
◆兼役有配役表
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<夜行班オフィス。>
001杏実花:タチ出勤しました! おっはよーございまーす!
002真紘 :あ、アミ。 おはようございます。
003杏実花:あ!? ヒロくん帰ってきてる! おかー!
004真紘 :あはは、ただいまでーす。 タマキさんも戻ってますよ。
005環 :お? アミお久ー! 相変わらず良いおっぱいしてんな!
006杏実花:帰国早々セクハラしないで!
でも無事に帰って来てくれてよかった。 今回はどこでしたっけ?
007環 :中東だよ。 いいよね中東って、男も女もミステリアスで。 美味しかったよ!
008杏実花:食べる物の話なんだよね!?
009芙由 :えぇ何、出向組戻って来てんじゃん! おかえりー!
010環 :ただいま。 はあ、我が家に帰ってきた感良い、女児のいる職場最高……。
外事みてぇなむさ苦しい部署とはやっぱ空気から違うんだよなぁ。
女がいると性欲が、 <咳払い> あぁーとにかく癒されるわぁー。
011芙由 :セクハラキッッッツ。
012真紘 :おーい、俺もいるんですけどー。
013環 :いいのアンタは。 黙ってれば綺麗な顔してるし、黙ってれば。
014真紘 :わーいやった、綺麗って言われたー。 うれしー。
015環 :ちったぁ心込めて喜べよ、可愛げねぇなあ。
016芙由 :……改めて思ったけど、夜行ってメンツ濃くね?
017杏実花:大分濃いよ。 ツッコミとか諦めた方がいいよ。
018修治 :あれ、ヒロとタマキさんだ!
019静夏 :お疲れっすー。 こっち戻ったんですか?
020環 :来た来た来た可愛いショタ共! 戻ったよぉ、お姉さんがいない間も良い子にしてたカナ?
021修治 :ショタじゃねえけど元気にしてました!
タマキさんも元気そうっすね! お土産下さい!
022静夏 :俺、シュウのそういう所すげーなって思うわ。
023修治 :ん?
024環 :ちゃんと買って来てるよ、茶飲む時にでも出してやる。
シズカー、お返事が聞こえないぞー。
025静夏 :元気にしてますって。 二人共、あちらさんは落ち着いたんすか?
026真紘 :はい、小学校の交通安全週間、終わったんで。 しばらくこっちにいますよ。
027環 :私の方も、古巣は古巣で何とかすんだろ。
028静夏 :あれ、総務が小学校の交通安全週間に? 交通課とか生活安全課の仕事じゃねえんすか?
029真紘 :今年は交通課が張り切ってて。 スタントとか呼んで、すごかったんですよ。
いつも以上に人手が必要だったんで、備品の管理諸々で同行してました。
030静夏 :へー、大変っすねえ。
031真紘 :慣れたら楽しいですよ、俺子供って好きですし。 あそうだ、フユー。
032芙由 :はいはいはい、フユちゃんでーす。
033真紘 :前に話してた新しい無線機、総務宛てに届いてますよ。
034芙由 :え、やったぁ! 今取りに行っちゃっても平気?
035真紘 :勿論。 課長に俺から聞いたと伝えて下さい。
036芙由 :はーい! やったやったぁー!
<芙由、ウキウキでオフィスを出て行く。>
037杏実花:無線機?
038真紘 :俺達の無線より、もっと音が小さくできる物が欲しいって言われてたんです。
039杏実花:あぁね。
040環 :コトもそうだけど、目ぇだの耳だの良すぎると不便もあるんだな。
コトの眼鏡ってアレ視力下げてんだろ? 折角可愛い顔してんのになー。
041静夏 :下げても二点ゼロでしたっけ? うらやましー。
まあ、目が良すぎると疲れやすいとか聞いた事ありますけど。
俺目悪すぎて、近場の眼鏡屋にコンタクトの在庫が無くて取り寄せてるんですよね。
042杏実花:ネットで注文すればよくね?
043静夏 :目に入れる物をネットで注文するって、ちょっと怖くないっすか。
044杏実花:え全然! そんなん気にしなくて大丈夫だって!
045真紘 :今は色々ちゃんとしてるし、何よりすぐ届きますよ。
046修治 :アミとヒロもコンタクト?
047杏実花:ウチらはカラコン! ヒロが良いショップ紹介してくれたんだよねー!
048真紘 :ねー。
049修治 :へー。 俺視力良いから、コンタクトって入れた事ないんだよな。
目に入れるの怖くないんすか?
050杏実花:全然!
051環 :目も良いのか、どこまでも健康というか健全というか……シュウジお前、病院って知ってる?
052修治 :なんすか、病院くらい行った事ありますよ。
053静夏 :怪我なら行くだろうけど、病気の方は?
054修治 :あー。 最後に行ったのが小学生の頃、かな?
055杏実花:マジ!? え、そこまでいくとすごくね!?
056真紘 :超健康優良児だ。
057修治 :あ、虫歯もできた事ねえっす! 健康診断もなーんも引っかかった事ない!
酒は適度だし煙草もやらないし! 女の子はいつでも募集中なんすけどね!
058環 :<笑う> おーおー、健全で羨ましいこって。
<署内廊下。ルンルンで歩く芙由。すれ違う佑志。>
059佑志 :……あれ?
060芙由 :おはようございまーす!
061佑志 :アサジじゃん。
062芙由 :んえ?
