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【付喪神の件 三話】 (つくもがみのくだん さんわ) 男性2人:女性2人。 これまでのあらすじ:付喪神、ご飯を食べた。 有償版販売ページはこちら。 【高野 里歌(たかの りか)】 16歳、高校一年生。流歌の双子の姉。 流歌より社交的だが学校の成績は悪い。ギャルっぽい見た目で厚化粧。 国を問わずお伽噺や古典文学が大好き。周囲には隠している。 流歌と同じ学校の文系のクラスで授業を受けており、将来の夢は翻訳家。 高校卒業後に留学をしたいと思っている。 ​ 【高野 流歌(たかの るか)】 16歳、高校一年生。里歌の双子の弟。 里歌より学校の成績が良いが内向的。休み時間も黙々と勉強している。 天体が好きで、将来は数学者を目指している。 里歌と同じ学校の理系のクラスで授業を受けており、将来の夢は数学者。 【空木(うつぎ)】 鏡の付喪神。女性型。 前の持ち主の所にいた際欠けた事で、人間の情を取り込み欠けた箇所を 補おうとした過去があり、人の心を読む事ができる。 現と空木は対の鏡として置かれていたものの、空木は人の情まで映してしまい 本来鏡に映らない筈の物が映り気味悪がられ、目利きの骨董品屋を転々としてきた。 【現(うつつ)】 鏡の付喪神。男性型。 空木の様な欠けはなく、人間の真似が上手い。とにかく器用。 空木が上記の通り人の情を映してしまう為、過去現の鏡だけを買いたがる客がいたが、 空木と離れる事を厭い空木を真似、こちらも本来鏡に映らない物を映してきた事で 結局空木と一緒に目利きの骨董品屋を転々としてきた。 【配役表】 高野里歌: 高野流歌: 空木  : 現   : ======================================= 001流歌:奇妙な同居人ができた次の日。 002現 :おはよう、ルカ! 003流歌:その同居人は、テレビを見ながらキッチンに立ち。      器用にオムレツなんぞを作っていた。 <キッチン。ご機嫌でオムレツを作る現。> 004流歌:……えーっと。 何してんの。 005現 :返答の前に挨拶だ。 人間関係の基本だとリカの読んでいた本にあったぞ? 006流歌:アイツなんつー本読んでんだよ……おはよ。 007現 :うむ! 俺は料理をしている、中々手際が良いだろ? 008流歌:まあ、手際は良いんだけど。 009現 :昨日の和風ツナマヨネーズに感銘を受けてな。      何かできる事はないかと探していたら、そこのてれびでココミチという男が      オムレツの作り方を紹介していて。 真似てみたらほれ、この通り。 案外簡単だ。 010流歌:へえ。 美味そうだな、ちょっと食ってもいい? 011現 :いいぞ。 ならばこれはルカの分にしよう。 012流歌:やった。 013現 :しかしだな、先に顔を洗ってきたらどうだ?      昨日リカに見せてもらった雑誌によると、清潔感のない男はモテないらしいぞ。 014流歌:俺はモテなくていいの。 おっ、オムレツ美味っ! 015現 :何よりだ。 しかしモテなくていい訳ないだろう、生涯独り身のつもりか? 016流歌:俺まだ十六だよ? そんな事より勉強の方が大事なの。 017現 :……ふむう。 昨日から聞いていれば、ルカは余程勉強に執着しているように見える。      学校とはそんなに厳しい所なのか? しかしリカの様子を見ているとそうでもない。 018流歌:アイツはチャランポランだからなー。 今が楽しけりゃそれでいいって感じ? 019現 :そうなのか? 020流歌:そ。 俺そういうの嫌なんだよね。 堅実に勉強して、良い大学入りたいの。 021現 :むう、ちゃらんぽらん。 本に無かった単語だ。      文脈から察するに、楽観主義、という事でいいのか? 022流歌:正解。 