最終更新:2025/4/13 利用規約をご一読下さい。
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【公安夜行班「銃の部品」】 (こうあんやこうはん「じゅうのぶひん」) 男性3~4、女性3~5。 反社会的描写、暴力描写を含みます。 銃声は手を叩く等でご対応下さい。直前の台詞を言った方がオススメです。 私がとても好きな曲と同名タイトルにしちゃったので、自分へのプレッシャーがすごい。曲も是非。 (言葉を扱うルールとしては問題ない事は確認済です。) 有償版販売ページはこちら。 【小早川 貴(こばやかわたか)】 34歳男性、夜行班員。 前職は警視庁警備局公安課SP。 唯一結婚している妻子持ち。5歳の娘と2歳の息子がいる。 【風早 古都(かぜはやこと)】 25歳女性、夜行班員。 前職は世界大会に出場しているライフル射撃選手。 並外れた視力を持ち、視力を下げる為に眼鏡を掛ける事が多い。 【朝地 芙由(あさじふゆ)】 26歳女性、夜行班員。 前職は生活安全課勤務の婦人警官。 並外れた聴力を持つ。 ※配役を兼ねる場合、「由織慧」役を兼ねて下さい。 【舘 杏実花(たちあみか)】 28歳女性、夜行班員。 前職は世界大会に出場している空手選手。 暴力団対策課(マル暴)現役の父、兄、麻薬取締官の母がいる。 ※配役を兼ねる場合、「糸居李月」役を兼ね、  確保のシーンでは杏実花の台詞を優先して下さい。 【犬飼 修治(いぬかいしゅうじ)】 26歳男性、夜行班員。 前職は世界大会に出場している柔道選手。 ※配役を兼ねる場合、「糸居侑李」役を兼ね、  確保のシーンでは修治の台詞を優先して下さい。 【三上 礼良(みかみれいら)】 30歳男性、夜行班員。 前職はフリーのSE。 【由織 慧(よしおりさと)】 34歳女性、公安跖狗班室長。 ※配役を兼ねる場合、「朝地芙由」役を兼ねて下さい。 【糸居 侑李(いといゆうり)/糸居 李月(いといりつき)】 27歳。男性、元交通機動隊(侑李)女性、元看護師(李月) ある目的を持って貴を誘拐する。 ※配役を兼ねる場合、それぞれ「犬飼修治」役「舘杏実花」役を兼ねて下さい。 【輸送1/輸送2】 銃器輸送車に乗車していた民間人。 ※「糸居侑李」役「糸居李月」役以外を担当する方が役を兼ねて下さい。 【配役表】 小早川貴: 風早古都: 朝地芙由: 舘杏実花: 犬飼修治: 三上礼良: 由織慧 : 糸居侑李: 糸居李月: 輸送1 : 輸送2 :
◆兼役有配役表
あくまで目安のご提示です。参加される方で調整してご利用下さい。 ■男性役(男性三名の時)==========  小早川貴(輸送1or2)  犬飼修治・糸居侑李  三上礼良(輸送1or2) ■男性役(男性四名の時)==========  小早川貴(輸送1or2)  犬飼修治(輸送1or2)  三上礼良(輸送1or2)  糸居侑李 ■女性役==================  風早古都(輸送1or2)  朝地芙由・由織慧(輸送1or2)  舘杏実花・糸居李月 ※「糸居侑李」役「糸居李月」役を兼ねる場合、  306~318は「犬飼修治」役「舘杏実花」役の台詞を優先して下さい。
======================================= <サブマシンガンの銃声。> 001輸送1:<無線> ──なあ! 応援ってまだなのかよ! 002輸送2:<無線> ──もう呼んでる! 前がやられてるからお前の車が <銃声。> 003輸送1:おい? おい! 生きてるか、返事しろ、……おい! 004侑李 :悠長だな。 そんなに無線が好きか? <銃声。> 005侑李 :<死体を漁る> エムピー……よりによってコレかよ。 006李月 :でもナインミリならグロックでも使える。 007侑李 :そりゃそうだけど。 ……装備も杜撰(ずさん)、統率も取れてない、戦闘の基礎も知らない。       都心部とはいえ民間はまだこんなもんか。 008李月 :サブマシンガンが出回ってるなんて、驚いたけどね。 009侑李 :まあ、いくらか足しにはなったか。 イヌは。 010李月 :来てない。 011侑李 :よし。 ──行くぞ。 <住宅街裏。> 012芙由 :この辺りですかー? 通報が入ったのって。 013貴  :そう、なんだけど……こりゃイタズラか誤通報かなあ。 014芙由 :ですよねえ。 さっきの襲撃で規制対象になってる地域だし、……       <小声> タカさん、足音。 015李月 :<曲がり角から飛び出す> 警察の方!? 助けて下さい! 016貴  :フユ、保護! そのまま退避! 017芙由 :待って、何かおかし── <スタンガンの音> 018貴  :は!? フユ!? <サブマシンガンの銃声。貴、建物の影に隠れる。> 019貴  :くっそ……! <自身の拳銃に手を掛ける> 020侑李 :<貴に真正面からサブマシンガンを突きつける>       元警視庁警備局公安課、コバヤカワタカで間違いないな。 021貴  :銃を下ろせ。 022侑李 :左を見て、状況が理解できたら両手を上げろ。 <気絶した芙由に、銃を突きつける李月。> 023貴  :……さっきのお姉さん、グルだったの。 024侑李 :彼女を今すぐ殺しはしない。 お前の言動次第だ。 025貴  :ご丁寧にどうも。 で、どうしようって? さっき言ってた通り、俺警備局出身よ?       ……流石に、サブマシンガンを相手にした事はないけど。 