
◆兼役有配役表
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<サブマシンガンの銃声。>
001輸送1:<無線> ──なあ! 応援ってまだなのかよ!
002輸送2:<無線> ──もう呼んでる! 前がやられてるからお前の車が
<銃声。>
003輸送1:おい? おい! 生きてるか、返事しろ、……おい!
004侑李 :悠長だな。 そんなに無線が好きか?
<銃声。>
005侑李 :<死体を漁る> エムピー……よりによってコレかよ。
006李月 :でもナインミリならグロックでも使える。
007侑李 :そりゃそうだけど。 ……装備も杜撰(ずさん)、統率も取れてない、戦闘の基礎も知らない。
都心部とはいえ民間はまだこんなもんか。
008李月 :サブマシンガンが出回ってるなんて、驚いたけどね。
009侑李 :まあ、いくらか足しにはなったか。 イヌは。
010李月 :来てない。
011侑李 :よし。 ──行くぞ。
<住宅街裏。>
012芙由 :この辺りですかー? 通報が入ったのって。
013貴 :そう、なんだけど……こりゃイタズラか誤通報かなあ。
014芙由 :ですよねえ。 さっきの襲撃で規制対象になってる地域だし、……
<小声> タカさん、足音。
015李月 :<曲がり角から飛び出す> 警察の方!? 助けて下さい!
016貴 :フユ、保護! そのまま退避!
017芙由 :待って、何かおかし── <スタンガンの音>
018貴 :は!? フユ!?
<サブマシンガンの銃声。貴、建物の影に隠れる。>
019貴 :くっそ……! <自身の拳銃に手を掛ける>
020侑李 :<貴に真正面からサブマシンガンを突きつける>
元警視庁警備局公安課、コバヤカワタカで間違いないな。
021貴 :銃を下ろせ。
022侑李 :左を見て、状況が理解できたら両手を上げろ。
<気絶した芙由に、銃を突きつける李月。>
023貴 :……さっきのお姉さん、グルだったの。
024侑李 :彼女を今すぐ殺しはしない。 お前の言動次第だ。
025貴 :ご丁寧にどうも。 で、どうしようって? さっき言ってた通り、俺警備局出身よ?
……流石に、サブマシンガンを相手にした事はないけど。
026侑李 :A&Sワールドホールディングス人事部、コバヤカワアヤノ。
シラカワ幼稚園さくら組コバヤカワメイ、わかば組コバヤカワレンヤ。
お前の家族の調べはついている。
027貴 :だから大人しくしろって?
028侑李 :目的さえ果たせたら、家族の安全は保障する。
029貴 :え? 会いに行ってパパのお友達です、とか言うの?
030侑李 :これ以上、お前が時間を稼ごうとするなら。
<サブマシンガンを芙由に向ける> お前と彼女を、蜂の巣にした後で。
031貴 :……、わーかった、わかったよ。 そっちの彼女の安全も保障してね。 <両手を上げる>
032侑李 :ああ。 拳銃と無線機を足元に置け、無線はジャミングしている。
033貴 :そうね、でも俺がいる場所は割れてる。 他の警官も急行してると思うけど。
034侑李 :だから。 <サブマシンガンを貴に向ける> こっちは急いでるんだ。
<夜行班、オフィス。>
035礼良 :あれ? 何、タカさんいねえの。
036杏実花:フユとパトロールに出てるよん。
てかレイ顔やばぁ! ちょっとぉ大丈夫ー?
037礼良 :あぁ何? やべ、寝起きにお前みたいなギャルちょっときちぃ。
038杏実花:きちぃって何が!? 顔!?
039礼良 :いや声。
040杏実花:あぁ声ね! ちょ、普通に失礼じゃね!?
041修治 :レイさん起きました? さっき仮眠室覗いてビビりましたよ、死体が寝てんのかと思った。
042古都 :顔色真っ青ですよぉ。 大丈夫なんですかぁ?
043礼良 :大丈夫大丈夫、飯食ってねえだけだから。
昨夜色々やっててさ。 悪い、朝礼の後から記憶飛んでる。
044修治 :えー? 色々って、レイさん何してたんすかー?
045礼良 :お前が考えてるような色々じゃねえよ。 参ったな、書類で聞きてえ事あったんだけど。
<無線> ──タカさん何時頃戻ります? ……って、あ?
046修治 :どうしました?
047杏実花:無線?
<無線> ──フユー? 聞こえてたら返事して?
048礼良 :……さっきの、武器輸送車襲撃。 どこだったっけ。
049古都 :市内南部、シミズノの辺りですね。
050礼良 :<無線> ──本部。 シミズノの武器輸送車襲撃、続報ありますか。
班員二名、周辺の不審者通報対応に向かったまま連絡がつかない。
051修治 :フユまた無線外してたりして。
052杏実花:でもタカさんと一緒なんだよね? 両方連絡つかない?
<機械音。>
053修治 :へ。
054礼良 :……、短機関銃の発砲?
055杏実花:これシミズノじゃん! ヤバない!?
056礼良 :…… <無線> ──了解。 夜行班向かいます。
外部通信がジャミングされてる。 で、この発砲通知。
057修治 :俺見に行ってきます!