063佑志 :覚えてない? 同期のシブヤユウジだけど。
064芙由 :あ。 ……あぁ、お久しぶりです、
065佑志 :何なに、久し振りじゃん。 元気にしてんの? <芙由の腕を掴む>
066芙由 :ちょっと、や
067佑志 :まあまあまあ、久々に話そうよ。
068芙由 :まっ、やめっ……!
<佑志、芙由を連れて男子更衣室へ入る。>
069佑志 :アサジちゃーん。 生活安全課から公安の隅っこに配置換えになったんだって?
070芙由 :え、いや、
071佑志 :えじゃねえよ。 手前口ついてんだろ、はいかいいえぐらいすぐ言えよ。
<以下、執拗にロッカーを殴って大きな音を出す>
072芙由 :いっ!
073佑志 :おーい。 お前警察学校時代から何も変わってねーじゃん。
まだ耳がーとか何とか言ってる? そんなんで公安勤まるの?
074芙由 :ちが、
075佑志 :はあ? 何? 聞こえねーんだけど?
さっき挨拶した時は声出てた癖に、何?
076芙由 :や、やめ……
077佑志 :おかしいと思ったんだよ。 お前みたいな鈍間が公安に引き抜かれたって聞いてさあ。
あの頃からどんだけ変わったのかと思ったら、何も変わってねえし。
あ、わかった。 <小声> おじいちゃんのコネか?
078芙由 :……っ、
079佑志 :違ったか? あぁでもうちの親父がなんか言ってたなー。
のらりくらり過ごしてる狸ジジイだとか、なんとか。
080芙由 :……祖父は、関係ないでしょ……。
081佑志 :関係ない訳ねえだろ。 じゃなきゃお前みたいな──
<修治が更衣室内を覗く。>
082修治 :誰かいんの? ガンガンうっせーって。
083佑志 :あ? <芙由から離れる>
084修治 :あれフユじゃん。 ここ男子更衣室、……
085佑志 :お前何? どこの所属? アサジの知り合い?
086修治 :……俺公安で、フユの同僚っす。 アンタは?
087佑志 :あー俺、機動隊所属でアサジと警察学校の同期、シブヤ。
よろしく。 <修治に手を差し出す>
088修治 :ああ、じゃ多分俺ともタメ! イヌカイっす、よろしく! <佑志の手を握る>
<佑志、修治の手を思いっきり握るも、平然としている修治にたじろぐ。>
089修治 :機動隊ってアレだろ? あのでっけえ盾持ったかっけー部隊!
もしかして同期でなんか話してるトコだった?
でもこんな場所だと誤解されるかもしれねーし、外で話した方がいいぞ!
090佑志 :……だなー。 わりぃアサジ、また同期で飯とか行こうな?
091芙由 :あ、えっと……。
092佑志 :あれ? お前同期飲み来た事なかったっけ。
093芙由 :……ない、かな……。
094佑志 :だから声小せえって。 <ロッカーを殴る>
095修治 :おいおいおい、んなカッカすんなって。 フユ怖がってんじゃん。
096佑志 :って誤解されちまうだろって言ってんのに、コイツ聞かねえからさぁ。
097修治 :そんな恫喝されたら誰だって怖いだろ。 てかフユ、なんでここにいんの?
098芙由 :……。
<ノック音。>
099真紘 :すいませぇん。 <ドアを開ける>
ロッカーは総務の備品なんで、乱暴に使うの止めてもらえます? 苦情きてますよー。
100佑志 :はーいすんませーん。 じゃあな。
101真紘 :……、第八機動隊、ですか?
102佑志 :<驚いて真紘を振り返る>
103真紘 :<笑いながら> ニカイドウ隊長の部隊ですよね?
あの方、正義感が強くてお厳しいから。 訓練も大変じゃないですか?
104佑志 :まあ……、失礼します。 <真紘に一礼して立ち去る>
105修治 :……フユ。 大丈夫か。
106芙由 :だ、大丈夫。
107修治 :自分から入ったんじゃねーんだよな?
108芙由 :うん。
109修治 :わりぃ、俺どういう状況かわかってなくて。
110真紘 :連れ込まれたんですね?
111芙由 :…… <ややあって頷く>
112真紘 :具合は悪くないですか、顔色が。
113芙由 :ご、ごめん。 デカい音聞いたから、耳が……。
114真紘 :レイと機動隊には俺から話します。 相談窓口があるから、フユはそっちに
115芙由 :ちょっと休めば大丈夫だから。 レイと機動隊の人にも、言わなくて大丈夫!
116修治 :大丈夫な訳ないだろ、
117芙由 :ごめん、誰かに見られるかもしれないし、先に出るね!
ほんとに誰にも言わなくて大丈夫だから!
<芙由、男子更衣室を駆け足で出て行く。>
118修治 :……なんか、警察学校時代の同期だって。
119真紘 :あー……そっか、八十六期生かぁ。
120修治 :八十六? それがフユ達の事?
121真紘 :そうです。 シュウ、ちょっと外で話しましょうか。
午前のパトロール、俺と組みましょう。
<夜行班オフィス。>
122静夏 :んえ。 登ったり下りたりは別に怖い事ねえっすよ。
123杏実花:嘘だぁ、屋根の上とか怖くないの!?
124静夏 :いや別に。 フロー、あ、技と技を繋げんのをパルじゃフローって呼ぶんすけど。
競技中にそれが途切れた時がいっちばん怖い。 マジで。
125環 :そりゃそーだ。 ふーん、着地すんのも怖くないの?
