おうとしているそれは、人の理(ことわり)に反する。 だから、ダメだぞ。 002現 :当然だ、わかってるよ。      些細だから尊い、人はそういうもの。 わかってる。 003空木:──本当か? 004現 :うん、勿論。      ……っていうか。 心が読めるんだから、そんなカマかけしないでよ。 005空木:心と言葉、潜在意識と顕在意識は別物だ。 006現 :じゃあどう見えてる? 007空木:どっちも、神隠しなんてする気がない。 008現 :<笑う> ほら。 009空木:ないだろうから、からかってるんだ。 010現 :本気だったらどうするのさ。 011空木:お前の鏡を叩き割って、妾(わらわ)の鏡も割る。 012現 :<苦笑する> うわ、怖いよ。 <以下、楽しそうに。> 013空木:まあまあ、何かあったらと、当初の予定通りだ。 ここらでちょっと小突くか。 014現 :そうだね。 お灸を据える、じゃないけども。 015空木:なあに、悪い戯れと書いて悪戯だ。 016現 :そうそう。 ──行き過ぎた悪戯は、末席とは言え神の。      人ならざる者の特権だ。 <リビング、現が料理の支度をしている所に流歌がやって来る。空木、後を追う。> 017流歌:ウツツ! 018現 :何ー? どうしたの? 019空木:ルカ、ルカ! ちょっと落ち着け! 020流歌:今揚げ物してる!? 包丁使ってる!? 021現 :いや見ての通り、サラダ盛り付けてて、 022流歌:じゃあ丁度良い、面貸せ! <流歌、現の胸倉を掴む。> 023現 :何、ほんとにどうしたの!? 024空木:ルカ、落ち着けって! 025流歌:俺は! 俺とリカは、確かにまだガキで! どうしようもねえけど! だからってなあ!      ちょっと喧嘩したくらいで神隠しとか、チート使おうとするんじゃねえ! 026現 :へ。 027流歌:俺がしょうもない事言い出して喧嘩になったのは、わかってんだけど!      人間ってこうして言い合いして、関係修復してって、みんな自分でやってんの!      それを! 周りがアレコレ口出してくんのも俺は正直ちょっと嫌な訳!      でも、二人は俺らと同居してるから、気まずい思いさせてるのは!      それは! 俺達、ってか俺が悪いんだけど! 028現 :……うん。 029流歌:何、なんていうか! もっと信じて待つとか! してくれてもいいんじゃねえの!      てか待つってお前さっき言ってたじゃん! 030現 :うん。 031流歌:俺もリカも! ウツギとウツツの事置いて勝手に死んだりしねえし!      てか、こんだけの喧嘩で死ぬとか! 阿呆臭えし!      お前らが人間の事心配するのもなんとなくわかるけど!      俺はその、前に話した横暴にならないやり方とか! まだできねえけど! 032現 :そうだね。 それは、これからだね。 033流歌:と……とにかくな!?      リカは! 俺の兄妹だから! お前にはやらねーからな!?      折角一緒にメシ食うようになったのに! リカの事、わかってきたのに!      神隠しなんてしたらまた一緒にメシ、食えなくなるだろ!? <静まり返る。> 034里歌:……えーっと……。 035流歌:何でお前そこにいんだよ!? 036里歌:や、洗濯物取り込んでたら、喧嘩してる? の見えたから……。 037流歌:どッ……どっから聞いてたんだよ!? 038里歌:チート使おうとするな、の辺りから……。 039流歌:アアアアアアアアアアアア! <胸倉から手を離す> 040空木:っひぃ……! 妾もうダメ、あはははははは! 041流歌:何でこの状況でお前は大笑いしてんの!? 042現 :あー……うん。 ウツギ。 この辺りでいいよね。 043空木:うん、うん! ひひひひ、はー、もう、あははははは! 044現 :ほらリカ。 聞いてたろ?      リカだって、ルカと一緒に食事がしたくて、初めて会った日に。      俺達に一番の願い事だって、教えてくれたんだよね。 045里歌:う、……うん。 046現 :折角ルカがこう言ってくれてさ。      キミがこのまま意地を張ってたら、台無しになるんだけど? 