058杏実花:私も行く! レイとコト、ここ任せてい?
059古都 :はーい、行ってらっしゃーい。
060礼良 :あぁうん、無線しばらく使えないから気をつけろー。
061古都 :パトロールの二人、大丈夫ですかね。
062礼良 :<溜息> ……GPS、動いてねえよな、コレ。
<車内。(運転席に侑李、後方座席に貴と李月。)>
063貴 :……あぁ? あー、……びっくりした。 すごいね、麻酔ガスまで持ってんの。
064侑李 :お前は拘束されている、大声を出すな。
065貴 :わかってまーす。 残念だけどお兄さん方、俺に人質の価値はないよ。
066侑李 :俺達が決める事でお前が判断する事じゃない。
067貴 :それはそう。 でも一応言っておかなきゃいけなくてさ。
はいはい、尋問でもなんでもご随意に。 大人しくしてるよ。
068侑李 :GPSの発信機も捨てたからな。
069貴 :バレちゃったか。 おー、思ったより頭回らなくなるモンだな、ちょっと困った。
070侑李 :<溜息> ……それでもまだ、口が回るとは。
071貴 :どうも。 ふうん、二人っきり? 度胸あるね。
お姉さんも退屈でしょ。 ちょっと三人でお喋りしよ。
072李月 :……私達の身元が割れない程度なら、いいですよ。
073侑李 :おい。
074李月 :黙ったままでも喋っていても。 行く宛てもやる事も、特に変わらないでしょう。
それとも、私がベラベラ喋るとでもお思いで?
075侑李 :……そこまで言ってないだろ。
076貴 :<笑う> ね、お姉さんもこう言ってる事だし!
俺は家族まで割れちゃってるんでしょ、うーん同等の情報……
そうだな、まずは銃の入手先と目的地、でどう?
077李月 :武器輸送車を襲撃しました。 十時三十七分、シミズノ、サクラザカ交差点付近の襲撃です。
その襲撃と近かったから、通報に駆けつけて下さったんですよね?
078貴 :まあね。 へえ、さっきの十字路での分断といい、手慣れてんね。
079李月 :恐れ入ります。 目的地は私達の報復先です。
080貴 :物騒だなー。 もっと楽しいトコにしよーよ。
081李月 :<笑う> 私からも、お聞きしていいですか?
082貴 :どーぞ、何々?
083李月 :コバヤカワさんは、「イヌ」の捜査員の方ですか?
<警察病院、個室。>
084芙由 :……あれ、……タカさんッ!
085礼良 :おはよー。 大丈夫か。
086芙由 :レイ、レイどうしよう、タカさん無事!?
087礼良 :元気そうじゃん。 先に現状聞け。
ここは警察病院、お前はシミズノ住宅街東で、ガスか何かで気絶してるトコを保護された。
タカさんは安否不明。 はい、あなたのお名前言えますか。
088芙由 :ふ、フユ……だけど! 違うガスじゃない、アレ改造スタンガンだと思う!
089礼良 :スタンガンだあ? ガス反応あったって聞いたけど。
じゃあ犯人の顔見てるんだな? 状況は?
090芙由 :えっと……サクラザカ交差点付近の発砲通知があって、その後の通報あったじゃない?
091礼良 :不審者の?
092芙由 :そう、それがその、……私達を誘き寄せる為? の通報だったみたいで。
私くらいの女性が逃げて来たと思ったらスタンガンで……
で、でも、私とタカさん、数メートル離れてた程度だったんだよ。
何かおかしいって思って私が足止めちゃって、タカさんがちょっと先行してて。
093礼良 :何がおかしかった?
094芙由 :逃げてた女性、足音が殆どしなかったんだよ。 だから私も出くわす直前に気付いて。
そういう靴を履いてたんだと思う、おかしいと思って声掛けて、そこまでしか覚えてない……。
095礼良 :わかった。 サトさんが来てくれるから、検査受けて、結果は無線で報告して。
096芙由 :全然動けるから、
097礼良 :動けても駄目。 改造スタンガンでやられたとか相当なんだけど?
098芙由 :う……。
099礼良 :ま、サトさんの許可が出たら合流って事で。
100芙由 :わかった……。 気を付けてね、ほんとに!
<車内。>
101貴 :──……黙秘しよっかな。 へー、イヌ? 何かのあだ名?
102李月 :違ったんですね、残念。 <笑いながら>
なら。 カラスか、鬼。 どちらかなんでしょうね。
103貴 :何それ、随分おっかない呼び方だね。
104侑李 :警備局移動以降、お前の動向が掴めなかった。
銃刀法改正に合わせて新設された、銃犯罪対策局への移動だと。
105貴 :俺がそんなご大層な場所に? まさかぁ。
106侑李 :随分自己評価が低いんだな。
キャリア組の中でも、最年少の警視正にと専らの噂だと聞いたが。
107貴 :どこでそんな事聞いてんの? いや、真面目に。
でも、簡単に漏れるようじゃその程度の話なのよ。
108侑李 :なら話題を変えるか。 銃刀法改正、どう思う?