126静夏 :あんまり。 その辺は慣れじゃないすか、俺も跳び箱から始めたし。
逆に聞きますけど、アミさんの空手とかタマキさんの合気道とか、
見てる方はヒヤヒヤしますよ。 犯人と取っ組み合うの怖くねえんすか。
127環 :怖いから今も稽古してんだろ、怖いだなんだ言ってたら何もできねえからな。
128杏実花:アミは別にーって感じ。 だってさ、身一つで立ち向かえないから武器携帯してるんじゃん?
持ってたらよっしゃっ! アレ落とせば丸腰! って思っちゃうけどねー。
129静夏 :あー……。
130環 :<溜息> 普段からちゃんと稽古してっから何も言わねーけどさあ、無敵の人じゃん。
アミを見てて怖いってのはわかるわ。
131杏実花:無敵じゃないよ! うちのおにぃの受け売りだもん! 確かにな? って思って!
なんかーそれ聞いてからは別に怖くなくなっちゃったー。
132静夏 :すげー、警察一家すげー。
133環 :パパとお兄様二人は名物マル暴、ママは麻取り、末っ子のコレは空手の名手って、
も、環境が違いすぎて。 警察一家じゃなくて超人一家だよ。
134杏実花:全然全然! オフは普通の仲良い家族だよ! 来月みんなでユニバ行くんだ!
135環 :家に武道場があって毎日マル暴の親父さんに鍛えられてる家はな、普通って言わねえんだよ。
136杏実花:でもそれも三歳になってからだったし!
137環 :普通じゃねーんだよ! 英才教育っつーんだよ!
138静夏 :……フユちー? 寝てるー?
139芙由 :んおええあっ!?
140静夏 :どういう驚き方なの。
141杏実花:フユなんか今日元気なくない? だいじょぶそ?
142芙由 :へ、あーボーっとしてたや。 へへ、へへー……やっべ何も進んでねえ!
143環 :何疲れてんの? しっかりしな。
144芙由 :はぁーい、ごめんなさーい。
<パトカー車内、パトロール中の二人。>
145真紘 :フユに突っかかってた彼。 名前聞いてますか?
146修治 :機動隊のシブヤって。 なんか、すげーナメた態度取られましたけど。
147真紘 :やっぱり。 彼、刑事局局長の息子さんなんですよね。
148修治 :あぁ、わっかりやす……。
149真紘 :俺、フユや彼と同じ警察学校の出身なんです。
彼やフユの世代、八十六期生の警察学校長賞の受賞者が、フユで。
150修治 :何すかそれ? 成績優秀者みたいな?
151真紘 :そうです。 成績トップのシブヤくんが、卒業式で代表挨拶をしたんですけどね。
152修治 :それはその、ナントカ賞とはまた別って事です?
153真紘 :成績トップが代表挨拶で、次点が表彰だと思ってもらえたら。
それに……、フユってほら、ちょっと消極的じゃないですか。
154修治 :あーまあ……なんかネガティブな事言ってるタイミングは、ちらちらある、かな?
155真紘 :元々の性分なんでしょうね。 警察学校に入学当時から希望は一貫して生活安全課。
勿論それは悪い事じゃないし、適性があるって見込まれて配属になってます。
156修治 :でも成績トップクラスが配属されるって聞くと、なんかな。
そういう奴って刑事とか、こー……ややこしい捜査の方に行くんじゃないんすか?
157真紘 :はい。 それに成績が優秀だと、科学捜査の専門研修とか、海外留学に誘われたりするんです。
それを全部断って、生活安全課一直線。
158修治 :そーいうのが気に入らなくてあちらさんが一方的にフユに絡んでる、って事っすね?
なんだよそれ、勝手だな。 機動隊だって偉そうにしてたし、絡む事ないだろ。
てかヒロよくそんなん知ってますね?
159真紘 :……当時、すごい噂になってたんですよ。
成績と聴力が良くて、どんな音でも聞き取れる新人が生活安全課に配属になるのと。
その新人は刑事局局長の息子にいじめられてた、って。
160修治 :そういうのは、……何とかならないから、噂になってるんですよね。
161真紘 :<苦笑する> そうですね。 そもそも警察学校って、ある種の厳しさはあって当然なので。
162修治 :フユ本人がどうにかしてえって思わなかったら。
163真紘 :どうにもなりません。 何もできません。
164修治 :って、俺に言い聞かせてるんですよね。
165真紘 :はい。
166修治 :<溜息> わかってますよ。 気に入らねえけど、流石にいい歳した大人なんで。
167真紘 :ならよかった。 あはは、フユってほら、よく同期の方と連絡取り合ってるじゃないですか。
168修治 :ん。 別の課の同期からーってよく聞きますね。
なんか捜査の色々とかも聞いてるみたいですけど、アレ大丈夫なんすか?
169真紘 :<苦笑しながら> まあまあ。 公安に移ったって聞いた同期達の、厚意の情報提供ですから。
あの通り人望はあるんですよ、すごく。
170修治 :悪い事ばっかりじゃねえと。 わかってますよーだ、勿論。
……警察学校で成績優秀だった、なんて。 俺だったらめっちゃ自慢するんだけどなー。
171真紘 :<笑う>
<夜行班オフィス。>
172静夏 :……ふーゆち。
173芙由 :んおっ!?