む、オムレツうめえ! 023現 :ふむ、俺にはそう見えない。 リカは勤勉な所が長所だと思っている。 024流歌:勤勉? アイツが? はは、絶対ないない。 025現 :昨夜はな、俺とウツギを部屋に招いて、「カラマーゾフの兄弟」という本を読んでもらった。 026流歌:漫画? 027現 :いや、小説だ。 日本語ではない文章だったので、リカが電子辞書とやらを見ながら説明してくれた。 028流歌:……へ? 029現 :確かな、ろしあという国で、今から二百年以上前に      「フョードル・ドストエフスキー」という作家が書いた本だと言っていた。 030流歌:り、リカが? 031現 :ああ。 まだ途中までしか聞いていないが、面白かったぞ。 今度はルカも一緒にどうだ? 032流歌:……へー。 033現 :なんだ、その気の抜けた返事は。 034流歌:……アイツ、そんな本読んでんだ。 知らなかった。 035現 :知らない? 同じ家で暮らしているのに? 036流歌:いやだって部屋は別じゃん。 ……あ。      そういえばアイツ、昨日もなんたら物語とか言ってたな? 037現 :伊勢物語と源氏物語の事か? あれはこの日本で書かれた物だぞ。 038流歌:ああそれそれ。 授業でやったけど、よく覚えてねえや。 へー……。 039現 :随分あれやこれやと楽し気に聞かれた。 勤勉だと感心したものだが、……そうか。      ルカの様子を見る限り、リカがあれほどはしゃいでいたのは珍しかったようだな。 040流歌:……ま、まあ? アイツ文系だしな! その辺は色々知ってて当然……。 041現 :文系? 042流歌:俺と違うジャンル、あー、部類の勉強をしてるの。 本を読んだりだとか、そういう。 043現 :ほう! ならばルカはどんな勉強をしているんだ? 044流歌:俺は……その。 045空木:おや、おはようルカ、ウツツ。 046現 :おや、おはようウツギ。 047空木:良い香りがする。 それは何だ? 048現 :オムレツという、現代の卵料理だ。 ウツギの分もあるぞ。 049空木:ほう! ウツツはあいも変わらず器用だな、頂こう。      ルカ、おはよう。 050流歌:げっ……お、おはよう。 051現 :リカは? 052空木:まだ寝ている。 明け方まで話し込んでいたからな、きっとまだ起きないぞ。 053流歌:ご、ご馳走様! 054現 :ん? もういいのか。 055流歌:食べ切ったよ、メシさんきゅ! すげえ美味かった! 俺勉強してっから! 056現 :さんきゅ? 057流歌:ありがとう! 英語でサンキューって言うの! <部屋へ逃げる> 058現 :おう……? 059空木:……何を話していた? 060現 :昨日リカが話してくれた本の話をだな。 061空木:なっ!? アレはルカには絶対内緒だと約束しただろう!? 062現 :あ……は、話してしまった……。 063里歌:おーはよー……あれ? 二人ともどうしたの? 064現 :リカ、悪い事をした! 065空木:<遮る> おはようリカ! ウツツがオムレツとやらを作ってくれているぞ! 066里歌:えー!? すごい、ありがとうウツツ! 067現 :お、おう! …… <空木を見て> おう? 068空木:<小声> 黙っていろ! 069現 :<小声> 何故! 070里歌:うわー美味しそうー! ウツツって器用だね! 071空木:<小声> 女心じゃ! 072現 :おんなごころ!? 心に男と女があるのか!? 073里歌:え、どうしたの? 074空木:何でもないぞ! 早く朝食を食べろ!      妾(わらわ)とウツツはしばらくあちらで内緒話をしているぞ! 気にするな、美味しく食べていろ! 075里歌:うん? うん、わかったー。 <空木、現をひっぱって部屋を移動する。> 076空木:あのな、あのなウツツ。 077現 :何だウツギ、俺は早い所リカに約束を破った事を謝りたい! 