047里歌:ご、……ごめんね、ルカ。 色々。 048流歌:……お、お前、その。 049里歌:何? 050流歌:……お前が、その、なんだ……ウツツといたいなら、止めねえけど。 051里歌:ウツツとも、いたいかな。 ウツギとも、ルカとも。 052流歌:そ、そうかよ……。 053里歌:うん。 だから、怒ってごめんね。 054流歌:……別に、映画とか、行くのはいいと思うから。 055里歌:うん? 056流歌:授業、わかんない所があれば教えるし。      ……俺にも、家事。 教えて。 057里歌:うん、わかった。 058流歌:ごめん。 059里歌:うん。 060現 :よし。 これで一件落着ね。 061流歌:なん、何、結局、何? そっちはどういう事? 062現 :あ、神隠しの事? 063里歌:頭冷やすようにって、してくれた話だよね? 064現 :うん。 提案はしたけど、しないよ、神隠しなんて。 065流歌:はあ!? 066空木:すまん、はっぱを掛けただけだ。 067流歌:……じゃ、じゃあ。 068現 :うん。 俺はマジで神隠しなんてするつもりがなくて、 069空木:妾が話を盛った。 070現 :俺はリカに変な話をした、だけ。 071空木:妾は勘違いをした、だけ。      んふふ。 お前達聡いからなぁ、いつカラクリに気付かれるかヒヤヒヤしたぞ? 072流歌:……お前は、ウツツの心も、読める。 073空木:ん、そういえばその辺りは話した事がなかったな。      当然、ウツツの心も読めるぞ。 付喪神も、その辺の犬猫も心がある。      奴らも読める。 心さえあれば、鏡に写れば。 例外はない。 074流歌:……な、んだよー! もー! 075里歌:えっと、よくわかってないんだけど……? 076空木:ああ。 話に齟齬がないよう、リカから話を聞かねばならなかった。 077里歌:私がウツギに話したのを、ルカに盛って伝えて、はっぱを掛けたって事? 078空木:そうさ。 我らは、人の子との約束の中で。      守る約束を、破棄する約束を、我らが選べる。 079里歌:言ってたね。 080現 :二人との一番最初の約束は、一緒に食事をして欲しい。      そうだったよね。 081里歌:うん。 082空木:我らは付喪神。 人の思い出と、人との約束で生きる末席の神よ。 083里歌:約束で生きる? 084空木:そう。 085現 :一緒に食事を取る。      喧嘩してる最中は、ウツギとルカ、リカと俺で食事を取って約束を果たしてたけど。 086空木:あの約束の場には四人いた。 四人、一緒に食事を取りたい。      あの頃の我らはそう解釈した。 087流歌:あ。 088現 :わかった? 二人が喧嘩したから、約束の細部を書き換えて、俺達は何とかしてたの。 089空木:だから、早く仲直りをして欲しくてな。 一芝居打った訳だ。 計画通り。 090現 :計画通り。 初日からうっすら考えてたプランだったけど、上手くいってよかったね。 091里歌:じゃあ、このまま私達が喧嘩してたら。 092空木:さあなあ。 どうなっていたやら。 093流歌:なあ、それって── 094現 :多分なんとかしてたけどね。      リカもルカも、将来の夢がある。 このままずっと四人で、とはいかないだろ? 095流歌:…… <里歌と顔を見合わせる> 096里歌:…… <流歌と顔を見合わせる> 097空木:喧嘩するのは構わないんだがなあ。 約束の書き換えを続けるのも、面白くなかった。 098現 :折角一緒に暮らしてるんだからね。 できれば、四人で笑っていたいよね。 099里歌:ご、ごめんね、なんか……振り回しちゃって。 100流歌:なあ、今から約束の書き換えってできねえの。      喧嘩して別々でメシが食いたい訳じゃないけど、お前らが不便じゃねえの。 101空木:いや? 別に。 102現 :人ってそういうモンでしょ。 103空木:生活の様式は様々変わる。 104現 :俺達は本来、それを映すだけ、だしね。 105流歌:……わかんねえけど、まあ、いいって言ってくれるなら、いい……のか。 106里歌:そ、だね。 でも、色々ありがとうね。 