174静夏 :驚きすぎ! またボーっとしてる。
175芙由 :あ……ご、ごめんごめん!
176静夏 :なんか今日変じゃね? 調子悪いなら、要点纏めてくれたら俺変わるけど?
177芙由 :いや全然! ちょっと考え事してただけだから!
178静夏 :そお? 何考え事してんの。
179芙由 :……。
180静夏 :ちぇ、言いたくないなら別にいいけど。
181芙由 :……ごめん。
182静夏 :いーですよーだ。 その代わり、これを食え。
183芙由 :え、何。 くれんの?
184静夏 :いいよ、俺の秘蔵のクッキーだから。 それ食ったら仕事して。
185芙由 :……もー、なにぃ。 ありがとねえ。
はあ、弟分がしごでき気遣い人間になっちまった。 <クッキーの封を切る>
186静夏 :ま、俺も食うんだけどね!
187芙由 :あ!
188静夏 :一個だけ一個だけ! ね!
189芙由 :<笑う> 元々はシズのなんだから、食べていーよ。
190静夏 :やった。
191芙由 :……ちょっとね、昔の嫌な事、色々思い出してただけだよ。
192静夏 :昔?
193芙由 :言わないけどね。 なんか、シズの前で愚痴言いたくないし。
194静夏 :えー。 なんでさ。
195芙由 :私より過酷な人生送ってる人に、不幸自慢するとか嫌じゃん。
196静夏 :過酷? そう? 誰かの愚痴を不幸自慢とか、俺思った事ないよ。
197芙由 :……事故、自分だけ生き残って、それから施設暮らし、って。 大分壮絶だと思うけど。
198静夏 :あーね。 でも俺、その人生しか知らねえし。
ていうか施設育ちだからこそ、跳び箱とか鉄棒とか一日中やっててさ。
一般家庭でそんなんできねえじゃん? アレがパルの基礎になってんだろーなーって思うし。
別に俺の人生とフユちの嫌な事と、どっちがーとか測る必要ないだろ。
199芙由 :……そう?
200静夏 :そ。 今楽しく仕事してるからいいの。
人の事より自分の事。 また話す気になったら聞くから、今はソレ食って仕事してー。
201芙由 :どっか行く?
202静夏 :昼飯。 フユちの分も買って来る?
203芙由 :あー大丈夫。 私午後は特詐の調査行く予定だからさ、その直前に食べるつもり。
204静夏 :オッケー。
205芙由 :……はーあー。 <伸びをする>
あ? ……警備課からメール? めっずらしー……。
誰もいない、なら、私がお持ちしますかーっと。 <立ち上がる>
よっぽど手ぇあいてないんだなあ。
<署内、倉庫中。>
206芙由 :緊急対応用倉庫、って……ここか。 失礼しまーす。
お持ちしましたけ、どー……すみませーん。 担当者の方いらっしゃいますかー?
あれ? すみませーん。
207佑志 :ここはな、必要な時だけ担当者が呼び出されるんだよ。
<佑志、倉庫のドアを閉め施錠する。>
208芙由 :えっ?
209佑志 :だから、誰も常駐してねえんだわ。 悪いなー雑用頼んじまって。
これも同期のよしみ、って事で。
210芙由 :……え、えっ?
211佑志 :お前が運んでくれたの、災害支援物資なんだよね。
ついでに数数えておいて。 滅多に人が来ねえ倉庫だしさ。
あ。 数えたくても、暗くて見えねえか!
212芙由 :ちょ、ちょっと……! 嘘でしょ、やだ……開けて! 開けてってば!
213佑志 :おじいちゃんにでも頼んで開けてもらえよ。
214芙由 :シブヤ……! ふざけんじゃないわよ! 子供みたいな真似して!
仕事残ってんのよ、ここ開けなさいよ!
215佑志 :どーせ大した仕事じゃねえんだろ? そこでゆっくり休んどけって。
俺、今から訓練だから。 じゃあなー。
216芙由 :ちょっと! ちょ……っ、開けてってば!
<夜行班オフィス。>
217杏実花:フユー? あれ、どこ行っちゃったんだろ?
218環 :ん、どうした?
219真紘 :何かあったんですか?
220杏実花:や、フユがいなくてー。 二時から一緒に外出ようって言ってたんだけど……。
珍しくない? あの子いつも、出る時間の十分前には準備終わってるのに。
221環 :……確かに。 午後になってから見てねえな。 <無線> ──フユ、今どこ?
<間。>
222杏実花:……え、いない?
223環 :無線取っ変えるっつってたな。 <無線> ──フユ?
224礼良 :<無線> ──お疲れ。 何、フユがどうした?
225杏実花:<無線> ──あ、レイお疲れー。
私と調査に出よって話してたんだけど、部屋にいなくて。
226礼良 :<無線> ──俺が頼んだ特詐?
227杏実花:<無線> ──そー。
228修治 :フユいねえの?
229環 :らしい。 見てない?
230修治 :見てねえっす。 ケータイは?
231杏実花:ソコ置いてある。
232静夏 :<無線> ──俺が昼飯買って戻る時、倉庫の方に荷物運んでんの見ましたよ。
233礼良 :<無線> ──それ何時頃よ。
234静夏 :<無線> ──十二時前っすね。
その前に二人で話してて、午後は特詐の捜査に行くって本人も言ってました。
235礼良 :<無線> ──その後誰か見掛けた? ……おっけ。 シズ、アミと特詐回れ。
236静夏 :<無線> ──了解っす。
237礼良 :<無線> ──フユの耳がねえから、気を付けろよ。 俺会議始まるわ。
238静夏 :<無線> ──いってらっしゃーい。
239環 :サボるようなタマじゃねえしなぁ。 どうしたんだろ。
240杏実花:ね。 でも今日ちょっと元気なくなかった?