026侑李 :A&Sワールドホールディングス人事部、コバヤカワアヤノ。       シラカワ幼稚園さくら組コバヤカワメイ、わかば組コバヤカワレンヤ。       お前の家族の調べはついている。 027貴  :だから大人しくしろって? 028侑李 :目的さえ果たせたら、家族の安全は保障する。 029貴  :え? 会いに行ってパパのお友達です、とか言うの? 030侑李 :これ以上、お前が時間を稼ごうとするなら。       <サブマシンガンを芙由に向ける> お前と彼女を、蜂の巣にした後で。 031貴  :……、わーかった、わかったよ。 そっちの彼女の安全も保障してね。 <両手を上げる> 032侑李 :ああ。 拳銃と無線機を足元に置け、無線はジャミングしている。 033貴  :そうね、でも俺がいる場所は割れてる。 他の警官も急行してると思うけど。 034侑李 :だから。 <サブマシンガンを貴に向ける> こっちは急いでるんだ。 <夜行班、オフィス。> 035礼良 :あれ? 何、タカさんいねえの。 036杏実花:フユとパトロールに出てるよん。       てかレイ顔やばぁ! ちょっとぉ大丈夫ー? 037礼良 :あぁ何? やべ、寝起きにお前みたいなギャルちょっときちぃ。 038杏実花:きちぃって何が!? 顔!? 039礼良 :いや声。 040杏実花:あぁ声ね! ちょ、普通に失礼じゃね!? 041修治 :レイさん起きました? さっき仮眠室覗いてビビりましたよ、死体が寝てんのかと思った。 042古都 :顔色真っ青ですよぉ。 大丈夫なんですかぁ? 043礼良 :大丈夫大丈夫、飯食ってねえだけだから。       昨夜色々やっててさ。 悪い、朝礼の後から記憶飛んでる。 044修治 :えー? 色々って、レイさん何してたんすかー? 045礼良 :お前が考えてるような色々じゃねえよ。 参ったな、書類で聞きてえ事あったんだけど。       <無線> ──タカさん何時頃戻ります? ……って、あ? 046修治 :どうしました? 047杏実花:無線?       <無線> ──フユー? 聞こえてたら返事して? 048礼良 :……さっきの、武器輸送車襲撃。 どこだったっけ。 049古都 :市内南部、シミズノの辺りですね。 050礼良 :<無線> ──本部。 シミズノの武器輸送車襲撃、続報ありますか。       班員二名、周辺の不審者通報対応に向かったまま連絡がつかない。 051修治 :フユまた無線外してたりして。 052杏実花:でもタカさんと一緒なんだよね? 両方連絡つかない? <機械音。> 053修治 :へ。 054礼良 :……、短機関銃の発砲? 055杏実花:これシミズノじゃん! ヤバない!? 056礼良 :…… <無線> ──了解。 夜行班向かいます。       外部通信がジャミングされてる。 で、この発砲通知。 057修治 :俺見に行ってきます! 058杏実花:私も行く! レイとコト、ここ任せてい? 059古都 :はーい、行ってらっしゃーい。 060礼良 :あぁうん、無線しばらく使えないから気をつけろー。 061古都 :パトロールの二人、大丈夫ですかね。 062礼良 :<溜息> ……GPS、動いてねえよな、コレ。 <車内。(運転席に侑李、後方座席に貴と李月。)> 063貴  :……あぁ? あー、……びっくりした。 すごいね、麻酔ガスまで持ってんの。 064侑李 :お前は拘束されている、大声を出すな。 065貴  :わかってまーす。 残念だけどお兄さん方、俺に人質の価値はないよ。 066侑李 :俺達が決める事でお前が判断する事じゃない。 067貴  :それはそう。 でも一応言っておかなきゃいけなくてさ。       はいはい、尋問でもなんでもご随意に。 大人しくしてるよ。 068侑李 :GPSの発信機も捨てたからな。 069貴  :バレちゃったか。 おー、思ったより頭回らなくなるモンだな、ちょっと困った。 070侑李 :<溜息> ……それでもまだ、口が回るとは。 071貴  :どうも。 ふうん、二人っきり? 度胸あるね。       お姉さんも退屈でしょ。 ちょっと三人でお喋りしよ。 072李月 :……私達の身元が割れない程度なら、いいですよ。 073侑李 :おい。 074李月 :黙ったままでも喋っていても。 行く宛てもやる事も、特に変わらないでしょう。       それとも、私がベラベラ喋るとでもお思いで? 075侑李 :……そこまで言ってないだろ。 076貴  :<笑う> ね、お姉さんもこう言ってる事だし!       俺は家族まで割れちゃってるんでしょ、うーん同等の情報……       そうだな、まずは銃の入手先と目的地、でどう? 077李月 :武器輸送車を襲撃しました。 十時三十七分、シミズノ、サクラザカ交差点付近の襲撃です。       その襲撃と近かったから、通報に駆けつけて下さったんですよね? 078貴  :まあね。 へえ、さっきの十字路での分断といい、手慣れてんね。 079李月 :恐れ入ります。 目的地は私達の報復先です。 080貴  :物騒だなー。 もっと楽しいトコにしよーよ。 081李月 :<笑う> 私からも、お聞きしていいですか? 082貴  :どーぞ、何々? 083李月 :コバヤカワさんは、「イヌ」の捜査員の方ですか? <警察病院、個室。> 084芙由 :……あれ、……タカさんッ! 085礼良 :おはよー。 大丈夫か。 