109貴 :どうも何も、署内はどこも大変だって話。 毎日あっちこっちで発砲通知よ。
110侑李 :<失笑する> 気楽なモンだな。
111貴 :そりゃまあ、余程の事がないと発砲前は動けないし。
さっきも言ったけど、まさかサブマシンガンと対面するとは思ってなかったからさ。
そっちは? こういうヤンチャしようと思ったら銃持ててラッキーみたいなトコ、ある?
112侑李 :あるか馬鹿馬鹿しい。 治安維持だなんて体の良い言葉を使って、
要は関係諸国の圧力に負けた、それだけだろ。
113李月 :ねえ。 そこまでにして。
114侑李 :……悪い。
115貴 :あれ。 なんかごめんね、もしかして聞かない方がよかった?
116李月 :いいえ、最もなご感想だと思いますよ。 ほら、私達は結局、銃に頼っている訳ですから。
117侑李 :おい。
118李月 :違いますか? 暴力が手近になって、それを悪用している事には違いはありませんでしょ。
119貴 :んー……。 必要だと思ってるから、ああして銃を使ってるんだよね?
120李月 :はい。 今の私達には、銃が必要だと思っていますよ。
<車が停車する。>
121貴 :ん。 目的地、ここ?
122侑李 :一つ目は。 まあ、試し撃ちって所か。 準備。 <車を降りる>
123李月 :はい。 <窓を開ける>
124貴 :試し撃ち? え、窓開けんの?
125李月 :……アオナミ町の河川敷です。 まあ、見ればわかりますよね。
126貴 :うん。 随分移動したね……あの、ここってさ。
127李月 :<スマホを掲げる> 撮影します。
音声は入れませんが、お静かにお願いしますね。
128貴 :ホームレスの根城になってるトコだよね? その人達、……
そこのダンボールのお布団、撃つとか言わないでよ?
129李月 :元々、下町で工場を運営なさってる方でした。
二年前にあった交番への銃撃事件、覚えておいでですか。
130貴 :あれは犯人がもう逮捕されて、
131李月 :実行犯のみ逮捕、ですよね? その実行犯も黙秘を続けている。
132貴 :何言ってんの。
133李月 :首謀者は、あの男ですよ。
ああしてダンボールで雨風を凌いではいますが、長年心臓を病んでる方でして。
もう長くはないでしょう。 今も身動き一つなさらないでしょ。
134貴 :……なんでそんな事知ってんの?
135李月 :さあ。 どうしてでしょうね。
136侑李 :コバヤカワ警視、……元、警視だったか。 <ホームレスに銃を向ける>
137貴 :……は? おいマジか、おい! やめろ!
138李月 :大人しくなさって下さい。
139貴 :大人しく!? できる訳ねえだろ、こんなの見せられて!
140侑李 :銃刀法改正、治安維持の名の下に銃が出回った。
銃を持ててラッキー、なあ。 確かに、俺達は運が良かったのかもしれない。
まだ報復の手段があった。
141貴 :撃つな!
142侑李 :どうして。 何故所持はできて、撃ってはいけない?
二十二歳以上、今日まで犯罪歴はない。
精神鑑定、講習、試験、全てをクリアした上で正当に銃器の所持ライセンスを持ってる。
生活を壊されて、恨んで、報復の為にここにいる。
143貴 :おっさん! 寝てねえで起きろ! おい!
144侑李 :身を守る為、治安維持。 それとは順番が逆になっただけだ。
145貴 :くっそ……! <乗り出そうとする>
146李月 :ダメです、こればっかりは。 私達の本懐なんですから。
邪魔をしないで下さい。
147侑李 :お前ら警察だけが、銃を振りかざす時代は終わったんだろ。
<銃声。>
148慧 :レイ! あああ、よかった! 無事なの!
149礼良 :サトさん。
150慧 :大丈夫? 夜行が一人行方不明だって聞いてるけど。
151礼良 :タカさんっす。
152慧 :タカが!?
153礼良 :ああ、同期でしたっけ。 今フユ起きたんで、検査諸々頼んでいいっすか。
154慧 :勿論。 もう、昔から突っ走るタイプだとは思ってたんだけどねえ……。
アヤノちゃんに顔向けできないじゃない、私。
155礼良 :<苦笑する>
156慧 :それで、検査の前にコレ教えに来たの。 犯人から要求。 <タブレットを渡す>
157礼良 :……SNSで。
158慧 :ダイレクトメールで届いて、公開はされてない。
159礼良 :……。 ホームレスの銃殺動画って。 趣味わりぃな。
160慧 :当然開示は間に合わないでしょ、うちの子が諸々追ってはいるんだけど、間に合うかどうかも。
161礼良 :これ、動画。 アオナミ町の河川敷っすね。
162慧 :え。 よくわかったね。
163礼良 :他の事はサッパリですけどね。 映ってる男が若いって、そのくらいか。
俺にもメッセージと動画両方送って下さい。 解析って進んでますか。
164慧 :うちの子が同時進行でやってる。
165礼良 :わかりました。 こっちでも追います、何かわかったら無線の
166慧 :タカがいないんでしょう。 うちの子達、いや、カラスから何人か回してもらう?