078空木:それを今しばらく黙っておけという話だ! 079現 :何故、おんなごころとやらか! 080空木:そうだ! 081現 :それは何だ!? 082空木:……うぬう、説明の手段がない。      しかしルカとリカの心では確かに相違点がある。      リカの心は、あの娘とよく似ている。 083現 :あの娘と! ……それは慎重に動かねばいけない。      しかし、ウツツでもわからない事があるのか、心と付くのにか! 084空木:ああ。 困ったな、伝えるのに適切な言葉がわからない。 085現 :……俺こそすまない。 やれ、人になってみれば心がわからないというのは不便なものだ。 086空木:謝るな。 鏡としてはウツツの方が完成されている。      あの子達の姿を、しっかり映す事ができればそれでよいではないか。 087現 :それは……そうかもしれない。 でもウツギとてほんの少し欠けているだけではないか。      俺とそう変わらない。 088空木:いや。 欠けた代わりに、妙なモノを映すと曰(いわ)くが付いてしまった。 大違いだ。 089現 :そんなもの今思えば人間の都合でしかない。 090空木:妾の話はいい。 ウツツよ、実際の人間も他人の心などわからぬものだ。 091現 :だからこそ今俺はもどかしい。      俺にはあの娘の苦労がわからなかった、ウツギ一人があの娘の苦労を映した。      リカがあの娘と似ているのなら、俺はまた間違えるかもしれない。 092空木:それこそ完成品としての、あるべき鏡の姿だ。 間違えていようと正しかろうと、人の姿を映す。 093現 :……先程からウツツは、自分が俺より劣っているように話すな。      今だってそうだ。 俺はウツギの心がわからない、何故そんな話をする? 094空木:わからない? どうして。 欠けた鏡と曇りすら無い鏡とは絶対に違うだろう。      ウツツはそうは思わんか。 095現 :思わん。 俺とウツギは対(つい)の鏡だ。 そんな事は聞きたくない。 096空木:いや、対とは言えど 097現 :待て。 ……我らは今何をしていた? 098空木:……言い合った。 099現 :……はは、言い合ったな。 100空木:言い合ったな、ははは! 101現 :成程、成程な。 思考の食い違いを埋めるその為に人は言い合うのか。 102空木:面白いなあ。 ああ、本当に面白い。 103里歌:<リビングから> ねー、内緒話終わった? 104現 :あ、ああ! 終わったぞ! ……<小声> とりあえず、黙っていればいいのだな。 105空木:<小声> ああ。 しばらく黙っていて欲しい。 106現 :<小声> 承知した。 <現、空木、リビングに戻る。> 107里歌:終わった? なら一緒にご飯食べよう? 108現 :ん、食べていないではないか……もしや待っていたのか!? 109里歌:一緒に食べるって約束でしょ?      ちょっとだけ食べちゃったけど、やっぱり一人で食べるのってつまらなくてさ。 110空木:すまない、長い事待たせてしまった。 111里歌:気にしないで、二人で話したい事もあるだろうし。      冷めちゃうからそろそろ食べたいけど。 美味しいうちにね。 112現 :なあリカ、怒っていないか? 113里歌:怒ってないよ、怒ってるように見える? 114現 :……見えない。 115里歌:でしょ? 116現 :だが、約束を違(たが)えかけた。 117里歌:気にしないの。 これから一緒に食べてくれるんでしょ?      私お腹空いたからさ、もう食べようよ。 118現 :あ、ああ……。 119里歌:そんな気にしなくていいんだよ。 ウツツは優しいね。 120現 :そうだろうか。 121里歌:うん。 で、このオムレツどうしたの? 何か見て作ったの? 122現 :あ、ああ。 