086芙由 :レイ、レイどうしよう、タカさん無事!? 087礼良 :元気そうじゃん。 先に現状聞け。       ここは警察病院、お前はシミズノ住宅街東で、ガスか何かで気絶してるトコを保護された。       タカさんは安否不明。 はい、あなたのお名前言えますか。 088芙由 :ふ、フユ……だけど! 違うガスじゃない、アレ改造スタンガンだと思う! 089礼良 :スタンガンだあ? ガス反応あったって聞いたけど。       じゃあ犯人の顔見てるんだな? 状況は? 090芙由 :えっと……サクラザカ交差点付近の発砲通知があって、その後の通報あったじゃない? 091礼良 :不審者の? 092芙由 :そう、それがその、……私達を誘き寄せる為? の通報だったみたいで。       私くらいの女性が逃げて来たと思ったらスタンガンで……       で、でも、私とタカさん、数メートル離れてた程度だったんだよ。       何かおかしいって思って私が足止めちゃって、タカさんがちょっと先行してて。 093礼良 :何がおかしかった? 094芙由 :逃げてた女性、足音が殆どしなかったんだよ。 だから私も出くわす直前に気付いて。       そういう靴を履いてたんだと思う、おかしいと思って声掛けて、そこまでしか覚えてない……。 095礼良 :わかった。 サトさんが来てくれるから、検査受けて、結果は無線で報告して。 096芙由 :全然動けるから、 097礼良 :動けても駄目。 改造スタンガンでやられたとか相当なんだけど? 098芙由 :う……。 099礼良 :ま、サトさんの許可が出たら合流って事で。 100芙由 :わかった……。 気を付けてね、ほんとに! <車内。> 101貴  :──……黙秘しよっかな。 へー、イヌ? 何かのあだ名? 102李月 :違ったんですね、残念。 <笑いながら>       なら。 カラスか、鬼。 どちらかなんでしょうね。 103貴  :何それ、随分おっかない呼び方だね。 104侑李 :警備局移動以降、お前の動向が掴めなかった。       銃刀法改正に合わせて新設された、銃犯罪対策局への移動だと。 105貴  :俺がそんなご大層な場所に? まさかぁ。 106侑李 :随分自己評価が低いんだな。       キャリア組の中でも、最年少の警視正にと専らの噂だと聞いたが。 107貴  :どこでそんな事聞いてんの? いや、真面目に。       でも、簡単に漏れるようじゃその程度の話なのよ。 108侑李 :なら話題を変えるか。 銃刀法改正、どう思う? 109貴  :どうも何も、署内はどこも大変だって話。 毎日あっちこっちで発砲通知よ。 110侑李 :<失笑する> 気楽なモンだな。 111貴  :そりゃまあ、余程の事がないと発砲前は動けないし。       さっきも言ったけど、まさかサブマシンガンと対面するとは思ってなかったからさ。       そっちは? こういうヤンチャしようと思ったら銃持ててラッキーみたいなトコ、ある? 112侑李 :あるか馬鹿馬鹿しい。 治安維持だなんて体の良い言葉を使って、       要は関係諸国の圧力に負けた、それだけだろ。 113李月 :ねえ。 そこまでにして。 114侑李 :……悪い。 115貴  :あれ。 なんかごめんね、もしかして聞かない方がよかった? 116李月 :いいえ、最もなご感想だと思いますよ。 ほら、私達は結局、銃に頼っている訳ですから。 117侑李 :おい。 118李月 :違いますか? 暴力が手近になって、それを悪用している事には違いはありませんでしょ。 119貴  :んー……。 必要だと思ってるから、ああして銃を使ってるんだよね? 120李月 :はい。 今の私達には、銃が必要だと思っていますよ。 <車が停車する。> 121貴  :ん。 目的地、ここ? 122侑李 :一つ目は。 まあ、試し撃ちって所か。 準備。 <車を降りる> 123李月 :はい。 <窓を開ける> 124貴  :試し撃ち? え、窓開けんの? 125李月 :……アオナミ町の河川敷です。 まあ、見ればわかりますよね。 126貴  :うん。 随分移動したね……あの、ここってさ。 127李月 :<スマホを掲げる> 撮影します。       音声は入れませんが、お静かにお願いしますね。 128貴  :ホームレスの根城になってるトコだよね? その人達、……       そこのダンボールのお布団、撃つとか言わないでよ? 129李月 :元々、下町で工場を運営なさってる方でした。       二年前にあった交番への銃撃事件、覚えておいでですか。 130貴  :あれは犯人がもう逮捕されて、 131李月 :実行犯のみ逮捕、ですよね? その実行犯も黙秘を続けている。 132貴  :何言ってんの。 133李月 :首謀者は、あの男ですよ。       ああしてダンボールで雨風を凌いではいますが、長年心臓を病んでる方でして。       もう長くはないでしょう。 今も身動き一つなさらないでしょ。 134貴  :……なんでそんな事知ってんの? 135李月 :さあ。 どうしてでしょうね。 136侑李 :コバヤカワ警視、……元、警視だったか。 <ホームレスに銃を向ける> 137貴  :……は? おいマジか、おい! やめろ! 138李月 :大人しくなさって下さい。 139貴  :大人しく!? できる訳ねえだろ、こんなの見せられて! 140侑李 :銃刀法改正、治安維持の名の下に銃が出回った。       