167礼良 :サトさん、あのね。 いつまで対策局のオカンやってるんすか。
168慧 :老婆心なのはわかってるのよ。 でも……夜行はその、スカウトの子が多いでしょ。
169礼良 :俺もなんですけどね。
170慧 :甘く見てるとか、悪く言いたいわけじゃないのよ。
171礼良 :それはわかってますよ。
172慧 :単純に場数の話なの、うちもカラスも警察内部の子が多いから。 ほら、よりによってタカが、
173礼良 :室長様がそんな焦んないで下さいよ。 あ、でも甘やかしてもらえるんなら。
コトにめっちゃいいヤツ、お願いします。
174慧 :……あのねえ。 まあ、私が言い出したんだものね。
怒られたらレイの名前出すからね!
175礼良 :はいはーい。
── <無線> シュウ、アミ、犯人から接触があった。 アオナミ町方面。
高速に乗る可能性がある。 どっちかカラスの無線入って、連携して。
……このままじゃ、鬼の名が廃る。
<車内。>
176貴 :……お兄さんさ。 銃、訓練受けてるよね。
177侑李 :ああ。 まぁ……このくらいは、明かしてやってもいいか。
<ミラー越しに貴に敬礼して見せる> 元交通機動隊、特殊任務班であります。
178貴 :え、えっ?
179侑李 :<失笑する> 退職してるがな。 お疲れ様です、コバヤカワ元警視。
180貴 :……だから、俺が警視だったの知ってたのか。
運転も上手い訳だ、身内かよ。 俺一生懸命しらばっくれてたの馬鹿みたいじゃん。
181侑李 :そうだな。 生憎公安周りは詳しくなくてな、ご指導賜れたらありがたかったんだが。
仕事は我々で済ませますので、警視はお休みになって下さい。
182貴 :全然休まらないんだけど。 ……まさかお姉さんの方も、関係者とは言わないよね。
183李月 :<苦笑する> 私は元看護師ですよ。
184貴 :そうなんだ。 いー感じの動画は撮れた?
185李月 :お陰様で。
186侑李 :要求と共に送付済だ。 あとは、あちらの出方次第だな。
187貴 :その要求って、俺も聞いていい?
188侑李 :お前には関係ない。
189貴 :なんだよ、人の事攫っておいて。 まあ聞けるとは思ってないけどさ。
<警察署駐車場。>
190慧 :コト!
191古都 :あ、サトさん。 こんにちは、お久しぶりです。
192慧 :<溜息> はい、こんにちは。 あんたほんっともう、マイペースなんだから。
193古都 :……。 えっと。
194慧 :……そんな訳ないよね、緊張してるか。 ごめんごめん。
195古都 :いや、あー……。
情報集まってるし、みんな動いてるし、その、タカさんだもん。 きっと大丈夫です!
196慧 :そ? いつもみたいにのほほんとしてる感じでもなさそうだったからさ。
197古都 :あー……。 あはは。
跖狗(せきく)班の人達も、色々調べてくれてるんですよね?
198慧 :やってるやってる。 でもそっか、コトでも緊張とかするんだね。
持ってきて丁度良かったかもしんない。
199古都 :何を?
200慧 :ちょっと後ろのドア開けるからね、差し入れ! おにぎりと唐揚げ。
201古都 :おにぎり? 唐揚げ?
202慧 :前にシュウジにご馳走してあげるって約束してたのよ。 今アミカと出てるんでしょう?
で、こっちが温かいお茶が入ってる水筒。 回し飲みが嫌なら紙コップ使ってね。
こんなにバタバタ走り回って、お腹空いちゃうでしょ?
持って行って、道中つまみなさい。 で、終わったらみんなで食べる。
203古都 :わーやったぁ! どこで買った唐揚げなんですか?
204慧 :馬鹿言わないでよ、私が揚げたのよ。
205古都 :ええ?
206礼良 :……母ちゃん、何してんすか。 俺らこれから制圧なんですけど。
207慧 :レイ、あんたはコレ。 ツナと炒り卵の入ってるおにぎりだからね、美味しいわよ!
んもう、そんな顔色悪くして! 車乗ったらすぐ食べなさい!
208礼良 :はあ……ちょっと夢見が悪かっただけなんで。 あざす。
209慧 :ありがとうございます、でしょ!
跖狗班の子達ね、調査だったり監視業務だったり、みーんな気ぃ抜くと
パソコンに齧りついちゃうの。 いっつも冷蔵庫に下味冷凍置いてんのよ。
さっき慌てて揚げたんだから。 あとね、こっちもとっておき。
210礼良 :はい?
211慧 :申請出しといたから、コレも持って行きなさい。
212古都 :……え、え? それもしかして!
213慧 :あんたといえばコレじゃないの、レミントン七百。
この銃とあんたの腕があれば、千ヤード先も撃てるんでしょ?
214古都 :勿論! いいんですか!? ありがとうございます!
215慧 :いいも何も。 メダル持ってるアンタ以上に、この銃が適任な女なんて。
署内どころか、国内にもいないんだから。 タカの事頼んだよ。
216古都 :はい!