107空木:いいんだって。 悪い戯れ、と書いて悪戯だ。 108現 :行き過ぎた悪戯は、末席とは言え神の、人ならざる者の特権だよ。 109流歌:げ。 110現 :あんまり悪い子だと、また使うかもね? 111流歌:わかった、わかったって……。 112空木:人らしい、とは思ってるぞ? けれど我儘なままでいる事を許容はできん。      行き過ぎた我儘で他者を傷付けぬように、励めよ。 113里歌:はーい。 114流歌:はいはい……。 115空木:うむ、良いお返事だ。 116現 :よし! ほら、お腹空いたよね。 夕食にしよう。 117里歌:って言ってもまだできてなくない? 118空木:じゃあルカ、早速手伝うか。 119流歌:さっそ……ああもう、わかったよ……。 <★以下、流歌、里歌、二十歳。空港内国際線ロビーの一席。> 120里歌:──別にね。 私は、私の事をわかって欲しいとか、そんな事を言うつもりはなかったんだよ。      ……でも、そっか。 これはあくまで私の主観で。      私は、私の言葉を受け取る側になる事は、永遠にないから。      ワガママだったね、ごめんね。 だからね、だけどね、 121現 :ねえ。 案内、ロンドン行きがーって言ってない? 122里歌:言ってる、定刻だって。      ……あーもう、ルカ電話出ない! ママもやっぱり撮影抜けられないって言うし!      せめて! さよならだけは、ちゃんと言っておきたかったよ!? 123現 :さよならって、大袈裟な。 124里歌:二年も別の国で暮らす娘と姉だよ!? マジ信じらんない!      見送りくらい、来てくれてもいいと思わない!? 125現 :テンション高いなー……ああもう落ち着いて、ほら、深呼吸。 126里歌:落ち着けないよ、もうすぐ私もロンドンの住人なんだよ、緊張しちゃう! 127現 :はい吸ってー、吐いてー。 ……落ち着いた? 128里歌:……ん。 129現 :<笑う> はしゃいで、あっちの空港で迷わないようにね。 130里歌:迷わないよ。 先方さん、迎えに来てくれるって言ってたし。 131現 :国際結婚のご夫婦だっけ。 132里歌:うん、旦那さんが現地育ちの作家さん。 133現 :つくづく、良いステイ先を見つけたね。 134里歌:本当にね。 135現 :何度も言うようだけど。 リカ、良い人見つけたらすぐにメールしてよ。 136里歌:はいはいはい、過保護だな、私もう二十歳ですよ。 137現 :いくつになっても俺にとっては、ギャルメイクバリバリの十六歳のお嬢さんだよ。 138里歌:ウツツがこう、ちょーっとずつシンプルになるように仕向けたんじゃん! 139現 :そんな事ないよ。 ウツギもママさんも、今の方が良いって言ってる。 140里歌:なんだかなあ、まあ、いいけど……。 141現 :<笑う> ……リカ。 高校一年生の頃、キミとルカが喧嘩してさ。 142里歌:ん? あー、ウツツとウツギが悪戯したヤツ。 143現 :<笑う> 覚えていそうだね。 144里歌:覚えてるよ。 それが? 145現 :……。 146里歌:……ウツツ? 147現 :ごめんね。 あの頃のウツギ、二人に黙っててくれたんだ。 148里歌:うん? 149現 :ちょっとだけ。 本当にちょっとだけ、本気だった。      リカが、ずっと俺と一緒にいてくれたら嬉しいなって、思ってた。 150里歌:──。 151現 :だからね、これ。 さっき買って来たんだ。 開けていいよ。 152里歌:<袋から手鏡を取り出す> 鏡? 153現 :手鏡。 海を渡っても、文化が違っても、付喪神がいなくても。      無事を祈って贈るくらいは、いいよね? 154里歌:……コレさっき、トイレーって言った時買ってきた? 155現 :あ、バレた? 156里歌:長いからあれー? って思ってたよ。 あはは、ありがと。 157現 :いいえ。 158里歌:ね。 この子も、付喪神がいるの? 159現 :リカが長く大事にしてくれたら、生まれるかもね。 160里歌:じゃあまだいないんだ。 渡英(とえい)中……は、無理か。 161現 :それは無理だね。 162里歌:この子、英語ペラペラになるかもしれないよ? 