テレビでココミチという男が作っていたのをな、真似た。 123里歌:へええ、器用なんだねえ。 あ! 私ね、食べたい料理があるんだ、お昼それがいいな。 124現 :おお、そうかそうか。 手順さえわかれば俺が作るぞ。 125里歌:マジ!? やった! あのね、えーっと……。 <スマホを弄る> 126現 :昨日もその機械を弄っていたな……!? <スマホを覗きこむ>      り、リカ、画面の中に人間がいるぞ!? 彼奴(きゃつ)は大丈夫なのか!? 127里歌:テレビと同じ仕組み! 昨日教えたでしょ?      映像を電波に乗せてるだけだから── 128空木:……ふうん。 馳走になった。 美味かったぞ、ウツツ。 129現 :あ、おう! ウツギもすまーとふぉんとやらを見ないか? 130空木:妾はルカの話も聞きたい。 リカ、昼食は四人で食べような。 <ウツギ、ルカの部屋へ向かう> 131里歌:うん! ありがとう!      ウツツもウツギも優しいね。 家族が増えたみたいで嬉しい。 132現 :そうか? 133里歌:そうだよ。 あ、そうだ。 見て見て、これ。 134現 :おお、すまーとふぉんは写真も見れるのか。 この御仁(ごじん)は? 135里歌:フョードル・ドストエフスキー。 昨日の、カラマーゾフの兄弟を書いたのがこの人。 136現 :ほお……。 中々、硬骨漢(こうこつかん)のように見受ける。 137里歌:お医者さんの家に生まれて、実存主義の先駆者って言われてる人だから、確かに頑固者だったのかも。      賭博好きだったり既婚の奥さんがいたりしたけど、      この人の文献を研究してる人、影響を受けた創作家は沢山いるんだよ。 138現 :リカもその一人だな。 139里歌:私はこの人の作品が好きだけ。 書いた人ってどんな人かなって気になるじゃない。 140現 :リカは、先人達の思いを読み取るのに長けているように見えるぞ。 141里歌:こんなのちょっとググれば、あっ、えーっと。 調べればわかるの。 142現 :そうなのか? しかし、リカを通して先人達の思いを知るのは楽しい。 もっと話してくれ。 143里歌:……楽しい? ほんと? 144現 :ああ。 145里歌:そっか。 そう言ってもらえるの、嬉しいよ。 146現 :皆、そう言わないのか? 147里歌:あー……。 私はさ、本が好きで、将来翻訳家になりたいからこうして色々読んでるんだけど。      見た目がこんなギャルっぽいからさ、そういう話すると、似合わないって言われちゃうの。 148現 :ぎゃる。 何故だ、悪い事なのか? 149里歌:悪い事では……ないと思うけど。 なんか怖がられるっていうか、遠巻きにされちゃうんだよね。      私、元の顔が派手だから。 こういう恰好じゃないと似合わないし。 150現 :似合う恰好をしないと駄目なのか? 見た目に見合う話をしないといけないのか? 151里歌:……まあね。 みんな、見た目でしか判断できないの。      だからこうして、ウツツが話を聞いてくれるの超嬉しいよ。 152現 :そうか。 なら、俺と先人達の話を沢山しよう。      先程実存主義という言葉が出たな。 フョードル氏は思想家でもあるのか? 153里歌:そうだよ。 元の邦訳(ほうやく)は現実存在って言ってね、      紀元前のギリシャまで遡る思想なんだけど……、── <流歌の部屋。パソコンの前で調べ物をする流歌。> 154流歌:……か、ら、まー……なんだっけ? あ、これか?      カラマーゾフの兄弟は、フョードル・ドストエフスキーの最後の長編小説……。      罪と罰と並ぶドストエフスキーの最高傑作とされ、……へえ、こんなの読んでんだ。 155空木:ルカ、入るぞ。 156流歌:おおわあっ!? な、な、何!? 157空木:すまないな、勉強の最中。 158流歌:いや、いやっ!? ちょっと休憩しようと思ってパソコン弄ってただけだから! 