217礼良 :……いや、俺が頼みはしたんだけど。
おにぎりと唐揚げと同じノリで、ライフル持ち出さないでもらえます……?
218慧 :<笑う> ほら! ごちゃごちゃ言ってないで、乗った乗った! 制圧なんでしょ!
219礼良 :はいはいはい……。 じゃ。
220慧 :勢揃いで帰るの、私達待ってるからね。 行ってらっしゃい!
<発進する。>
221礼良 :いや、マジの母ちゃんじゃん。 ……んでおにぎり美味っ。
<車内。>
222李月 :食事、お持ちしましたよ。
223貴 :……んぁ?
224李月 :<貴の手錠を外し、おにぎりを渡す>
店舗には入れないので、私が作ったおにぎりになりますが。
225貴 :……。 <唖然として李月を見る>
226李月 :<苦笑する> 食べたくは、ありませんよね。
もう一つありますので、半分を私に下さい。 そうすれば何も入っていない証明になりますか。
<話しながら、貴の持つおにぎりを二つに割り片方を貴に渡す>
227貴 :あ、ああ、うん……どうもありがと。 もう一人の彼は。
228李月 :給油と煙草休憩です。 お気になさらず。
229貴 :手厚いね、びっくりしちゃった。 彼には怒られない?
230李月 :提案した時は怒っていましたよ。 でも説得しました。
今日の私達の行動が、間違った手段である事に弁明はありませんが。
私達は、あなたの人権とか権利とか、そういうものを蔑ろにしたい訳ではありません。
231貴 :……そ。 <おにぎりを頬張る> うま。 梅干し入ってんの。
232李月 :祖母が漬けた梅干しです。
233貴 :へぇ、美味いよ。 お祖母様にも伝えて。 もう一個もらえる?
234李月 :はい。 <おにぎりを割ろうとする>
235貴 :あ、そのままじゃダメ?
236李月 :一つ? ですか。
237貴 :うん。 何も入れてないんだろ? これから長くなるならもらっておきたいんだけどな。
お姉さんが食べる分がなくなる?
238李月 :別で用意していますから、心配しなくて大丈夫です。
……男性は、おにぎりが一つと半分では物足りないですよね。 申し訳ないです。
239貴 :いやいや何言ってんの! こんな美味いモン、食わせてもらえるなんて思わなかったよ。
……困ったな。 一人なら、何とか口説き落とそうと思ってたんだけどね。
240李月 :ええ、私の説得は無駄です。
241貴 :だよねぇ……。 大丈夫、そこまで野暮じゃない。
ほら、食べ終わったから。 ご馳走様、ちゃんと手錠掛けな。 <両手を差し出す>
242李月 :……ご配慮痛み入ります。 <貴に手錠を掛け直す>
足の方も、違和感がありましたら教えて下さいね。
243貴 :ねえ。 報復とやらは、まだ続けるの。
244李月 :はい、続けますよ。 本気ですから、だからこそフェアじゃないと。
245貴 :……俺には娘がいるって知ってるよね。 だから、
246李月 :そう、だからこそ。 ──私もどこかの誰かの娘だ、って。
そう思われるなら、コバヤカワさんも本気で止めて下さい。 私達を。
247貴 :……わかった。
<李月、車を降りて施錠する。>
248貴 :わかったよ。
<パトカー内。>
249修治 :<無線> ──とりあえずカラス、烏有(うゆう)班からの提案はこんな感じっす。
何かあれば俺、あっちの無線入って伝えてきますけど。
てか、逃走車両ってこんなに早く特定されるモンなんすか、ヤバいっすね。
250礼良 :車両特定したのはサトさんトコ、跖狗班だけどな。
251杏実花:<無線> ──でもーカラスも逃走経路とかめっちゃ割り出してたし!
鎮圧部隊っていうからもっとゴリゴリ脳筋系だと思ってた!
252礼良 :その辺もカラスって呼び方の由来だよ。 あっちは室長がエスエーティー上がりだからな。
253杏実花:<無線> ──カラスってめっちゃ頭良い鳥なんだっけ、成程ねー!
254礼良 :アミお前、エスエーティーとエスアイティーごっちゃになってない?
烏有班の室長は急襲部隊、サットの方な? 夜間作戦が得意で……。 <溜息>
255杏実花:<無線> ──あれ? あはは! いつもごっちゃになっちゃうんだよねえ!
256修治 :<無線> ──俺もよくわかってないです! 後で教えて下さい!
257礼良 :お前らがあちらさんに迷惑掛けてねえかすげー不安なんだけど……。
258修治 :<無線> ──でも俺ら、そんなすげートコから突入任されたんすね! 気合入れよ!
259杏実花:<無線> ──んね! マジやばーい超頑張ろー!
260古都 :すごーい。 私達も頑張らないとですねえ。
261礼良 :まあ、落とし前は手前らでつけろって話なんだろな。
頑張ろうっつーか、もうちょっと緊張感っつーモンを持ってくれ……。
もう十分もしねえうちに、ポイント入るんだからよ。 コト、そろそろ準備しろ。
262古都 :はぁーい。
263礼良 :お前が要になる。 頼むぞ。
<廃工場裏。>
264貴 :<伸びながら> あーあ、腰痛ぇ……ここ? 次の目的地。
265侑李 :中継だ。 車を取り替える。
266貴 :成程ね! ちょっと、歩くの早いよ。 引っ張らないでくれる?