241真紘 :シュウ。 何かあったのかもしれません。
242修治 :……え、今朝の? マジ?
243真紘 :わかんないです、でも。
244杏実花:何なに? 何かあった?
245環 :心当たりあんのか。 アミ、調査行ってきな。 フユは私らで探しとく。
246杏実花:わ、かった? いってきまー!
247環 :いってらっしゃい。 どこだ?
248真紘 :第八機動隊です。
249環 :機動隊の八ィ? 同期の部隊だわ。
何、どういう事。 私話聞いて来るからどっちか説明して。
250真紘 :俺も行きますよ。 向かいながら説明します。
251修治 :俺先に倉庫の方探してます! 何かあったら無線で!
<署内、駐車場。>
252静夏 :アミさん、フユちいました?
253杏実花:いないの! ねーどうしよシズちゃん、フユなんか今日おかしかったよね?
タマキさん達が探してくれてるんだけど、何かあったのかなぁ。
254静夏 :……いや。 探してくれる人がいるなら俺ら調査行きましょ。 なんかあったら無線入るだろうし。
それよりフユち探してて調査しない方が、本人ヘコみそうだし。
255杏実花:……うん、そうだよね。 調査しなかったらうちらが怒られちゃうか! フユの分も頑張ろ!
<署内、武道場。>
256環 :おいニカイドウ! 手前部下のお守りどーなってんだよ……あ?
257真紘 :あ、訓練中失礼しまーす。
258機動隊:……に、ニカイドウ隊長は、本日出張で私が訓練を預かっておりますが……何か?
259環 :あぁそう、手前でいいや。 警備局外事課……いやぁ。
<小声> 夜行班、って手前、意味わかるか。
260機動隊:── <態度を改める> 存じております!
261真紘 :<無線の応答> わかりました、持って行きます。
<小声> タマキさん、見つけたけど鍵が掛かってるって。 閉じ込められてるみたいです。
262環 :了解。 手前、ここの隊員か。 名前は。 <機動隊員の胸倉を掴む>
263機動隊:<戸惑いながら> はっ! 第一小隊隊長、マナカと申します!
264環 :<大声で怒鳴りつける> お前んトコのガキがよお、うちの班員とっ捕まえて監禁して!
特詐の捜査妨害してんだけどよぉ! いつから機動隊はそこまで偉くなったんだ? あ!?
265真紘 :シブヤユウジって方と、お話したいんですよ。 いらっしゃいますよね?
266機動隊:え、ええ? シブヤ隊員! シブヤ!
267佑志 :はい、……? と、特詐?
268真紘 :やっぱり今朝の方だ。 こんにちはー、鍵お持ちですか?
269佑志 :か、ぎなんて知らな、
270環 :ヒロ。 そのガキがフユ閉じ込めたんだな?
271真紘 :んー、違うかもしれないです。 今朝フユとひと悶着あった人なんですけどねー。
知らないって言いそうだったし。
272佑志 :じ、自分はアサジさんとは同期で! 先程倉庫で見掛──
273真紘 :でもこの人、今俺が鍵としか言ってないのに、倉庫に用があるって何故か、ご存知みたいでー。
274佑志 :え。
275環 :へーえ? マナカ小隊長、お前も聞いたな?
機動隊本部とニカイドウに連絡しろ、ニカイドウには同期のセナからだっつってよ。 今すぐ!
276機動隊:はい!
277真紘 :皆さんすみませんね、訓練の邪魔しちゃって。 危ないからちょっと離れて下さいねー。
278佑志 :いやっ、か、鍵! 倉庫の! 持ってます! 俺が持ってます!
俺がアサジにメールして、
279環 :おにーちゃんよぉ、可愛い顔してんな。 小隊長殿が抜けてる間、私が躾けてやっから。
合気道ってこんな事に使うようなモンじゃねえんだけど、なあ!
<倉庫前。>
280修治 :フユ! いるか、フユー!
281芙由 :……こ、ここ! 中にいる!
282修治 :おあああ、いた、よかった……!
<無線> ──フユ見付けました! 倉庫に閉じ込められてるみたいで、鍵掛かってます!
283芙由 :ここ! ぜんっぜん! 誰も! 通らなくて!
284修治 :今鍵持って来てくれるって! ちょっと待ってろ、お前怪我してないか!
285芙由 :してな、……そうだ、私無線新しくしたんだった……だから繋がらなかったんだ。
はあ、もう……。 <しゃがみ込む>
286修治 :お、おい! 大丈夫か!
287芙由 :大丈夫! 声でっけえな!
288修治 :お前倒れてねえよな!?
289芙由 :倒れてねえよ! バリバリ返事してんだろ!
290修治 :お、おお…… <しゃがみ込む> なんか声が下の方から聞こえたからさ。
もうちょっと待ってろな。 てかなんでこんな所にいるんだよ。
291芙由 :……警備課からメールがきて、その、ここに荷物持って行って欲しい、って……。
292修治 :警備課ぁ? なんで公安の俺らにそんなん頼むんだよ、しかもメールで。
293芙由 :わ、私個人宛てのメールだったし、後から考えれば嘘だってわかったんだけど!