銃を持ててラッキー、なあ。 確かに、俺達は運が良かったのかもしれない。       まだ報復の手段があった。 141貴  :撃つな! 142侑李 :どうして。 何故所持はできて、撃ってはいけない?       二十二歳以上、今日まで犯罪歴はない。       精神鑑定、講習、試験、全てをクリアした上で正当に銃器の所持ライセンスを持ってる。       生活を壊されて、恨んで、報復の為にここにいる。 143貴  :おっさん! 寝てねえで起きろ! おい! 144侑李 :身を守る為、治安維持。 それとは順番が逆になっただけだ。 145貴  :くっそ……! <乗り出そうとする> 146李月 :ダメです、こればっかりは。 私達の本懐なんですから。       邪魔をしないで下さい。 147侑李 :お前ら警察だけが、銃を振りかざす時代は終わったんだろ。 <銃声。> 148慧  :レイ! あああ、よかった! 無事なの! 149礼良 :サトさん。 150慧  :大丈夫? 夜行が一人行方不明だって聞いてるけど。 151礼良 :タカさんっす。 152慧  :タカが!? 153礼良 :ああ、同期でしたっけ。 今フユ起きたんで、検査諸々頼んでいいっすか。 154慧  :勿論。 もう、昔から突っ走るタイプだとは思ってたんだけどねえ……。       アヤノちゃんに顔向けできないじゃない、私。 155礼良 :<苦笑する> 156慧  :それで、検査の前にコレ教えに来たの。 犯人から要求。 <タブレットを渡す> 157礼良 :……SNSで。 158慧  :ダイレクトメールで届いて、公開はされてない。 159礼良 :……。 ホームレスの銃殺動画って。 趣味わりぃな。 160慧  :当然開示は間に合わないでしょ、うちの子が諸々追ってはいるんだけど、間に合うかどうかも。 161礼良 :これ、動画。 アオナミ町の河川敷っすね。 162慧  :え。 よくわかったね。 163礼良 :他の事はサッパリですけどね。 映ってる男が若いって、そのくらいか。       俺にもメッセージと動画両方送って下さい。 解析って進んでますか。 164慧  :うちの子が同時進行でやってる。 165礼良 :わかりました。 こっちでも追います、何かわかったら無線の 166慧  :タカがいないんでしょう。 うちの子達、いや、カラスから何人か回してもらう? 167礼良 :サトさん、あのね。 いつまで対策局のオカンやってるんすか。 168慧  :老婆心なのはわかってるのよ。 でも……夜行はその、スカウトの子が多いでしょ。 169礼良 :俺もなんですけどね。 170慧  :甘く見てるとか、悪く言いたいわけじゃないのよ。 171礼良 :それはわかってますよ。 172慧  :単純に場数の話なの、うちもカラスも警察内部の子が多いから。 ほら、よりによってタカが、 173礼良 :室長様がそんな焦んないで下さいよ。 あ、でも甘やかしてもらえるんなら。       コトにめっちゃいいヤツ、お願いします。 174慧  :……あのねえ。 まあ、私が言い出したんだものね。       怒られたらレイの名前出すからね! 175礼良 :はいはーい。       ── <無線> シュウ、アミ、犯人から接触があった。 アオナミ町方面。       高速に乗る可能性がある。 どっちかカラスの無線入って、連携して。       ……このままじゃ、鬼の名が廃る。 <車内。> 176貴  :……お兄さんさ。 銃、訓練受けてるよね。 177侑李 :ああ。 まぁ……このくらいは、明かしてやってもいいか。       <ミラー越しに貴に敬礼して見せる> 元交通機動隊、特殊任務班であります。 178貴  :え、えっ? 179侑李 :<失笑する> 退職してるがな。 お疲れ様です、コバヤカワ元警視。 180貴  :……だから、俺が警視だったの知ってたのか。       運転も上手い訳だ、身内かよ。 俺一生懸命しらばっくれてたの馬鹿みたいじゃん。 181侑李 :そうだな。 生憎公安周りは詳しくなくてな、ご指導賜れたらありがたかったんだが。       仕事は我々で済ませますので、警視はお休みになって下さい。 182貴  :全然休まらないんだけど。 ……まさかお姉さんの方も、関係者とは言わないよね。 183李月 :<苦笑する> 私は元看護師ですよ。 184貴  :そうなんだ。 いー感じの動画は撮れた? 185李月 :お陰様で。 186侑李 :要求と共に送付済だ。 あとは、あちらの出方次第だな。 187貴  :その要求って、俺も聞いていい? 188侑李 :お前には関係ない。 189貴  :なんだよ、人の事攫っておいて。 まあ聞けるとは思ってないけどさ。 <警察署駐車場。> 190慧  :コト! 191古都 :あ、サトさん。 こんにちは、お久しぶりです。 192慧  :<溜息> はい、こんにちは。 あんたほんっともう、マイペースなんだから。 193古都 :……。 えっと。 194慧  :……そんな訳ないよね、緊張してるか。 ごめんごめん。 195古都 :いや、あー……。       情報集まってるし、みんな動いてるし、その、タカさんだもん。 きっと大丈夫です! 196慧  :そ? いつもみたいにのほほんとしてる感じでもなさそうだったからさ。 197古都 :あー……。 あはは。       跖狗(せきく)班の人達も、色々調べてくれてるんですよね? 198慧  :やってるやってる。 