267侑李 :こっちは急いでるんだよ。
268貴 :もー。 エスコートしてもらうなら、お姉さんの方がよかったんだけどな。 ねえ?
269李月 :<苦笑する>
270貴 :ところで、今何時?
271侑李 :十九時半になるな。
272貴 :ああ、もうそんな時間か。
<貴、侑李の手元を引っ手繰り、背後の李月の足元付近を撃つ。>
273侑李 :リツキ!
274貴 :はい動かなーい。 俺もさ、やっぱ女の子を撃ちたくはないから。
275侑李 :っ、お前 <貴に腹部を殴られる>
276李月 :お兄ちゃんッ!
277貴 :グロックかぁ、いいね。 <上空に向けて二発撃ち、侑李に銃を向ける>
さて、形勢逆転かな。 そっかそっか、お兄ちゃんだったのか。
278侑李 :リツキ、逃げろ!
279貴 :こういう手錠って時間掛ければ、あっさり外れるモンだよ。 知らなかった?
悪いね。 俺さ、門限とっくに過ぎてんの。
280李月 :動かないで! <貴に銃を向ける>
281侑李 :リツキ!
282貴 :家族まで調べてもさ、流石にお家ルールまでは調べないっしょ。
知ってる? 公安って家族に仕事明かせないんだ。
プロポーズの時、俺自身の命どころか、キミや家族にも命の危険が及ぶ仕事だって、
それしか言えなかった。 それでもついてきてくれたんだ。 できた嫁なんだよ。
283李月 :動くな!
284貴 :リツキちゃんだっけ? 利き手、左なんだ。
<貴、李月の左腕を撃つ。>
285李月 :<悲鳴>
286侑李 :止めろ! 撃つな!
287貴 :<侑李に銃を向ける> どうして。 キミと同じ事してるだけでしょ。
キミ達は、俺の静止命令もさっきの威嚇射撃も無視した、殺人犯。 違った?
288侑李 :……。
289貴 :これじゃまるで俺が悪役だな。 まあ続きも聞いてよ、ウチのお家ルールってヤツ。
毎日十七時までに俺の連絡がなければ緊急事態。 すぐに避難するのが決まり。
もう家族全員郊外に避難してる。 避難先、知らないでしょ。
290李月 :動くなって言ってるでしょう! <貴に銃を向ける>
291貴 :こっちの台詞ね、それ。 右手で撃てる? 俺が先にお兄ちゃんを撃つけどいい?
そこまでの覚悟があるなら──
292李月 :……ッ!
293貴 :……そっちの、勝ちでいいよ。 リツキちゃん。
<溜息> 言ったでしょ、俺に人質の価値はないって。
二人程度ならこの通り。 何よりさぁ、一番上が優秀なんだ。
294侑李 :は、大層な自信だな。
295貴 :まあね。 だってさ、もう聞こえてんじゃん?
<ヘリやパトカーが近付く。>
296礼良 :── <拡声器> 犯人に告ぐ。 近辺は既に包囲、突入準備も完了している。
直ちに武器を捨て、投降しなさい。
297貴 :<笑う> おぉ。 ラッキーだねキミら、ボスの声がする。
298侑李 :……ボス、って。 お前じゃないのか……?
299貴 :あれ? 俺がトップボスだと思ってたの?
まぁ年功序列ならそうなったかもしんないけど、違うんだよね。
チェスでも将棋でも、キングや王将は前に出さないでしょ。
300礼良 :<拡声器> 繰り返す。 直ちに武器を捨て、投降しなさい。
301貴 :俺達のボスは、今、投降しなさいって言ってるあの人。
302侑李 :……。
303貴 :──銃犯罪対策局特務捜査部隊、通称夜行班っていうんだ。 イヌは、別の班。
夜行ってのは百鬼夜行から取っててさ。 百鬼夜行、鬼、それと妖怪の群れ。
惜しかったんだし、折角頑張ったんだ。 名前だけでも覚えていってよ。 冥途の土産に。
304侑李 :<舌打ち、新たに拳銃を取り出す>
305礼良 :拳銃構え目視。 射撃許可。
306古都 :了、射撃します。
<銃声、侑李の拳銃を撃ち落とす。>
307侑李 :な、っ!?
308貴 :どこにでも現れて、どんな事件にも首突っ込んで。 そういう一番槍なんだ。
309杏実花:動くなぁッ! <李月を取り押さえる>
十九時四十九分、暴行罪及び銃刀法違反で緊急逮捕!
310貴 :精鋭なんだよ。
俺みたいな公安出身がいたり、スナイパーがいたり、こういう突撃部隊がいたり。
311修治 :十九時四十九分、こっちも暴行罪及び銃刀法違反で緊急逮捕!
312古都 :<無線> ──シュウ! タカさん無事ですか!?
313修治 :<無線> ──元気そう!
タカさん怪我ないっすか!?