私に声が掛かるくらい、困ってるんだと思って!
294修治 :あのなあお前、公安にそんな頼み事……まあ、そっか。
誰か困ってるかもって思えば、ほっとけねーか。
295芙由 :でも私今日、アミと特詐の調査行く筈だったのに……。
296修治 :お前がいないってわかって、アミとシズで行った。 そっちは平気だから。
297芙由 :でも
298修治 :でもじゃあねえの! お前、朝の野郎にハメられてここにいるんだろ!
299芙由 :う、そう、です。
300修治 :じゃあお前何も悪くねえし、お前が調査サボるような奴じゃねえってみんなわかってるから。
301芙由 :……。
302修治 :……まあー、こないだのスタンガンとか、色々重なってヘコむのはわかるよ。
303芙由 :そうじゃん。 うわぁ何してんだ私……。
304修治 :ヘコむなヘコむな! ごめん思い出させて! 今のは俺が悪い!
305芙由 :あの時も何もできなかったのに、今回も
306修治 :俺はさ! そのー……俺の話な?
嫌な事があっても稽古してりゃあ、終わった頃には忘れられんの。
307芙由 :うわ、羨ましい頭……。
308修治 :でもお前とか、俺じゃない他の人はそうじゃねーだろ。
俺にはわかんねー悩みとか多いし、てか、そっちの方が絶対多いし。
309芙由 :……。
310修治 :柔道やってたからだと思うけど、俺をいじめようなんて奴、俺の人生にいなかったし。
311芙由 :え、え? 誰に聞いたの?
312修治 :ヒロ。 お前が警察学校で成績優秀で、だからいじめられてんだろ?
313芙由 :あーまあ……まあ? うん……?
314修治 :すげー噂になってたらしいからそうなんだよ!
315芙由 :噂になってたの!?
316修治 :そう! で、そんな訳わかんねー理由でフユをいじめてきた奴の事なんて俺わかんねえ。
てか、わかりたくもねえ。
317芙由 :……アンタは、そうなんだろうね。
318修治 :それに負けてやってきた、フユの事も同じくらいわかんねえ。
319芙由 :は? ま、負け、何?
320修治 :お前いつもすげーじゃん。
みんなには聞こえてない音まで聞こえて、何がナントカにぶつかったからドコドコ!
とかすぐ言うじゃん。 お前なんでそんな事ができるのに、あんな奴に負けてやってんの?
321芙由 :……や、いやぁ!? だって人より聞こえる程度でそんな、勝ち負けなんて、
322修治 :そうだよつかねーよ勝ち負けなんて、試合じゃねえんだから。 気持ちの話してんだよ。
323芙由 :だ、……だって。 私って耳が良いだけで、他の事は何もできないし……。
324修治 :俺も柔道以外できねえ!
325芙由 :いやだから、その柔道がアンタの努力の賜物で、
326修治 :俺は努力しようが耳が良くなる気がしねえ! だからお前がいないと困る!
327芙由 :……。
328修治 :調査とか色々、困る!
329芙由 :<吹き出す> わかっ、わかった、わかったって。
330修治 :だからあんな奴に気持ちで負けんな! ここまでわかったか!?
331芙由 :わかった! わかりました!
すっご、もう、説得まで脳筋なの? シュウあんた、立て籠もり犯の説得とかできる?
332修治 :そういうのはレイさん達に頼む!
333芙由 :あはは! わかったわかった、……私もそーしよっかな。
334修治 :つかお前、もしかして自分一人で夜行の仕事できると思ってんの?
え、逆に自己肯定感高くね?
335芙由 :自己肯定感低すぎて今こうなってんだよ! もーこりごり!
336修治 :あのな、人にはそれぞれ得意な事と不得意な事があって
337芙由 :わかってんだよ! 改めて丁寧に説教すんな!
338修治 :わかってんならなんでこんな所にいるんだよ!
339芙由 :ほんとそれな! それなんだけど! ズレてんだよなぁ!?
はあもう、レイとかタカさんとかヒロならさぁ!
こうして騒いでる間に鍵をちょちょーっと弄って! スマートに助けてくれそうなモンなのに!
340修治 :お前署内でピッキングは駄目だろ!
341芙由 :署内じゃなくても駄目だよ! なんで脳筋馬鹿が来んだよ! なんで私説教されてんだよ!
342修治 :てかスマートに助けてくれそうって、えぇ何お前、えぇ……
そういうのに夢見てるタイプだったの、ええ、意外。
343芙由 :ちゃんとちょっと引くな! 私だって女の子なんだから夢見たっていいだろ!
344修治 :タカさんは既婚者だから駄目だぞ!?
345芙由 :ちょっとした冗談のつもりで! 場を和ませようと思って言ってんだよこのぉ……!
346修治 :じゃあ来たのが俺でも良かったんだよな!?
347芙由 :何しっかり気にしてんだよ! 来てくれてありがてえよ馬鹿野郎!
あー……アンタはどうなの! 異性の! そういうの! 彼女の理想、みたいな!
欲しいってよく言ってるし!
348修治 :俺!? 俺、……彼女ぉ……?
349芙由 :……お?
350修治 :や、ほら。 欲しいけどこういう職場だとさ? 色々あったら面倒じゃん。
351芙由 :……おおおお。 うんうんうん、わかる! 何、恋バナ乗ってくれるタイプなの!