でもそっか、コトでも緊張とかするんだね。       持ってきて丁度良かったかもしんない。 199古都 :何を? 200慧  :ちょっと後ろのドア開けるからね、差し入れ! おにぎりと唐揚げ。 201古都 :おにぎり? 唐揚げ? 202慧  :前にシュウジにご馳走してあげるって約束してたのよ。 今アミカと出てるんでしょう?       で、こっちが温かいお茶が入ってる水筒。 回し飲みが嫌なら紙コップ使ってね。       こんなにバタバタ走り回って、お腹空いちゃうでしょ?       持って行って、道中つまみなさい。 で、終わったらみんなで食べる。 203古都 :わーやったぁ! どこで買った唐揚げなんですか? 204慧  :馬鹿言わないでよ、私が揚げたのよ。 205古都 :ええ? 206礼良 :……母ちゃん、何してんすか。 俺らこれから制圧なんですけど。 207慧  :レイ、あんたはコレ。 ツナと炒り卵の入ってるおにぎりだからね、美味しいわよ!       んもう、そんな顔色悪くして! 車乗ったらすぐ食べなさい! 208礼良 :はあ……ちょっと夢見が悪かっただけなんで。 あざす。 209慧  :ありがとうございます、でしょ!       跖狗班の子達ね、調査だったり監視業務だったり、みーんな気ぃ抜くと       パソコンに齧りついちゃうの。 いっつも冷蔵庫に下味冷凍置いてんのよ。       さっき慌てて揚げたんだから。 あとね、こっちもとっておき。 210礼良 :はい? 211慧  :申請出しといたから、コレも持って行きなさい。 212古都 :……え、え? それもしかして! 213慧  :あんたといえばコレじゃないの、レミントン七百。       この銃とあんたの腕があれば、千ヤード先も撃てるんでしょ? 214古都 :勿論! いいんですか!? ありがとうございます! 215慧  :いいも何も。 メダル持ってるアンタ以上に、この銃が適任な女なんて。       署内どころか、国内にもいないんだから。 タカの事頼んだよ。 216古都 :はい! 217礼良 :……いや、俺が頼みはしたんだけど。       おにぎりと唐揚げと同じノリで、ライフル持ち出さないでもらえます……? 218慧  :<笑う> ほら! ごちゃごちゃ言ってないで、乗った乗った! 制圧なんでしょ! 219礼良 :はいはいはい……。 じゃ。 220慧  :勢揃いで帰るの、私達待ってるからね。 行ってらっしゃい! <発進する。> 221礼良 :いや、マジの母ちゃんじゃん。 ……んでおにぎり美味っ。 <車内。> 222李月 :食事、お持ちしましたよ。 223貴  :……んぁ? 224李月 :<貴の手錠を外し、おにぎりを渡す>       店舗には入れないので、私が作ったおにぎりになりますが。 225貴  :……。 <唖然として李月を見る> 226李月 :<苦笑する> 食べたくは、ありませんよね。       もう一つありますので、半分を私に下さい。 そうすれば何も入っていない証明になりますか。       <話しながら、貴の持つおにぎりを二つに割り片方を貴に渡す> 227貴  :あ、ああ、うん……どうもありがと。 もう一人の彼は。 228李月 :給油と煙草休憩です。 お気になさらず。 229貴  :手厚いね、びっくりしちゃった。 彼には怒られない? 230李月 :提案した時は怒っていましたよ。 でも説得しました。       今日の私達の行動が、間違った手段である事に弁明はありませんが。       私達は、あなたの人権とか権利とか、そういうものを蔑ろにしたい訳ではありません。 231貴  :……そ。 <おにぎりを頬張る> うま。 梅干し入ってんの。 232李月 :祖母が漬けた梅干しです。 233貴  :へぇ、美味いよ。 お祖母様にも伝えて。 もう一個もらえる? 234李月 :はい。 <おにぎりを割ろうとする> 235貴  :あ、そのままじゃダメ? 236李月 :一つ? ですか。 237貴  :うん。 何も入れてないんだろ? これから長くなるならもらっておきたいんだけどな。       お姉さんが食べる分がなくなる? 238李月 :別で用意していますから、心配しなくて大丈夫です。       ……男性は、おにぎりが一つと半分では物足りないですよね。 申し訳ないです。 239貴  :いやいや何言ってんの! こんな美味いモン、食わせてもらえるなんて思わなかったよ。       ……困ったな。 一人なら、何とか口説き落とそうと思ってたんだけどね。 240李月 :ええ、私の説得は無駄です。 241貴  :だよねぇ……。 大丈夫、そこまで野暮じゃない。       ほら、食べ終わったから。 ご馳走様、ちゃんと手錠掛けな。 <両手を差し出す> 242李月 :……ご配慮痛み入ります。 <貴に手錠を掛け直す>       足の方も、違和感がありましたら教えて下さいね。 243貴  :ねえ。 報復とやらは、まだ続けるの。 244李月 :はい、続けますよ。 本気ですから、だからこそフェアじゃないと。 245貴  :……俺には娘がいるって知ってるよね。 だから、 246李月 :そう、だからこそ。 ──私もどこかの誰かの娘だ、って。       そう思われるなら、コバヤカワさんも本気で止めて下さい。 私達を。 247貴  :……わかった。 <李月、車を降りて施錠する。> 248貴  :わかったよ。 <パトカー内。