大丈夫! 159空木:そうか? ……リカの好きな本の事は、リカに聞けばよかろうに。 160流歌:お前な、その心読むのなんとかならない? 161空木:ならぬなあ。 馬鹿にしていた姉が、自分の及ばない知識を持っている。      それに焦っている事も、見えているぞ。 162流歌:……っちぇ。 んだよ。 163空木:ふふふ。 勝気に振舞っているが、根は優しい子だな、お前の姉は。 164流歌:あんな厚化粧しなくてもいいと思わねえ? そんなに俺と同じ顔なのが嫌なのかな。 165空木:女はな、色々あるんだ。 166流歌:そーかよ。 ……で、その。 カラマーゾフの兄弟、ってどんな話? 167空木:リカに聞けと言ってるだろ。      我らが逐一質問をして読む手を止めても、リカは嫌な顔一つせずに答えてくれたぞ。 168流歌:っちぇ。 169空木:妾はな、お前の心の中も気になるぞ。 リカは本と先人の言葉の海だった。      お前の心の、まっさらにチカチカ光っているそれと、数字の羅列はなんだ? どういった関わりがある? 170流歌:そこまでお見通しなのか……もー、仕方ないなあ。 <立ち上がる> 171空木:と言う割に嬉しそうじゃないか。 ……それは図鑑か? 成程、チカチカは天体であったか。 172流歌:ウツギ。 地球と月の距離って、どれくらい離れてると思う? 173空木:ん? ……うーんと? 174流歌:約三十八万キロ。 時速百キロで月に飛ぶと、四時間でつける。 175空木:じそく? 176流歌:外を走ってる車はわかるか? 177空木:ああ。 178流歌:あれが大体……まあ、時速五十キロ。 月って手が届かないようで、結構身近に感じないか? 179空木:確かに。 あの車の倍の速さで走って、四時間。 あんなにも遠く見えるのに? 180流歌:そ。 俺はさ、宇宙の一個一個を数字に換算して、もっと宇宙を身近にしたいの。 181空木:……ルカ。 お前、そんなに生き生きと喋れたのか。 182流歌:失礼なヤツだな。 子供の頃に、父さんに天体図鑑を買ってもらってさ。      逐一地球からどれくらい離れてるのか、どれくらいで着けるのか、聞いてた事があるんだ。      それがすげー楽しかったんだ。 俺も教える側に回りたい。 183空木:将来の夢、というヤツか。 184流歌:……まあ、むず痒いけどその通り。 俺だって只の根暗じゃないんだぞ。 185空木:根暗なものか。 お前の夢は、きっと次の世代の子供達の夢になるぞ。 186流歌:そんな大袈裟なモンじゃねえって。 187空木:大袈裟なものか。 父親に空を教えてもらって、夢を見たお前がいる。 何よりの証拠だ。 188流歌:……確かにな。 だから、俺は勉強しないといけないの。      一応数学者、天文学者ってくくりになるのかな、狭き門だからなー。 189空木:……ふむ。 ルカ、妾の話を聞かないか。 190流歌:ん? どうしたんだよ。 191空木:妾の鏡を見てくれ。 この辺りだ。 192流歌:鏡? ……あ、ちょっと欠けてんのか。 193空木:そうだ。 194流歌:これが? 195空木:これはな。 妾の前の持ち主が、自らの夢破れたその時の八つ当たりで欠けた。 196流歌:え!? ん、妾? ウツツはそうじゃないのか。 197空木:ああ。 少し、昔話を聞かないか。      ──……夢破れた、時代に夢を取り上げられた、可哀想な娘の話を。      欠けた鏡のみが知る、あの子の小さな夢の話を。 2016.12.18 完成 羽白深夜子 2018.5.7 更新 羽白深夜子 2020.1.9 修正 羽白深夜子 2021.1.16 修正 羽白深夜子 2024.5.1 更新 羽白深夜子
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