352修治 :普通に好きだけど? 彼女は欲しいし。 でも職場じゃあなー。
353芙由 :それな、職場恋愛はめんどくせーわ。
354修治 :なー。 俺コトさんの顔がめっちゃタイプなんだけどさ、
ライフル構えてる所見てやめとこってなったもん。 アレどうあがいても勝てねえよ。
355芙由 :私も、シズとか顔超タイプだしパルとか超かっけえって思うけど、プライベートがねぇ。
356修治 :あーアイツは止めといた方がいい、めっちゃ良い奴だけど。
先月キャバとスロットで給料半分すっ飛んでる。
多分、今月も末頃になったら俺が昼飯奢ると思う。
357芙由 :シンプルヤバすぎわろた。 ソレちゃんと昼飯代返ってくんの?
358修治 :滅茶苦茶土下座しながら返してくるし、数万上乗せして返してくるよアイツ。
359芙由 :ウケる! しゃーねーなぁ、今月は私もちょっと出してやるよ。
360修治 :いーって、平気だって。 俺金あんま使わねえし。
361芙由 :確かにお金使ってるイメージないかも。 普段何に使ってんの?
362修治 :ジム代とプロテイン代と食費とー……貯金?
363芙由 :貯金は使ってるって言わねえんだよ。
給料の使い道で真っ先にジムとプロテインが挙がる男かー。 うん、ヤだわ。
364修治 :俺だって自己肯定感バカ低い女とか嫌だわ、こういう言い合いしてんのが丁度良いわ。
365芙由 :てかなんで世間話してんだよ。
366修治 :お前が始めた世間話だろ。
367芙由 :だって誰もいなくて怖かったんだもん! マジで誰の足音もしないし!
……だから、来てくれたのは普通に安心したわ。 ほんとにありがとう。
368修治 :いーえ。 お互い様って事で。
369芙由 :<笑う> ……シュウみたいなのと、もっと早く会ってたら。 何か違ったのかな。
ま、んな事ないか! お前声デカくて脳筋だしデリカシーないし、私から離れてたかも!
370修治 :良い感じに上げてから滅茶苦茶突き落とすんじゃねえ!
<数時間後、夜行班オフィス。>
371真紘 :もー、すごかったんですから。
タマキさんがズカズカ乗り込むから、小隊長さんどころか隊員の皆さん恐れおののいちゃって。
372環 :私ごときにビビってて、機動隊としてやっていけんのかね。
でもやっぱ機動隊って鍛えてんだよなあ。 まさぐった時に、
373静夏 :何の話?
374環 :私が倉庫の鍵取り返した時の話。
375真紘 :装備の剥ぎ取り方が羅生門のババアでしたよ。 他の隊員ドン引きしてましたよ。
376静夏 :あれ? 俺はフユちの救出について聞いてた筈では?
<芙由が顔を覗かせる。>
377芙由 :皆さぁん……たいっへんお騒がせしました……!
378環 :フユ! 大丈夫か、本が薄くなるような事されてないか!?
379芙由 :されてません!
380杏実花:もーほんとマジで焦ったあ、タカさんの次はフユって、もおお……!
381真紘 :大丈夫大丈夫、タマキさんがキッチリやり返してましたから。
あ。 フユの顔も見れたし、俺ちょっと席外しますね。
382環 :お、いってらーい。 で、で? 結局なんで閉じ込められるハメになった?
383芙由 :いや、こないだのタカさんみたいな重大事件って訳じゃなくてぇ。
あのー……えっと。 黙ってたんだけど……。
384修治 :は? まだ何かあんの?
385芙由 :えっと……実は私も、警察内に身内がいてさ。
386杏実花:え! そうだったの!?
387芙由 :うん。 それでちょっと、コネとか何とか、ややこしい言い掛かりつけられてて。
それが警察学校時代からで……公安に移ったのが知られちゃってて、こうなった、みたいな。
388静夏 :うげぇ、男の僻みって事ぉ? いっちゃんつまんねー。
389芙由 :でしょ? だからあんまり話したくなかったんだよね。
390修治 :あーね。 そういうのもあったんだ。
391環 :ワンチャンそのコネっつーのも、自分に心当たりがあったんじゃね? しらんけど。
392杏実花:えっできんの!? 警察でそんな事!?
393環 :いや、アミのご両親は間違いなくしないだろ。
394杏実花:だよね? あーびっくりしたぁ!
駄目だめコネなんて! ウチみたいに紹介程度が罪悪感なくて一番いい!
自分でのし上がるのがいっちゃん気持ちいーんだから!
395修治 :メンタル化け物すぎん?
396環 :フィジカルもな。
397芙由 :<笑う> 聞き取り調査でぜーんぶ話してきたから、多分もう大丈夫。
お騒がせしました!
398静夏 :はーい。 なんだぁ、話してくれたら殴りはしなくても、中指立てるくらいはしたんだけどな。
399修治 :いいや、俺はまだ投げるチャンスを狙ってるね。 殴りはしねーけど。
400芙由 :そんな事しなくていいの!
401環 :ちっせえ男の事なんか忘れちまえ。 そっちも大した事なかったからな!
402杏実花:器の話なんだよね!?
<署内、人通りのない廊下。>
403真紘 :いたいた。 シブヤさーん。
404佑志 :あ、……。
405真紘 :聞き取り調査お疲れ様です。 いやあ、これから大変ですねえ。
406佑志 :あ、はは……。
407真紘 :こちら、コンプライアンス研修に向けた資料です。
停職が明けましたら左遷先で研修が始まりますので、頑張って下さいね。
408佑志 :──はい……?