> 249修治 :<無線> ──とりあえずカラス、烏有(うゆう)班からの提案はこんな感じっす。       何かあれば俺、あっちの無線入って伝えてきますけど。       てか、逃走車両ってこんなに早く特定されるモンなんすか、ヤバいっすね。 250礼良 :車両特定したのはサトさんトコ、跖狗班だけどな。 251杏実花:<無線> ──でもーカラスも逃走経路とかめっちゃ割り出してたし!       鎮圧部隊っていうからもっとゴリゴリ脳筋系だと思ってた! 252礼良 :その辺もカラスって呼び方の由来だよ。 あっちは室長がエスエーティー上がりだからな。 253杏実花:<無線> ──カラスってめっちゃ頭良い鳥なんだっけ、成程ねー! 254礼良 :アミお前、エスエーティーとエスアイティーごっちゃになってない?       烏有班の室長は急襲部隊、サットの方な? 夜間作戦が得意で……。 <溜息> 255杏実花:<無線> ──あれ? あはは! いつもごっちゃになっちゃうんだよねえ! 256修治 :<無線> ──俺もよくわかってないです! 後で教えて下さい! 257礼良 :お前らがあちらさんに迷惑掛けてねえかすげー不安なんだけど……。 258修治 :<無線> ──でも俺ら、そんなすげートコから突入任されたんすね! 気合入れよ! 259杏実花:<無線> ──んね! マジやばーい超頑張ろー! 260古都 :すごーい。 私達も頑張らないとですねえ。 261礼良 :まあ、落とし前は手前らでつけろって話なんだろな。       頑張ろうっつーか、もうちょっと緊張感っつーモンを持ってくれ……。       もう十分もしねえうちに、ポイント入るんだからよ。 コト、そろそろ準備しろ。 262古都 :はぁーい。 263礼良 :お前が要になる。 頼むぞ。 <廃工場裏。> 264貴  :<伸びながら> あーあ、腰痛ぇ……ここ? 次の目的地。 265侑李 :中継だ。 車を取り替える。 266貴  :成程ね! ちょっと、歩くの早いよ。 引っ張らないでくれる? 267侑李 :こっちは急いでるんだよ。 268貴  :もー。 エスコートしてもらうなら、お姉さんの方がよかったんだけどな。 ねえ? 269李月 :<苦笑する> 270貴  :ところで、今何時? 271侑李 :十九時半になるな。 272貴  :ああ、もうそんな時間か。 <貴、侑李の手元を引っ手繰り、背後の李月の足元付近を撃つ。> 273侑李 :リツキ! 274貴  :はい動かなーい。 俺もさ、やっぱ女の子を撃ちたくはないから。 275侑李 :っ、お前 <貴に腹部を殴られる> 276李月 :お兄ちゃんッ! 277貴  :グロックかぁ、いいね。 <上空に向けて二発撃ち、侑李に銃を向ける>       さて、形勢逆転かな。 そっかそっか、お兄ちゃんだったのか。 278侑李 :リツキ、逃げろ! 279貴  :こういう手錠って時間掛ければ、あっさり外れるモンだよ。 知らなかった?       悪いね。 俺さ、門限とっくに過ぎてんの。 280李月 :動かないで! <貴に銃を向ける> 281侑李 :リツキ! 282貴  :家族まで調べてもさ、流石にお家ルールまでは調べないっしょ。       知ってる? 公安って家族に仕事明かせないんだ。       プロポーズの時、俺自身の命どころか、キミや家族にも命の危険が及ぶ仕事だって、       それしか言えなかった。 それでもついてきてくれたんだ。 できた嫁なんだよ。 283李月 :動くな! 284貴  :リツキちゃんだっけ? 利き手、左なんだ。 <貴、李月の左腕を撃つ。> 285李月 :<悲鳴> 286侑李 :止めろ! 撃つな! 287貴  :<侑李に銃を向ける> どうして。 キミと同じ事してるだけでしょ。       キミ達は、俺の静止命令もさっきの威嚇射撃も無視した、殺人犯。 違った? 288侑李 :……。 289貴  :これじゃまるで俺が悪役だな。 まあ続きも聞いてよ、ウチのお家ルールってヤツ。       毎日十七時までに俺の連絡がなければ緊急事態。 すぐに避難するのが決まり。       もう家族全員郊外に避難してる。 避難先、知らないでしょ。 290李月 :動くなって言ってるでしょう! <貴に銃を向ける> 291貴  :こっちの台詞ね、それ。 右手で撃てる? 俺が先にお兄ちゃんを撃つけどいい?       そこまでの覚悟があるなら── 292李月 :……ッ! 293貴  :……そっちの、勝ちでいいよ。 リツキちゃん。       <溜息> 言ったでしょ、俺に人質の価値はないって。       二人程度ならこの通り。 何よりさぁ、一番上が優秀なんだ。 294侑李 :は、大層な自信だな。 295貴  :まあね。 だってさ、もう聞こえてんじゃん? <ヘリやパトカーが近付く。> 296礼良 :── <拡声器> 犯人に告ぐ。 近辺は既に包囲、突入準備も完了している。       直ちに武器を捨て、投降しなさい。 297貴  :<笑う> おぉ。 ラッキーだねキミら、ボスの声がする。 298侑李 :……ボス、って。 お前じゃないのか……? 299貴  :あれ? 俺がトップボスだと思ってたの?       まぁ年功序列ならそうなったかもしんないけど、違うんだよね。       チェスでも将棋でも、キングや王将は前に出さないでしょ。 300礼良 :<拡声器> 繰り返す。 直ちに武器を捨て、投降しなさい。 