163現 :じゃあ、そうなるように大事にして下さい。 164里歌:はー……あ、ねえ。 それで思い出した。 165現 :何。 時間大丈夫? 166里歌:まだ平気。 そう、これ、これウツツに伝えてね、イギリスに行こうと思ってたの。 167現 :え? なんだろう。 168里歌:大事にしてたら、付喪神がつくんでしょ。 169現 :そうだよ。 170里歌:ほら、その、前の持ち主の話、聞かせてくれた事あったじゃない。 171現 :えっビックリした、いきなりだね!? 172里歌:なんとなく整理つかなくて。 その、ほら。      自死しちゃったお兄さんを、見送ったって話。      私、上手く言えなくて、あの時は黙っちゃったけど。 173現 :うん。 174里歌:多分、そこに鏡が有っても、無くても。      お兄さんが自死を選ぶって行動は、変わらなかったと思うんだよ。 175現 :……。 176里歌:わからないよ、本当の事なんて、勿論わからない。 私酷い事言ってるのかもしれない。      もしかしたら、お兄さんは家を出てから誰かと話したのかもしれない。      最期を見送ったのが、ウツツじゃなかったかもしれない。      お兄さんと言葉を交わせた、誰かだったのかもしれないよ。 177現 :うん。 178里歌:その誰かがいたとして、お兄さんが亡くなった事って、さ。 もう、変わらないじゃん。 179現 :うん。 180里歌:人って、自分の為に生きてる事しか、できないんだと思う。      でもさ、その人達や、その前の持ち主が、ウツツとウツギを大事にしてくれたから二人がいるんでしょ? 181現 :うん、そうだね。 182里歌:だからね、私はその人達に、すーっごい感謝してるの。 183現 :そっか。 俺もだよ。 184里歌:それで、ええっと……。 ウツツも私や、その人達と同じ事しなよ。 185現 :……うん? 186里歌:折角、こうして出歩けるんだから。 今の持ち主はほら、勝手に留学しちゃうし。 187現 :う、うん。 188里歌:あ。 さっきの、その、私がずっと一緒にいたら嬉しいって話を、その。      なあなあで受け取ってるとか、振りたいとかじゃないからね!? 189現 :そうなの? 190里歌:そうだよ! その、彼氏ってか、お兄ちゃんみたいな感じだから、      いつもの過保護の延長線上だと思ってるのは、あるけど! 191現 :うん、うん。 過保護の延長線。 なんたって初めて話せた人間だからね。 192里歌:……そういえば、あの時。 デートがしたいって言ってたのもまだ、叶えられてないね。 193現 :え? 叶ったよ、ずーっと叶ってた。 194里歌:嘘、どこも出掛けてなくない? 195現 :食材の買い出しとか、ショッピングモールとか。      俺にとっては全部が特別で、幸せだった。 196里歌:……花畑も帰ったら、行こうね。 197現 :それは彼氏と行ってきなさい。 198里歌:えー! 199現 :<笑う> そうだなぁ、……うん、あんまり考えた事なかったけど。      生き方を選べるのが人間だからね。 お言葉に甘えようかな。      俺も何か、リカみたいに生きる事を探してみるよ。 200里歌:うん、そうしよ。 帰ったら多趣味になってんの、期待してるね。 201現 :わかった。 そっちも、彼氏の品評は必ず俺にお伺いを立てるように。 202里歌:もち。 めっちゃ頼る気でいるから。 <現、里歌、笑い合う。流歌と空木がロビーに走り込んでくる。> 203流歌:リカ! 204里歌:……ルカ、ルカだ! ウツギも来てくれたの! 205空木:ああーもう、走ったぁ……やだ、もう、わら……私、一生走らない。 206流歌:あっぶねー、悪い、国外線って見送り早くしないといけないの忘れてて。 207里歌:もー! 208空木:ルカが家を出る間際になって研究発表の資料がどーたら言い出すから! 209流歌:乗り換え間違えたのはお前だろ!? 210現 :はいはいはい、わかったから! 二人は何をしに来たの! 211流歌:っと。 <里歌に紙袋を手渡す>      リカ、これやるよ。 