409真紘 :うん? あぁ申し訳ないです、俺先走っちゃったかも。
戒告、減給、停職、左遷のフルコンボだし。 ニカイドウ隊長、今日まで出張ですもんね。
機動隊本部の皆さんもお忙しいでしょうし。 まだ、処分お聞きじゃなかったですよねえ。
410佑志 :え、お、俺、俺がですか?
411真紘 :他に誰がいるんですかぁ。 異性の更衣室に連れ込んで恫喝して、倉庫に閉じ込めて。
412佑志 :それは停職処分だって
413真紘 :誰に聞いた? なあ。 どこの能無しがンな呑気な事言ってんだよ。
このご時世署内とはいえ、セクハラパワハラモラハラ監禁恐喝その他が停職程度で済む訳ねえだろ。
それにな、 <佑志の頭を掴む>
414佑志 :ひ──
415真紘 :<小声> 証人が、公安の特殊部隊所属で。
特殊部隊だから公表しない。 公表できないから、公に裁けない。
被害を受けた側が優秀だった所為で、そっちを守る選択しかできない。
だからお前、起訴すらされずに被疑者に収まってんだよ。 お前は、加害者にすら、なれない。
<佑志から離れて> ……あはは。 よかったですねえ。
あなたも、お父様も、彼女も。 みーんな「警察」ではいられるんですから。
416佑志 :と、特殊……部隊……?
417真紘 :ダメですよー、あなたみたいな下っ端が迂闊に喋っちゃ。 上の人しか知らないんですから。
──わかったらあんま粋がってんじゃねえぞ。 クソガキが。
<夜行班オフィス。>
418杏実花:ね、ね、フユ! 身内の人ってどこの部署!?
ワンチャンうちのパパと知り合いだったりして!
419芙由 :あーどうだろなー。 でもアミのお父さんが有名だから、知ってるのかも?
うちは、おじいちゃんが元警察庁次長ってだけだから!
420杏実花:へえ! 元警察庁次長……あれ?
421静夏 :ん?
422修治 :次、長……?
423環 :あれ、スカウト組はしらないのか、次長の事。
そっか、あの人が勇退されてから入所してんだもんな。
警察全体の元ナンバーツーが、フユのお祖父様なんだよ。
424芙由 :まあ、元、なんだけどね!
425静夏 :……はいぃ……?
426環 :で? パパは警備会社の社長、だっけ?
427修治 :えっえっえっえっえっ。
428芙由 :そー。 お父さん昔ゴリッゴリにヤンチャしてたから、警察にはなれなくて。
むしろ世話になる側、みたいな? その辺ギリギリだったみたいだけどね!
あ! あとお母さんが副社長してんの! 会社もお母さんの実家が出資してくれたんだよねー!
429静夏 :ご、ごごご、ご令嬢……?
430芙由 :やだなぁ、そんなご大層なモンじゃないよ。 会社の規模だってまだまだだし。
431環 :今ガンガン広告打ってるけどな。 アサヒ警備って聞いた事あるだろ。
432杏実花:あ、ある……ある……そこの社長令嬢……?
433芙由 :だからそんな立派なモンじゃないって!
でもま、そんな家だったからとりあえず将来は警察官かなーって感じ?
そう思ってたら公安に引き抜かれて今現在に至る、って訳! なはは!
あ、色々お金掛けてもらった自覚はあるけど、コネとかはマジでないからね?
434静夏 :お金……掛けて……?
435芙由 :んー小さい頃は一週間毎日習い事してたりぃ?
あ、二十歳の誕生日に祖父母から土地と別荘もらったのが一番ビビったかな!
436静夏 :ひぇっ。
437環 :アミカもそうだけど、いるトコにゃいるんだよなぁ。
こういう、生まれながらの環境がすげーのって。
438静夏 :ごめん一瞬僻みそうになった。
439芙由 :なんでよォ!?
440静夏 :いやそんなダセェ事しないけどさぁ!? そもそもフユちそれっぽくねえし、庶民感あるし!
441芙由 :あァ!?
442修治 :まあ! 環境はどうあれ努力してここにいる訳で、な! ……そうだよな?
443芙由 :そうですけど!?
444杏実花:へええ、マジでいるんだぁお金持ちの令嬢って、やばーッ!
やっぱ運転手さんとかお付きの人とか、いたりすんの!?
445芙由 :いねえよ! 毎日徒歩出勤だが!?
ええい、珍しい動物を見る目を向けるな! メダリスト共がーッ!
446環 :……やっぱ、夜行ってメンツ濃くね?
2025.2.6 初版 羽白深夜子
2025.4.1 更新 羽白深夜子
2025.5.4 更新 羽白深夜子
2025.5.14 更新 羽白深夜子
2025.5.17 更新 羽白深夜子
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■男性役(男性三名の時)==========
犬飼修治・機動隊員
大和静夏・渋谷佑志
久世真紘・三上礼良
■男性役(男性四名の時)==========
犬飼修治・機動隊員
大和静夏(機動隊員)
久世真紘
渋谷佑志・三上礼良
※男性四名の時、機動隊員役は「犬飼修治」役、「大和静夏」役、どちらかが兼ねて下さい。
■女性役==================
朝地芙由
舘杏実花
瀬那環