301貴  :俺達のボスは、今、投降しなさいって言ってるあの人。 302侑李 :……。 303貴  :──銃犯罪対策局特務捜査部隊、通称夜行班っていうんだ。 イヌは、別の班。       夜行ってのは百鬼夜行から取っててさ。 百鬼夜行、鬼、それと妖怪の群れ。       惜しかったんだし、折角頑張ったんだ。 名前だけでも覚えていってよ。 冥途の土産に。 304侑李 :<舌打ち、新たに拳銃を取り出す> 305礼良 :拳銃構え目視。 射撃許可。 306古都 :了、射撃します。 <銃声、侑李の拳銃を撃ち落とす。> 307侑李 :な、っ!? 308貴  :どこにでも現れて、どんな事件にも首突っ込んで。 そういう一番槍なんだ。 309杏実花:動くなぁッ! <李月を取り押さえる>       十九時四十九分、暴行罪及び銃刀法違反で緊急逮捕! 310貴  :精鋭なんだよ。       俺みたいな公安出身がいたり、スナイパーがいたり、こういう突撃部隊がいたり。 311修治 :十九時四十九分、こっちも暴行罪及び銃刀法違反で緊急逮捕! 312古都 :<無線> ──シュウ! タカさん無事ですか!? 313修治 :<無線> ──元気そう!       タカさん怪我ないっすか!? 314貴  :おー、大丈夫大丈夫。 助かったわ。 シュウもアミもすげーなあ。 315修治 :<無線> ──大丈夫だって! 見たトコ元気! すげーなーとか言ってる! 316古都 :<無線> ──よ、よかっ、よかったぁ…… <泣き出す> 317李月 :……、ふ、ふふ。 本気で、止めに来たんですね。 318貴  :勿論。 ──公安には百の鬼がいるって、よく覚えておきな。 <警察病院、個室。> 319礼良 :タカさん! 320貴  :おつかれーいらっ。 あはは、いやぁ焦った焦った、悪かったなぁ。 321礼良 :……全然焦ってる風に見えませんけど。 もうちっと被害者らしくして下さいよ。 322貴  :だって元気だし。 そりゃ焦るよ、嫁の職場と子供の幼稚園割れてんだもん。 323礼良 :ご家族の無事は確認してます。 十八時過ぎに従姉妹の家に着いたと連絡が。 324貴  :よかった、随分早く着いてたんだな。 325礼良 :ラインで話してる最中、急にタカさんの既読がつかなくなったからって仰ってましたよ。       <小声> 普段勤務中にどんだけラインしてんすか。 326貴  :内緒にして? 327礼良 :ま、今回は見逃しますけど……。 328貴  :そんで? 取り調べの方は。 329礼良 :素直に応じてるそうです。 名前は男がイトイユウリ、女がイトイリツキ。       双子の兄妹で、──要求は、銃刀法改正の反対派で交番銃撃事件を起こした、父親の開放。       明日の正午がタイムリミットでした。 330貴  :……あー……。 331礼良 :その交番銃撃事件の関係者が、河川敷で撃ち殺されたホームレスともう二人いて。       父親が実行役を押し付けられた、その報復も目的だったそうです。 今の所はこのくらいで。 332貴  :十分。 333礼良 :そうだ。 妹の方が、タカさんに。 334貴  :ん? 335礼良 :結局、自分達から父親を奪った暴力と、同じ暴力に頼ってしまった、と。 336李月 :──母が、私達が小さい頃に事故で死んで。       父はそこから少しずつ、おかしくなっていったんだと思います。       銃刀法改正のニュースを見ては怒鳴って、手当たり次第に物を投げつけて。       そういう環境から私を連れ出してくれたのが兄と、銃刀法改正反対派の人達でした。       コバヤカワさんを狙ったのは、交通機動隊だった兄が、憧れていた方だったと聞いてます。       ……きっと。 私達が無意識のうちに求めてた父親像だったんでしょう。       そういう、憧れに似たどうしようもない気持ちが、あったんだと思います。 337礼良 :……刑期が終わったら。 本人と、怖い思いをさせてしまったご家族に謝罪がしたい、って。 338貴  :馬鹿だなぁ。 そんなのいつになるか。 339礼良 :まあ、強盗殺人ですから……。 340貴  :父親と暮らしたいなら、銃の普及に反対するなら、手前らも持つなよ。 341礼良 :<苦笑する> 一時期程ではないですが、まだ多いっすね。 この手の話。 342貴  :そうね。 いやーしかし、お陰様で嫁も子供も移動に転園だ。 343礼良 :……。 344貴  :ボスがそんな顔するんじゃないよ。       あの二人、俺が室長だと思い込んでたんだ。 組織図が割れた訳じゃない。       元機動隊員ねー……、帰り道とか、つけられてたのかもね。 345礼良 :その辺も含めて、取り調べは勿論。 346貴  :当然。 あーなんだっけ、あの、ほら。 遊園地の馬鹿高ぇホテル?       行きたがってたし、アレで機嫌取れっかなぁ。 347礼良 :なんで俺に聞くんすか。 そういうのは女性陣かシズカに聞いてもらって。 348貴  :ええ? 女の子連れてったりしないの? 349礼良 :しませんし、…… <溜息>       そういう軽口叩ける元気があるなら、早くアイツらのトコ戻ってやって下さい。 350貴  :ええ? いや、レイラに 351礼良 :あとミカミって呼んで下さい。 352貴  :<笑う> んや、レイに心配掛けたなーって、元気なトコ見せようと思って。       これでも反省してんのよ? 353礼良 :フユはヘコんでるし、あとコトが。       