314貴 :おー、大丈夫大丈夫。 助かったわ。 シュウもアミもすげーなあ。
315修治 :<無線> ──大丈夫だって! 見たトコ元気! すげーなーとか言ってる!
316古都 :<無線> ──よ、よかっ、よかったぁ…… <泣き出す>
317李月 :……、ふ、ふふ。 本気で、止めに来たんですね。
318貴 :勿論。 ──公安には百の鬼がいるって、よく覚えておきな。
<警察病院、個室。>
319礼良 :タカさん!
320貴 :おつかれーいらっ。 あはは、いやぁ焦った焦った、悪かったなぁ。
321礼良 :……全然焦ってる風に見えませんけど。 もうちっと被害者らしくして下さいよ。
322貴 :だって元気だし。 そりゃ焦るよ、嫁の職場と子供の幼稚園割れてんだもん。
323礼良 :ご家族の無事は確認してます。 十八時過ぎに従姉妹の家に着いたと連絡が。
324貴 :よかった、随分早く着いてたんだな。
325礼良 :ラインで話してる最中、急にタカさんの既読がつかなくなったからって仰ってましたよ。
<小声> 普段勤務中にどんだけラインしてんすか。
326貴 :内緒にして?
327礼良 :ま、今回は見逃しますけど……。
328貴 :そんで? 取り調べの方は。
329礼良 :素直に応じてるそうです。 名前は男がイトイユウリ、女がイトイリツキ。
双子の兄妹で、──要求は、銃刀法改正の反対派で交番銃撃事件を起こした、父親の開放。
明日の正午がタイムリミットでした。
330貴 :……あー……。
331礼良 :その交番銃撃事件の関係者が、河川敷で撃ち殺されたホームレスともう二人いて。
父親が実行役を押し付けられた、その報復も目的だったそうです。 今の所はこのくらいで。
332貴 :十分。
333礼良 :そうだ。 妹の方が、タカさんに。
334貴 :ん?
335礼良 :結局、自分達から父親を奪った暴力と、同じ暴力に頼ってしまった、と。
336李月 :──母が、私達が小さい頃に事故で死んで。
父はそこから少しずつ、おかしくなっていったんだと思います。
銃刀法改正のニュースを見ては怒鳴って、手当たり次第に物を投げつけて。
そういう環境から私を連れ出してくれたのが兄と、銃刀法改正反対派の人達でした。
コバヤカワさんを狙ったのは、交通機動隊だった兄が、憧れていた方だったと聞いてます。
……きっと。 私達が無意識のうちに求めてた父親像だったんでしょう。
そういう、憧れに似たどうしようもない気持ちが、あったんだと思います。
337礼良 :……刑期が終わったら。 本人と、怖い思いをさせてしまったご家族に謝罪がしたい、って。
338貴 :馬鹿だなぁ。 そんなのいつになるか。
339礼良 :まあ、強盗殺人ですから……。
340貴 :父親と暮らしたいなら、銃の普及に反対するなら、手前らも持つなよ。
341礼良 :<苦笑する> 一時期程ではないですが、まだ多いっすね。 この手の話。
342貴 :そうね。 いやーしかし、お陰様で嫁も子供も移動に転園だ。
343礼良 :……。
344貴 :ボスがそんな顔するんじゃないよ。
あの二人、俺が室長だと思い込んでたんだ。 組織図が割れた訳じゃない。
元機動隊員ねー……、帰り道とか、つけられてたのかもね。
345礼良 :その辺も含めて、取り調べは勿論。
346貴 :当然。 あーなんだっけ、あの、ほら。 遊園地の馬鹿高ぇホテル?
行きたがってたし、アレで機嫌取れっかなぁ。
347礼良 :なんで俺に聞くんすか。 そういうのは女性陣かシズカに聞いてもらって。
348貴 :ええ? 女の子連れてったりしないの?
349礼良 :しませんし、…… <溜息>
そういう軽口叩ける元気があるなら、早くアイツらのトコ戻ってやって下さい。
350貴 :ええ? いや、レイラに
351礼良 :あとミカミって呼んで下さい。
352貴 :<笑う> んや、レイに心配掛けたなーって、元気なトコ見せようと思って。
これでも反省してんのよ?
353礼良 :フユはヘコんでるし、あとコトが。
いつも通りヘラヘラしてた癖に、二十メートル先の犯人の手元当てた後、
緊張しましたとか助かってよかったとか言いながら、ずーっとグズグズ泣いてんすよ。
俺運転しながらもう、気が気じゃなくて。
354貴 :おー……。
355礼良 :おーじゃなくて。
356貴 :<笑う> いや、コトからしたら二十メートル先なんて目と鼻の先でしょ。
357礼良 :そういう話でもなくて…… <溜息> タカさん。
358貴 :まだなんかあんのぉ? 泣かせたのは悪かったって。
359礼良 :今アンタの態度見てて、改めて思ったんですけど。 なんで夜行の室長、俺なんすか。
360貴 :そりゃ、お前の方が向いてるって上が
361礼良 :ただのフリーのSEと元SPと、どっちが室長に向いてるかなんて、
362貴 :お前が普通の、フリーのSEだったらな? お前の方が正論なんだけどね。
363礼良 :……。
364貴 :んはは。 ま、そんな気ぃ張るなって。
俺達は初動の遊撃部隊。 もっと気楽でいーのよ、気楽で。
<数時間後。夜行班、オフィス。>
365修治 :あ! レイさんレイさん、こっち! 見物っすよ!