向こうで使え。 212里歌:え、何? 213流歌:タンブラー。 リカコーヒー好きだから、ちょうどいいだろ。 214空木:私からも。 先方の夫人が日本人なんだったな。      日本茶のセットと粉末出汁のセット。 切れたら言えよ、また送る。 215里歌:えー、ありがとう二人とも! 216流歌:どーいたしまして。 217空木:しかし、出立が父君の便というのが、また。 218流歌:いーじゃん、一番安心だよ。      時間大丈夫かよ、機長の娘がヒューマンエラー起こすなよ。 219里歌:はいはい。 ありがとね、わざわざ。      ルカは明日研究発表って言ってなかったっけ。 220流歌:おー明日だ、今日徹夜確定。 221里歌:エナドリに頼り過ぎないように。 222流歌:はいはい。 223空木:その辺は大丈夫だ、妾が見張る。 224現 :わたし。 225空木:あ。 私が見張る。 226流歌:って言いながらウツギも滅茶苦茶飲むだろ。 227現 :わかった、俺が見張るよ。 228里歌:それが一番安心かな。 229空木:っちぇ。 230里歌:<笑う> ……よし。 そろそろ行こうかな。 231流歌:ああ。 232里歌:帰ったら計画通りで。 233流歌:おう。 ウツツは、俺が大学で会った尊敬してる先輩で、 234里歌:ウツギが、イギリスで出会った私の親友。 235流歌:で、父さんと母さんに紹介して、 236里歌:物件押さえてから、ルームシェアの約束してるからって、家を出る。 237現 :パパさんママさん騙してるみたいで、やっぱちょっと気が進まないよ。 238空木:だからといって付喪神と同居、なんて話した方が心配させるぞ。 239現 :うーん……、まあ、それもそうか。 240空木:物件は私が探しとくからな。 241現 :家具は俺ね、はいはい。 242里歌:約束だよ。 243流歌:勿論。 お前らもな。 244現 :ああ。 約束。 245空木:これからも、世話になるな。 246里歌:私が帰るまでにちゃんと就職の目途、つけておいてよ? 247流歌:そっちこそ、泣いて帰って来るんじゃねえぞ。 248空木:楽しみだな? 249現 :うん、楽しみだね。 250里歌:じゃ、そういう事で! 251流歌:おー。 元気でな! 252空木:……別れは、まだまだ先になりそうだな。 253現 :こうなったら結婚も出産も、意地でも見送らないとね。 254空木:その為の悪戯だろ? 255現 :そうだね。 256流歌:なーに二人でこそこそしてんだよ。 あ、もしかして。 また神様の特権か? 257現 :そ。 新しい悪戯の相談。 258空木:今度は四人でな。 259流歌:んならいいや。 っと、二人に折り入って頼みなんだけど。 260空木:何だよ、滅茶苦茶嫌な予感がするぞ。 261流歌:実は今日、急に飲み会入っちゃってさー……。 262現 :あれ、研究発表、……あぁね。 263流歌:そう! ちょっとマジで、資料まとまってないから手伝い頼むわー……!      二人とも手が早いから助かるんだよ、頼む、お願い! 264空木:全く、飲み会飲み会と、高校の頃の優等生ぶりはどこへいったんだか。 265現 :すっかり社交的になっちゃって。 たまには俺のメシも食ってよ。 266流歌:ウツツのメシが一番美味いって! それに今だって一応は成績優秀者で通ってんだぞ。 267空木:優秀なモンか! 世の大学生は皆、お前と同じ量を一人でやってるんだぞ。 268現 :いい、いい。 使えるモノは使わないとね。      俺は食事作りに回らせてもらうけどねー。 269空木:あ、ずるいぞ! お前もあの小難しい資料の山をどうにかしろ! 270流歌:その日はいつも通り、本当にいつも通りのつまらない日だったんだ。 271里歌:付喪神と、これからについて約束をしたのは。 2016.12.29 完成 羽白深夜子 2021.1.17 修正 羽白深夜子 2022.2.13 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子
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