いつも通りヘラヘラしてた癖に、二十メートル先の犯人の手元当てた後、       緊張しましたとか助かってよかったとか言いながら、ずーっとグズグズ泣いてんすよ。       俺運転しながらもう、気が気じゃなくて。 354貴  :おー……。 355礼良 :おーじゃなくて。 356貴  :<笑う> いや、コトからしたら二十メートル先なんて目と鼻の先でしょ。 357礼良 :そういう話でもなくて…… <溜息> タカさん。 358貴  :まだなんかあんのぉ? 泣かせたのは悪かったって。 359礼良 :今アンタの態度見てて、改めて思ったんですけど。 なんで夜行の室長、俺なんすか。 360貴  :そりゃ、お前の方が向いてるって上が 361礼良 :ただのフリーのSEと元SPと、どっちが室長に向いてるかなんて、 362貴  :お前が普通の、フリーのSEだったらな? お前の方が正論なんだけどね。 363礼良 :……。 364貴  :んはは。 ま、そんな気ぃ張るなって。       俺達は初動の遊撃部隊。 もっと気楽でいーのよ、気楽で。 <数時間後。夜行班、オフィス。> 365修治 :あ! レイさんレイさん、こっち! 見物っすよ! 366礼良 :お前元気だねえ、あんな大捕り物したっつーのに。 何? 367貴  :<テレビ電話> ──あっちゃんち楽しい? そう、パパも行きたかったなー。       何なに? ……レンくん、今メイちゃんがお話してるでしょ。 順番こにお話聞くから── 368礼良 :……お前ら、揃いも揃って覗き見って。 悪趣味。 369杏実花:シーッ! 今パパモードだから!       私服でああしてると、普通にショッピングモールとかにいそうなパパだよねー。 370古都 :ねー。 いいお父さんだよねぇ。 371杏実花:ね! フユー、機嫌直った? 372芙由 :直んない! タカさん私見た第一声、フユ無事じゃーん、よく寝た? だってよ!?       私不甲斐なさで超反省してたんだよ!? 超心配してたんだよ!? 373杏実花:はいはいはい。 二人共無事だったんだから、まずはそれでいーじゃんー。 374芙由 :そうなんだけど! ……そうなんだけど、私今回何もできなかったし! 375礼良 :あー……勤務中の不可抗力でお咎めはないんだから、 376芙由 :私の気持ちの問題! 377礼良 :そんなん自分でどうにかしろ。 378芙由 :きぃ! 室長が冷たい! 379貴  :<テレビ電話> ──ごーめーんー! 悪かったってー!       いや、いつも通り詳細も何も話せないんだけど、あ、ソコじゃない?       ……うん……そうだね、うん……ええー? いや、……はい……。       俺アヤノちゃんいなきゃ生きていけないもん……ねえーごめんってばー、       だから心配掛けたお詫びに今度泊まりで、イヤなの!? えー!? 380杏実花:お? なになになに? 旦那さんモード? 381修治 :いや、子供いなくなった途端奥さんがすげーガン詰めしてる……ちょっと怖い……。 382古都 :アヤノちゃんって奥さん? いなきゃ生きていけないって。 わー。 383礼良 :はいはいはい、ずらかるぞ独身共。 よそのご家庭を盗み見ちゃいけません。 384芙由 :うぅぅ、くそっ、毒気抜かれた……奥さんに滅茶苦茶怒られたらいいんだ、やーいやーい! 385杏実花:知ってる? タカさんの奥さん超美人なんだよ!       なんかー学生時代から付き合ってたんだって! エモくない!? 386修治 :いいなぁそういうの。 奥さんの写真とか見たんすか? 387杏実花:見た! 後で言って見せてもらいなよ! 388古都 :いーなー、結婚してからもちゃん付けしてくれる旦那さん、素敵だねぇ。 389礼良 :んっとにコイツらは……! 撤退! 散れ、散れ!       おとーちゃん大変なんだから! そっとしといてやれ! <独居房。覗き込む、班員を従えた慧。> 390慧  :──はい、こんにちは。 銃犯罪対策局、銃器取締部隊。       通称を跖狗班室長、ヨシオリです。 ああ、返事はいいからね。 391慧  :……知ってると思うけど。 強盗殺人の法定刑は死刑、または無期懲役のみ。       やらかしてくれたモンだ、民間の銃器輸送車を襲撃、だなんて。       でも、周辺の法整備も更に進むでしょう。 お陰様でね。       あの百鬼夜行の鬼は正(まさ)しく、表側の公安の血筋で、礼儀正しくて勤勉で。       あの子達が表沙汰に立ってくれるお陰で、また粋が良いのが入った。       歓迎するよ。 急襲部隊の血を引くカラスも──秘密警察の血を引く、私達イヌも。       後片付けには少々覚えがある。 私はどれだけ時間が掛かっても構わないよ。       いくらでも、付き合おう。 <独居房が開けられる音。> 392慧  :ほらほら、口が利ける程度で頼むよ。 今は人権だなんだ厳しいからねぇ。       申し訳ない。 跖狗吠尭(せきくはいぎょう)、日頃忠義を謳う我が班は少々。       鬼と比べて、行儀が悪い。 2025.2.4 初版 羽白深夜子 2025.2.11 更新 羽白深夜子 2025.3.4 更新 羽白深夜子 2025.3.29 更新 羽白深夜子 2025.4.13 更新 羽白深夜子
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