366礼良 :お前元気だねえ、あんな大捕り物したっつーのに。 何?
367貴 :<テレビ電話> ──あっちゃんち楽しい? そう、パパも行きたかったなー。
何なに? ……レンくん、今メイちゃんがお話してるでしょ。 順番こにお話聞くから──
368礼良 :……お前ら、揃いも揃って覗き見って。 悪趣味。
369杏実花:シーッ! 今パパモードだから!
私服でああしてると、普通にショッピングモールとかにいそうなパパだよねー。
370古都 :ねー。 いいお父さんだよねぇ。
371杏実花:ね! フユー、機嫌直った?
372芙由 :直んない! タカさん私見た第一声、フユ無事じゃーん、よく寝た? だってよ!?
私不甲斐なさで超反省してたんだよ!? 超心配してたんだよ!?
373杏実花:はいはいはい。 二人共無事だったんだから、まずはそれでいーじゃんー。
374芙由 :そうなんだけど! ……そうなんだけど、私今回何もできなかったし!
375礼良 :あー……勤務中の不可抗力でお咎めはないんだから、
376芙由 :私の気持ちの問題!
377礼良 :そんなん自分でどうにかしろ。
378芙由 :きぃ! 室長が冷たい!
379貴 :<テレビ電話> ──ごーめーんー! 悪かったってー!
いや、いつも通り詳細も何も話せないんだけど、あ、ソコじゃない?
……うん……そうだね、うん……ええー? いや、……はい……。
俺アヤノちゃんいなきゃ生きていけないもん……ねえーごめんってばー、
だから心配掛けたお詫びに今度泊まりで、イヤなの!? えー!?
380杏実花:お? なになになに? 旦那さんモード?
381修治 :いや、子供いなくなった途端奥さんがすげーガン詰めしてる……ちょっと怖い……。
382古都 :アヤノちゃんって奥さん? いなきゃ生きていけないって。 わー。
383礼良 :はいはいはい、ずらかるぞ独身共。 よそのご家庭を盗み見ちゃいけません。
384芙由 :うぅぅ、くそっ、毒気抜かれた……奥さんに滅茶苦茶怒られたらいいんだ、やーいやーい!
385杏実花:知ってる? タカさんの奥さん超美人なんだよ!
なんかー学生時代から付き合ってたんだって! エモくない!?
386修治 :いいなぁそういうの。 奥さんの写真とか見たんすか?
387杏実花:見た! 後で言って見せてもらいなよ!
388古都 :いーなー、結婚してからもちゃん付けしてくれる旦那さん、素敵だねぇ。
389礼良 :んっとにコイツらは……! 撤退! 散れ、散れ!
おとーちゃん大変なんだから! そっとしといてやれ!
<独居房。覗き込む、班員を従えた慧。>
390慧 :──はい、こんにちは。 銃犯罪対策局、銃器取締部隊。
通称を跖狗班室長、ヨシオリです。 ああ、返事はいいからね。
391慧 :……知ってると思うけど。 強盗殺人の法定刑は死刑、または無期懲役のみ。
やらかしてくれたモンだ、民間の銃器輸送車を襲撃、だなんて。
でも、周辺の法整備も更に進むでしょう。 お陰様でね。
あの百鬼夜行の鬼は正(まさ)しく、表側の公安の血筋で、礼儀正しくて勤勉で。
あの子達が表沙汰に立ってくれるお陰で、また粋が良いのが入った。
歓迎するよ。 急襲部隊の血を引くカラスも──秘密警察の血を引く、私達イヌも。
後片付けには少々覚えがある。 私はどれだけ時間が掛かっても構わないよ。
いくらでも、付き合おう。
<独居房が開けられる音。>
392慧 :ほらほら、口が利ける程度で頼むよ。 今は人権だなんだ厳しいからねぇ。
申し訳ない。 跖狗吠尭(せきくはいぎょう)、日頃忠義を謳う我が班は少々。
鬼と比べて、行儀が悪い。
2025.2.4 初版 羽白深夜子
2025.2.11 更新 羽白深夜子
2025.3.4 更新 羽白深夜子
2025.3.29 更新 羽白深夜子
2025.4.13 更新 羽白深夜子
あくまで目安のご提示です。参加される方で調整してご利用下さい。
■男性役(男性三名の時)==========
小早川貴(輸送1or2)
犬飼修治・糸居侑李
三上礼良(輸送1or2)
■男性役(男性四名の時)==========
小早川貴(輸送1or2)
犬飼修治(輸送1or2)
三上礼良(輸送1or2)
糸居侑李
■女性役==================
風早古都(輸送1or2)
朝地芙由・由織慧(輸送1or2)
舘杏実花・糸居李月
※「糸居侑李」役「糸居李月」役を兼ねる場合、
306~318は「犬飼修治」役「舘杏実花」役の台詞を優先して下さい。